湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲~Ⅲ.

2016年07月27日 | Weblog
ガルテンロープ(P)アンゲルブレシュト指揮ORTF(STEF)CD

明晰な演奏で、華やか。録音も良好。ソリストが前面にたちピアノ協奏曲的に展開するが、アンゲルブレシュトらしい立体的で見通しの良いひびきが透明感のあるソリストの音とあいまって、民謡に変な臭みもなく、実にフランス近代音楽的な美しい表現に結実している。よい録音。
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グラズノフ:5つのノヴェレッテ~Ⅰ.スペイン風、Ⅱ.東洋風

2016年07月27日 | Weblog
ポルトロニエリ四重奏団(columbia)SP

しっとり聴かせる一曲目、イタリアの楽団らしい溌剌としたところをみせる二曲目、どちらも古い演奏にありがちなメロメロにはならず、音色はともかく、きちんとした現代的な演奏で、悪く言えばあまり個性的ではないが、良く言えば技術的に安心して聴けるものである。ボロディン風の二曲目にかんしていえば緩徐主題がいきなり南欧風の情緒をかもし世界を瞬間移動するような変な感覚が味わえた。ポルトロニエリは全曲録音していると思われるが、バラで四曲までしか確認できていない。
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ドビュッシー:クラリネットのための第1狂詩曲

2016年07月26日 | Weblog
ガストン・アムラン(Cl)コッポラ指揮管弦楽団(lys)

しっかりした演奏ぶりだが曲自体の魅力というか幻想味というか、それは昭和初期の録音のリマスタリング音源では仕方ないんだとはおもうが、正直楽しめるものではなかった。というか、この曲は技巧的な面以外であまりいいと思わないので、そんなバイアスのかかった一言でした。ドビュッシーあるあるとして第2は無い。
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ドビュッシー:管弦楽のための映像〜Ⅱ.イベリア

2016年07月26日 | Weblog
コッポラ指揮パリ音楽院管弦楽団(lys)

リズム感は良い指揮者で、程よい重さでタンタンタンと切れるのは気持ち良い。第一部は気を煽る要素がある。オケの機能性の高さも音色もメリットとして感じられる。あまりオールドスタイルな奏法を使わせようとしないコッポラと相性がよいとも思う。いちように縦の甘いフランスのSP録音の中では、コッポラのものは厳しく律せられているから、現代の耳では聞きやすい面もある。型にはまったやり方ばかりしていたと言えばそうでもなく、第二部のメロディの歌わせ方はスペイン風の崩しをよく表現している。第三部は緩急が巧くつきソロと合奏の対比が見事で、総体としてレベルの高い演奏となっている。この時代なので録音再生技術上どうしても人数を絞ったオケにならざるを得ないのに、コッポラのものは「内圧」を強くしてカバーしている。さほど薄さを感じさせないのは録音操作の賜物でもあるのかもしれないが。
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ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

2016年07月26日 | Weblog
コッポラ指揮(パリ)交響楽団(lys)

往年のオケを使用しているせいか個々楽器の音色が懐かしい。ドビュッシー的な雰囲気がよくかもされ、もっと大編成の曲にメリットのあるこの指揮者にしてはかなり聴ける。
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ドビュッシー:3つの交響的エスキース「海」

2016年07月26日 | Weblog
コッポラ指揮パリ音楽院管弦楽団(gramophone/lys)

よく鳴る演奏でオケのレベルも高く(個性より)機能性が発揮され、昭和初期の当時は鮮烈な印象を与えたことだろう。くっきりと明解で、曲に解釈を加えず、楽器に勝手な表情を付けさせず(時代なりの奏法はある)、スコアを率直に音に変えた点、ほかにも似たようなスタイルの無名SP録音があるにはあるが、コントロールは大したもので、一定の評価を得ていたのは想像にかたくない。あまりに即物的で今の耳からすると「つまらない」のは仕方ないかもしれない。最後の切り方など、余韻も何もなく句読点を置くだけで、それはそれで個性的だが型通りの構成にはまっているだけだ。サウンド的には十分の演奏。
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ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲

2016年07月25日 | Weblog
ラスキーヌ(hrp)コッポラ指揮管弦楽団(gramophone/lys)

SP期に信じられないほどの大量録音を成したピエロ・コッポラのドビュッシー山脈より。コッポラはフランスの指揮者にしては隈取りの濃いはっきりした表現をする。颯爽としたテンポというか、メトロノームテンポというかどうも一本調子で、フランスの演奏に期待されるものが無い場合も多い。この曲も起伏がデジタルで、音色は後退するが、そのぶんラスキーヌの例えようもないリリシズムが浮き立っている。まったくデリカシーのない野太い音の奏者というイメージもあるのだが、ここでは若いのにむしろ優しく繊細な演奏ぶりで、ただ美しいだけではない音色表現が、天賦の才能をも感じさせる。

マリ・クレール女史だったか、音楽院の扉外で父ジャメ氏とラスキーヌ女史が、何かの解釈について喧々諤々やっていて、耳をそばだてると、ドビュッシーはこう言っていた、いや、私はこう聞いた、などというものであった。しばし感慨にふけったと。ラスキーヌという人はいやはや、晩年まで衰えることなく、新しいイメージすらあるけれども、ハープの近代史そのものだったのだ。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」〜子守唄

2016年07月25日 | Weblog
ピエルネ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(odeon/house of opera)1929

澄んだ響き。むせ返るような音。弾けるように美しい和音がドビュッシーのような雰囲気をかもす。ストラヴィンスキーのフランス的な部分をよく引き出している。さすが初演者というべきか。何てことない3分間の暗い旋律だが、バックをかなでる弦楽器、ピエルネの録音に特徴的といわれるポルタメント、びろうどのようなヴィヴラートがてんめんと聴かれ、まさにオールドスタイルにもかかわらず、瑞々しい佳演になっている。
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ラフマニノフ:交響曲第3番

2016年07月25日 | Weblog
オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(eternities)1963/4live

オーマンディは総力戦の指揮者だ。個別の楽器の技術は高く要求するも色あいは要求せず、個々のパートにそれぞれの主張をなさせることはなく、ただひたすらオーケストラという一つの塊を、大きな構成の中で鳴り響かせることに専念する。完成されたパズルのような、キューブ状に固められた寄木細工のような音楽。個別に優れた長所をもつフィラデルフィア管弦楽団を全体として優れたものとさせようとするあまり、個性が死んだ演奏にも聴こえかねないものの、これは生で聴けば「ザ・オーケストラ」そのものとして感激をもたらすものであったろう。録音はアクの強いものでないと伝わらないし、場における音の拡がりや圧力も伝わらない。それを念頭に、聴くべき指揮者。よく聴けばいかにスケールの大きく力強くレヴェルの高い演奏をなしていたかがわかってくる。どこにもマイナスが無いからこそ、全てにおいてプラスであるという凄さが伝わらないと言ったほうが適切か。

で、ラフマニノフやグリエールのような、チャイコフスキーの次の次の世代くらいのロシア近代ロマン派には、このボリューム、この性能、このドライヴ力がじつにハマる。チャイコフスキー世代のスコアがまずかったぶん、この世代の曲になるとオケの性能をフルに活用できれば、凄いロマンティックな迫力ある演奏になる(それでいてハリウッド的甘甘さが無い格調あるところもオーマンディの特徴)。音の悪いエアチェックステレオ音源だが、大音量で聴いてほしい。後期ラフマニノフの、それまでの作品から題材を持ってきて組み直したような作風も、書法の充実がそれを補って、こう聴けば楽しい、とわかるだろう。ラフマニノフはフィラデルフィア管弦楽団と同曲を録音しているが決して揺れ揺れの演奏ではなく、この音を想定していたのだと想像して聴くのも楽しい。
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ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ

2016年07月25日 | Weblog
アース(P)ロザンタール指揮ORTF(ina)1960/3/29live

魅力的な旋律のない職人的な新古典の曲にあまり興味がないので(量産型ヒンデミットにもよくある傾向)そこを度外視すると、ソリストが平然と強いタッチで演奏しつづける一方、オケは最初からズレ気味で大味、もちろんこれがフランスオケの味でもあるのだが、律動オンリーで聴かせるストラヴィンスキーならではの部分が甘いのはどうにも座りが悪い。モニク・アースは次第に大喝采を浴びているものの演奏自体に対してということでもないだろう。短いのが救い。
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マーラー:交響曲第5番

2016年07月25日 | Weblog
○マデルナ指揮フィラデルフィア管弦楽団(sls)1971/11live

唸らせる名演。天下の奇演7番VSOライヴで知られるマデルナの、作曲家ならではの理解と創意が、極めて細かに織り込まれた表情付けの一つ一つ、そして全体的にも、意識的に扇情的であろうとして、完全に扇情的であることに成功している。冗漫なこの曲をシェルヘンは叩き斬ることで突き通したが、同じ突き通す演奏でも、構造をしっかり組み立てること、予め各楽器にデュナーミクの一つ一つフレージングの一つ一つまでも徹底して指示したうえでライヴとして最大限の効果をあげることに成功している。却ってアダージェットのほうが埋没する感もあるくらい他がよく出来ている、アダージェットが激烈な終楽章の序奏に過ぎないことがわかる。オケもまた良いのだ。ライヴのレベルでは要求に殆ど答えられている。特に強力で分厚い弦楽器の一糸乱れぬフレージングの妙は、いつもながら感服させられる。ブラスはまるでロシアオケのようにあけすけではあるが、マーラーという宇宙によく鳴り響く。

スヴェトラーノフがマーラーを録音するという情報が流れた時、我々が期待したようなものがここにある。スヴェトラーノフは円熟期の横長のスタイルに移行して、細部のアバウトさも手伝い残念感しきりの結果だったが、壮年期であれば、、、いや、ここまでしっかりした演奏にはならなかったか、、、

録音劣悪なエアチェックレベルのステレオ。そこは堪忍してください。聴衆反応はブラヴォが飛ぶ程度。
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ワグナー:ローエングリン3幕への前奏曲

2016年07月25日 | Weblog
ピエルネ指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(odeon)

おそらく録音再生の悪さのため細部が甘く聴こえるが、明るく軽く鳴り響くワグナーを楽しむことができる。といってもオケはきちんと大編成で手抜かりはない。中間部の木管のやり取りがじつにフランス的で、牧歌的な雰囲気すら漂う。ビゼーをやっているようだ。しっかり出来た演奏ではあるので、ワグナー嫌いでフランス好きの人にはうってつけ。
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デュカス:魔法使いの弟子

2016年07月25日 | Weblog
ミュンシュ指揮BSO(DA)1957/10/12live

筋肉質で豪速球でペットがそこまで凄いかというくらい分厚く吠え捲り、個人的に劇性が陳腐で好きじゃない部分も全てひっくるめて力の塊で押し切るのが楽しかった。聴衆反応も良い。
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ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

2016年07月25日 | Weblog
ミュンシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団(RCA)1963/3/14

正規ではフィラデルフィアとの唯一の盤(andanteがかつてスタジオに先立ったライヴ音源を配信していたようだが入手不能、というか個人的には少し疑っている)。9月に集成されるミュンシュRCA全録音超廉価リマスターボックスに収録されるので、早まらないように。じっさいこの単品だと、録音がそれほどよくない。細かいノイズというかシャカシャカが高音楽器の下の方に燻ぶって、とくに圧縮なぞすると聴いてられないレベルになる。

ものの、フィラデルフィア管弦楽団のラテン的な拡散性のある響きはボストンよりよほどラヴェルの印象としてある「南の方」の音楽に向いていて、またライヴばっか聴いてるとダメだなあと思うのは、ミュンシュのネガティブな面が綺麗に取り除かれ、早まらず力まず小気味よいテンポ、リズムの軽く浮き立った感じ、繊細な響きへの配慮、まるきりラヴェルそのものであり、「ミュンシュのラヴェル」ではない。これならミュンシュが同時代のパリでラヴェル音楽祭の大責を請け負ったのもうなづける。濁らない響きのミュンシュはめずらしいので、スタジオ録音の良さに立ち返りました。耐用回数の多いであろう周到な録音。ラヴェルでも代表的な美品に数えられる編曲作品のその管弦楽法をカラフルにたのしみましょう。
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フランセ:ピアノ協奏曲

2016年07月24日 | Weblog
○作曲家(P)プレートル指揮ORTF(ina)1960/11/22live

構成感、立体的な造形が見事。くっきりと非常に見通しがよい。曲自体がシンプル志向であることも手伝い素直な魅力にあふれ、なおかつ両端楽章ではオケとソリストのスリリングなやりとり(フランセの真骨頂、ポリリズム、ポリトナル!)に胸のすくような思い。また全体の作り方がとてもうまく、他の演奏によくあるようなただ楽譜を音にしたような演奏ではなく、しっかり音楽をやろうとして成功している。このような、フランセのこの曲を理解しきったさま。覇気あふれるプレートル壮年期の名演。
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