湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

2016年07月23日 | Weblog
S.ノイハウス(P)スヴェトラーノフ指揮ORTF(ina配信)

ネイガウスの息子ブーニンの父と、若い頃テープを渡されて聴かされた思い出のある人だ。タッチが軽く音色も明るくあまり変化のないように思う。一方表現がとてもロシア的というか、メロディのままに揺らし陶酔し二楽章ではヨタってみたり、構成感も個性的だがしかしいかにもラフマニノフらしいと感じさせ、ミスタッチもバランス崩れもまじえながらもどこか現代的な部分、安定感というとまた違うのかもしれないが、何か面白い。音楽の全体にはオケの性向も影響しているとおもう一方、ブラスはソビエトから持ってきたんじゃないの、これはノイハウスじゃなくて指揮者の解釈でしょ、というような全盛期スベトラ節が炸裂していてこれまた面白い。ラフマニノフはこう歌うのだ、とバカボンのパパみたいに断言する伴奏指揮者。スベトラ好きはたまらないでしょう、いや、まあ、でも違和感もありました。そんなものだからいつもどおり最後は大喝采。
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フローラン・シュミット:詩篇第47番

2016年07月23日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮cho&ORTF他(ina配信)1964/3/19live

派手派手、からひたすら前向きな賛美の音楽、情報量、「圧」がすごすぎて引いてしまう。隔世的に影響されたと思われるウォルトンのベルシャザールの饗宴(小品にも似た楽器の使い方がみられる)と比べてどこが「魅力的じゃない」のか、と思うと、あまりに早すぎた出世がゆえの作品に残る「古臭さ」、末流ロマン派へのこの人のこだわりも含めて、現代の耳からするとわかりにくいのである。とにかくいろんな工夫をとことん詰め込む人で、スコアがものすごい事になってるピアノ協奏曲とか、もうちょっとマニア以外にも受けることを考えて作れなかったものかと。ラヴェルより前を行くくらいの気持ち前衛派にもかかわらず作品はあまりに鈍重で、20世紀フランスというのは前衛の擁護者を自認する「老人」が多かった国なのかなあ、とケクランやミヨーあたり思い出すも、かれらはかれらの新しい語法で時代をしっかり抱いていた時期がある、比べてフローランは前の時代の語法の範疇でひたすら新しい技術を生み出すばかりで常に時代から離れていたように見える。とりとめもないワグナー的世界の理念を南欧に持ってきて、フランス化したみたいな。。

ようは、わたくしこの人むかしから苦手です。

アンゲルブレシュトのこれは録音が弱いせいもあってブチかました演奏には聴こえないが、イギリスの20世紀オラトリオなんてこの後塵を拝し続けていたんだなあ、くらいにはその清新な音楽を楽しむことはできたし、聴衆反応も凄かった。全編無料で聴ける。
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モソロフ:鉄工場

2016年07月22日 | Weblog
デルヴォ指揮パリ音楽院管弦楽団(EMI他)

機械趣味というのはドヴォルザークの頃から作曲界では顕著にみられるが、20世紀に入ってほどほど経つと無邪気な工業賛美に時代の流行である野蛮主義やら騒音主義の作風を取り入れた作品が一時的に流行る。ロシアアバンギャルドの代表的なこの3分作品はプロコフィエフの鋼鉄の歩み以上に有名であり、ミニマルな律動がサティのパラードを思わせるダダイズムに見せかけ、じつは厚い管楽器と打楽器の組み合わせたちゃんとした作品であり、このコンビで聴くとほとんどオネゲルのパシフィック231である。オネゲルはバッハに倣ったいわゆる新古典主義にたっているからして本来的には対照的であるはずが、聴き流すぶんにはほぼ似通ったひびきと構成を持つように感じられるのが面白い。オネゲルは先行作品である。ちなみにラヴェルもダフニスにウインドマシーンを取り入れ音響要素としての機械に興味を持ち、航空機趣味、戦時中はトラックを運転していた、音楽家はけして部屋に閉じこもって書いている人種ではもはやなかったのであった。話ずれたが、本当の未来主義音楽にくらべればぜんぜんまともであり、国家が抑制して完全転向せざるをえなかったのはモソロフの不運。この作品でしか名を残せなかったのは悲劇である。
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サンカン:弦楽のための交響曲(交響曲第2番)

2016年07月22日 | Weblog
ル・コント指揮ORTFフィル(fbro)

現代交響曲らしい短い曲だがハキハキとして室内アンサンブルの妙を楽しめる。ポルタメントをまじえた諧謔的なメロディがストラヴィンスキーも思わせて楽しい。フランス放送音源。
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ホルスト:惑星

2016年07月22日 | Weblog
サージェント指揮LSO(pristine/decca)1954

スピードと統制。加えて派手さもある。この指揮者のスタイルはけして中庸ではなく、演奏効果をスコアの要求する範囲内で最大限に上げ、お客様を喜ばせる、そういうものだと思う。惑星は長ったらしくどうしても前半楽章に視点がいってしまうが、サージェントも前半楽章ほど力が入っているように聴こえる、これは「曲がそうだから」であってサージェントのせいとも思わない。激烈な火星がもっとも聴きどころと言っても過言ではない。録音は同時期にしては良く、オケは厳しく弛緩なく、立体的に構築されている。ホルストの緩徐楽章に特徴的な高音打楽器が美しく効果的だった。
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ハリス:交響曲第3番

2016年07月21日 | Weblog
バーンスタイン指揮NYP(von-z)1985/12/5live

暗く重い出だしから、後半になるに連れだんだんと明るく鷹揚になっていく単一楽章の曲で、アメリカ的なトランペットの走句など交え、シベリウス的な壮大さにいたるこの現代アメリカアカデミズムの模範的作曲家の代表作。最後の破壊的なティンパニはバンスタならではの演奏効果を狙った見事なもの。正直ほかの指揮者では聴いてられない曲、、、かも、、、
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エルガー:交響曲第1番

2016年07月21日 | Weblog
○コリン・デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレ(profil)1998

エルガーなんてゲロンティアスなんて聴いてないで愛の挨拶と威風堂々第一番と、この曲だけ聴いてればいい、と思うこともあるのだが、それだけ演奏効果の高い大曲だけに、もっと強靭なオケ、もっと大編成、そしてもっともっと演奏効果を高めるような解釈を欲しくなる。これはそういう欲求に十二分に応えてくれる。ドイツ有数の伝統的オケの持つ底力をぐいぐい引き出すサー・コリン・デイヴィス。緩徐楽章の素晴らしさを称える評も多いがやはり、フィナーレの持っていきかた、憧れに満ちた主題の歌い方、慈しむようでしかし確かに雄渾なフレージング、それを支える分厚い響きと合奏力。遂に通奏主題が回帰するときの高揚感は凄まじいものがある。細部まで解釈が行き届いている割に人工的な感じも全くしない板についた、ライヴ感あふれる名演である。YouTubeでお試しできます。どうぞ。
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コープランド:エル・サロン・メヒコ

2016年07月21日 | Weblog
カンテルリ指揮NYP(NYP/youtube)1955/3/13live

トランプ大統領になったらこの曲も壁の向こうに放り棄てられるのかなあ(なわけない)。リズムのキレ、響きの派手さ、引き締まったアンサンブル、ニューヨークフィルという油断すると弛緩するオケをここまで「しっかり」ドライヴして、夢見るように、浮き立つように演じることのできたカンテルリ、伊達に世界床屋選手権みたいな髪型していたわけじゃない。録音が悪くても、良い演奏はちゃんと伝わるのだ。いたずらに「アメリカを煽る」わけでもなく「技術を見せつける」わけでもなく、これが「ライヴ」である。

https://youtu.be/zMINnAhO10I
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シャブリエ:楽しい行進曲

2016年07月21日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信)1955/12/13live

これは楽しいアンコールピース。心なしか楽団も開放感で楽しげだ。音色が直前のストラヴィンスキーとは全然違う。ウィーンフィルのニューイヤーコンサート的なかんじの曲に演奏でした。マダーム、マドモアゼル、ムッシュー。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲

2016年07月21日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信)1955/12/13live

醒めている。オケの各楽器の音色を聴かせるような響きの音楽を意識している「はず」だが、録音の弱さがそれを伝えられていない。アンゲルブレシュトのロシア物は結構見栄を切るようなものもあったと思う。しかしここではまったく動じない。小粒で「内向き」の演奏、としか感じなかった。
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ミヨー:プロヴァンス組曲

2016年07月21日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信)1955/12/13live

フランス各地の民謡旋律を変則リズムにあわせてトゥッティで奏でさせるという曲集で、これはシャブリエかなんかなのか、と思う程古風で単純なもの。確かにミヨーの響きだが、複調をそれと意識させるほどには強くない。第二次世界大戦におけるナチスのフランス侵攻への思いからアメリカ聴衆のために吹奏楽として平易に書かれたものがもとになっており、わかりやすすぎて大人気となった。個人的には大昔の「ブラジルのソーダード」なんかより後退した感じがイマイチ。もちろん開放後の本国では大喝采を受けるわけで、アンゲルブレシュトがミヨー好きとも思えないが、ミヨーのもつ構造的な単純性をハッキリ刳り出している。響きは今ひとつ濁っているように聴こえるが、録音のせいか。モノラル。
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マーラー:連作歌曲集「亡き子をしのぶ歌」

2016年07月21日 | Weblog
ルクレチア・ウェスト(msp)アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信)1955/3/24live

既に知られた音源よりさらに4年古いもので、ソリストがウエストというのも特筆すべきか。狭く立体感のない音はノイズこそ無いが残念。ロマンティックな暗がりからなるマーラーの歌曲なのでモノラルでもさほど印象は変わらないとも思えるが、盛大な聴衆反応を聞くにもっと瑞々しかったんだろうなあというところ。ここで聴き取れるかぎりはオケの響きが薄くて軽く、楽想の示す闇を感じさせるところはない。しかしこれは歌をきかせるものなのだ、それ以上は必要なく、ヴェストの安定した歌唱で純粋にマーラーというものの音だけを聴く、それでよかったのだろう。
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ミヨー:交響曲第2番

2016年07月21日 | Weblog
ツィピーヌ指揮パリ音楽院管弦楽団(EMI)モノラル

ミヨーというと複調性(多調性)の代名詞。あまりに多用するところも含めて一般人の許容できる範囲は一歩越えていると思う。この曲でも重層的に異なる調性が存在する箇所が多い。新古典主義に立ちながらも構造的に入り組んだところは少なく、オルガン的に単純に響き続けるため、ダイレクトに好悪をわかつ。慣れてしまえばミヨーの個性として許容できるが、こういうところは「現代音楽に慣れる訓練」に近い。そういっておきながらこれはかなり穏健な方。牧歌的な主題が支配的であり、晦渋さはほとんど現れないから、入門的な位置づけに置ける。「ミヨーの牧歌」は洗練された民謡というか、ヴァイオリンの高音がきらめきプロヴァンスの陽光を思わせるとても人好きするものである。

ツィピーヌは一部で人気がある。私にはぱっとしない印象がある。同時代音楽ばかり録音したので、繊細な響きや構造が聴き取れないと問題にならないとすれば、ほとんどがモノラルなこの人には不利ではある(デゾルミエールにも言える)。あるいは伴奏が多く日陰のイメージもあるか。この録音は骨董音源をフランスEMIが集成したシリーズに復刻されているが、同シリーズの多くと同じく余りいい音ではない。開放的なミヨーにとって、このような「閉塞的な音」はとりわけ不利でもある。どうかもっといい音で聴いてほしい。

ミヨーの交響曲は数は多いが円熟期以降に書かれたもので1番からしてほぼ組曲であり、この曲も5楽章制で構成的に盛り上げが考えられていないというか、終わり方もばつっと切れるだけ。まとまりという面では4番など一部を除きあまりうまくはない。ただ、自著でも述べていたように大事にしていた「メロディ」という点では満点。
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ラヴェル:ピアノ協奏曲

2016年07月21日 | Weblog
ニコレ・アンリオ・シュヴァイツアー(P)ミュンシュ指揮ORTF(ina配信)1966/12/4(11/22?)live

録音は良好なステレオ。聴衆反応も激しい。ただ、特に一楽章のオケがカッチリしておらず、ラヴェル特有の「細工」が瓦解しかかる場面がしばしば聴かれる。ライヴならこんなものかもしれないが同曲を得意としたコンビにしては毎度ながらアバウトな印象が残る。アンリオは強い調子であまり起伏やニュアンスを作らない。
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ラヴェル:ピアノ協奏曲

2016年07月20日 | Weblog
ニコレ・アンリオ・シュヴァイツアー(P)ミュンシュ指揮パリ音楽院管弦楽団(london)1949/5/31

原盤起因のノイズはともかく、演奏はたどたどしいと言わざるを。指の回らないアンリオに合わせてオケを抑えるというやり方は管楽ソロのミスを誘発。ガーシュイン再構築みたいなこの曲、ミケランジェリ位じゃないと遊べない。

音程がどうもズレている。ピアノの音程がズレるわけないので、原盤起因か。ラヴェルは音同士が衝突しかねないバランスの難しい重ね方をすることがある。こういうズレ方をすると単なる不協和音にきこえてしまう。
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