湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ホルスト:ブルック・グリーン組曲(1933)

2016年10月24日 | Weblog

○イモーゲン・ホルスト指揮イギリス室内管の弦楽セクション(lyrita)1967・CD

かつてホルストを特徴づけていたオリエンタリズム、実験的な不協和音やポリリズム要素がすっかり昇華され、非常に近接した作曲家ヴォーン・ウィリアムズのそれよりも平明で、一種無個性な美しさを得た晩年の室内作品のひとつ。あくまで典雅な雰囲気は同盤に併録されたイモーゲン女史編曲の「管弦楽の為の奇想曲」(原曲は「ジャズ・バンド・ピース」・・・これがジャズ???初演1968年)の示すウォルトン的攻撃性とは対極だが、同じ1933年の作品だ(ホルストは1934年病に弊しており、ブルック・グリーン組曲は死の僅か2ヶ月前(3月)に学校で初演された)。ちなみに同曲機知に溢れじつに恰好良い映画音楽風の小曲だが(私は大好き!)、「ホルスト」としての作家性は同様に薄いようにも思う。中間部にはヴォーン・ウィリアムズの5番交響曲のような憧れに満ちた雄大な情景も混ざる。終わりかたがやや唐突なのが玉にキズだが。話しを戻す。一音楽教師として女学校のジュニア・オーケストラのために作曲した曲であるから、息の長い旋律の単純な流れは、例えば1楽章「前奏曲」の最後にみられるピツイカートだけの終止形など、かつてのロシア室内音楽・・・チャイコフスキーの「弦セレ」等・・・を想起するもので、あくまで主題はイギリス民謡風でありながらも、それらクラシカル・ミュージックの伝統を意識して模倣したようであり、矢張り一種練習曲風といえよう。しかしこの曲全般に聞かれるひたすら軽く舞うような雰囲気、じつに品が良いものだ・・・お蝶夫人が出てきそうだ(古い)。全般アンサンブルがとりやすそうで(ホルストは時々複雑なリズム構成をとるがここでは目立たない)、アマチュアにはうってつけの曲だろう。ごくたまに、やや不格好な和音が横切るが、これこそホルストの個性の残滓。作曲技巧の綻びではなかろう。個人的にはアリアと称される古風な佇まいの緩徐楽章(2楽章)については、いくつかの主題がおしなべて弱く感じる。これらは民謡そのものに基づいているそうだが、しかし近代のこの手の擬古典曲では、全世界的に似たような主題が使われており、私個人がそれらを聴きすぎているから退屈するということだけかもしれない。ただ、構成的にも一番特徴がない気もする。主題の魅力でいうと1楽章の(第一)主題に尽きると思う。てらいのない終楽章「舞曲」(2拍子のタテノリ・ジグは、単純すぎて余り踊るような雰囲気でもないが)はどうしてアンサンブルの妙があり面白い。なにもこの曲に限ったことでもないが、同時代のフランスの曲を思わせる。この和声の流れは誰かの曲に似ている気がするが・・・失念。イベールあたり?休暇中シシリーで耳にした人形芝居の音楽に基づいている、とイモーゲン女史は書いている。ヴァイオリンと低弦のがっちり噛み合う単純な対位性がとても聴きやすい。後半少しくすんだ心象風景を呼び覚ますところがあり、ヴォーン・ウィリアムズ的であるが、時期的にみると寧ろヴォーン・ウィリアムズに先んじたものといえるかもしれない。演奏に関しては比較対象となるものがないので敢えて書かない。作曲家の娘さんがイギリス瑞逸の室内管弦楽団を振った演奏だから悪くはないだろう。イモージェンさんは最近逝去した。合掌。(2000/2003記) ,
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ピストン:ヴァイオリン協奏曲第2番

2016年10月24日 | Weblog
フックス(Vn)バーンスタイン指揮NYP(SLS)1962/5/18live

オケとソリストのアンサンブル的な楽しさは聴く側の感じる楽しさと必ずしも一致しない。この曲は前者的なかっちりした構造の面白味はあるものの後者的な「単純に旋律楽器としてのヴァイオリンを聴きたい」欲求には答えられないたぐいの、よくある凡作である。魅力的な旋律をつないでいくだけの前時代的協奏曲が良いとは言わないが、ここでは私に魅力的だと感じさせたメロディは約一つしかなかった。3楽章をとおして。名技性を楽しむほどの工夫も私には聴き取れない。フックスも、楽譜をただ音にした感がする。バンスタがいつものように何か付け加えて盛り上げることもない。録音状態はモノラルではあるが情報量はそれなりにありノイズも入らないが、だからといって二度聞いて二度とも同じ感想だった。
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コープランド:劇場のための音楽

2016年10月24日 | Weblog
作曲家指揮小管弦楽協会(SLS)1958/12/15live

コープランドの作品では比較的よく演奏される組曲で、バーンスタインも二度録音している。時期によらずコープランドの作風は晦渋で先鋭なものと平易で一般受けしそうなものに二分されるが、これはどちらかといえば後者だろう。恐ろしい若者と評された20代の作品であるにもかかわらず後年の著名作品にみられるようなダンスチックな楽しく複雑なリズム、厚いブラス(冒頭ファンファーレはコープランドが得意とするところか)、木管の込み入ったやりとり、ジャズの昇華(途中唐突にクラリネットがラプソディインブルー張りに入ってくるがこれは台本的なものに基づくのだろう)、明るくフランス六人組風の響き(一楽章などに前期特有の尖鋭晦渋なものは残るが)、いずれも聴衆受けしたであろうことは想像に難くない。クーセヴィツキーの庇護した作曲家の中でもこの人は同時代アメリカ作曲家がただ高尚な音楽を志向するあまり似たような晦渋な響きを前面に出してしまう中、それを残しつつ大衆性もその個性において獲得した点で才能のレベル差を感じる。ライヒテントリットもまだクーセヴィツキーが現役の時代の著作にてコープランドについてはかなりの紙数を割いている。コープランド自演についてはストラヴィンスキー自演のようなもの、と書けばその様子はわかるだろう。きびしく杓子定規のリズム指示に楽団がバラけるところなど、ああ、、、と思ってしまう。でもモノラルでそれほど良くない録音なのに伝わってくる響きの透明感からは、コープランドが(この作品では繊細かつ多少複雑ではあるが)新鮮で明瞭な和声を自身の作風の中核をなすものとしてこだわっていたことが伺える。SLSにしてはノイズレスで情報量が多く良好な状態。まあ、演奏的には好きな人は聴けばいい程度のかんじ。
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☆プーランク:カルメル派修道女の対話

2016年10月23日 | フランス

○サンツォーノ(サンゾーノ、サンツォーニョ)指揮ミラノ・スカラ座、ゼアーニ、ジェンチェル他(Legendary Recordings)1957/1/26初演LIVE

何とも後味の悪い歌劇だが、キリスト教ミステリー流行りの昨今題名で食いつく人もいるかもしれない。長いし言葉の問題もある(これはイタリア語版)ので音だけでは何とも楽しみ(?)辛いところもあるが、劇場の生々しい実況録音として、プーランクの目前で繰り広げられた傑作の「今生まれいづる音」におもいはせると、なかなかどうして、例え放送エアチェックで録音最悪としても、歌のひとつひとつの情感の深さ、あらわな劇性に心奪われないといったら嘘になる。演奏も歌唱も朗誦もとにかく見事。総合力がある。最後のギロチンのドラマが録音のせいでイマイチがちゃがちゃしてしまった感もあるが、プーランクの深い宗教観が、様々な色彩・・・意図的に配された中世宗教音楽につながる擬古典的作風からウィーン世紀末やディーリアス、サティやベル・エポックの群小作家の作風など・・・によって巧みに浮き彫りにされていくところに妙がある。ただ模するのではなく確信犯的にシナリオにそい配置され、しかもどれも擬作ではなくプーランクの流麗な旋律と固い和声によってしっかり味付け直されている。とくに歌の旨さはプーランクならではの真骨頂だろう。スカラ座はそれを的確に捉え熱気をもって応えている。なにぶんかなり聞きづらい録音だし断片的には後日の録音も遺されているので無理して聞く必要はないが、デルヴォー以外にいいものがない、と嘆くなら聞いて損はしない。○。
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カーペンター:組曲「乳母車の冒険」

2016年10月23日 | Weblog
オーマンディ指揮ミネアポリス交響楽団(victor他)1934/1

印象派(最盛期ドビュッシー)の影響を強くうけながらもアメリカ的主題・あっけらかんとした響きを伴う旋律を併せ持つ、20世紀前半の米国作曲界にて先駆的役割を果たしたと言われているカーペンター。日曜作曲家ゆえ数は多くないその代表作がこの25分あまりの管弦楽組曲になる。同SPは野村胡堂(あらえびす)氏が紹介されていたが、氏の啓蒙的趣旨において取り上げられた同作に、当時これくらいしか録音が無かったというのが実状であり、とりたてて名演だからというわけではないのは他の同時代音楽の録音についても同様である(ストコフスキーを夥しく紹介されているのもここに理由があろう)。聴くに作品の律動性は聴き取れるが(リズムのキレが素晴らしい)、抒情性を味わうには、音が弱過ぎる。ドビュッシーの夜想曲的な側面からの影響を楽しみたいのに、イベリアですらない無邪気なリズム音楽のみ耳に残る。オーマンディのすぐれた技術はききとれるが、ミネアポリスのオケの古い録音の多くがそうであるように、オケの力量ははかりかねる。そういった演奏である。
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☆モーラン:ヴァイオリン協奏曲

2016年10月22日 | イギリス

○カンポーリ(Vn)ボールト指揮BBC交響楽団(PRISTINE,DIVINE ART)1954LIVE・CD

ディーリアスが作家性に固執しなければこういう美しく華々しい協奏曲を描いたであろうという曲で、折衷的なこの作者にしてもひときわわかりやすく聴きやすい佳作である。やや変則的な構成の中で技巧的な見せ場は後のほうに一気に来るが、かつての手兵を繰って組み付いてくるボールトもさることながらフランチェスカッティを彷彿とさせる美音でなお完璧に弾き熟してみせるカンポーリが素晴らしい。やや民族的な特殊なパセージにも揺らぎもせず音楽的構成感を損なわない。後年のフランチェスカッティのような浅いマンネリズムにはけして近づかず、曲の要求を150パーセント音にしている。凄い。モノラルだがPRISTINEのリマスターは素晴らしい。DIVINEはPRISTINEのCD化サービス(ネット配信と同額だと思う)レーベルとなったようだ。ジャケットはカラーコピーだが裏青ではなくちゃんとしたCD。
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☆モーラン:バンク・ホリデー

2016年10月22日 | イギリス
◎マッケイブ(P)(DECCA)

モラン(モーラン)はイギリス近代の作曲家の中でも親しまれている一人だろう。非常に平易で、この曲も愉快快活な主題の中に少し影の有る主題を挟むだけという単純きわまる3部構成。でも、いずれもとても耳馴染みがよい。きっぱりしており、でもちょっと影もあったりして、余りに短い曲でありながらなかなか飽きない。私は昔から愛聴してきました。仄かな影がいかにもイギリスふうのどこか風の吹き抜けるような情感で堪らない。RVWやホルスト周辺の作家としてもっと聞かれてもいい人です。
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☆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

2016年10月22日 | ラフマニノフ

○シャーンドル(P)ロジンスキ指揮NYP(columbia)LP

世紀のバルトーク弾きシャーンドル若き日の猛烈な演奏スタイルがここにも伺える。序奏などさっさと飛ばしてひたすら機械的な音を連打しまくる超スピードのラフマニノフ。ロジンスキが絡むとたいてい録音は悪くなり、タッチの細部は殆ど聞こえないがしかし、多分ほとんど弾けている(余りのスピードアップに自身が3楽章耐え切れなくなったような箇所もあるが)。音色にはこれっぽちも魅力はないし(ニュアンスはかなりできているのだがアメリカのスタインウェイの音がそのまんまする感じがいささかドライにすぎる)ロマン派属性の強い人には耐え切れない演奏かもしれない。しかし2楽章を聴いてみるとこれが、初演したバルトークの3番の2楽章のように仄かな感傷性を明るくクリアに解き放っていて、新世代の演奏であることすら思わせる。もちろん若い。若い演奏ぶりで深みは無い。しかしソリストと乖離もいとわないギリギリでうねるロジンスキ(というかNYPの弦)とのかみ合わない中にも面白みを感じることはできる。とにかくこんなに猛烈な演奏はない。1楽章の序奏をどう重々しく持っていくか考えている人、こんな軽くさっさと弾き飛ばして主部に突入するというやり方もあります。非難はあるかもしれないが。たぶん無印にする人もいるとは思うが個人的に○。いや、スポーツなのです。
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☆ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容(1943)

2016年10月21日 | Weblog


◎カイルベルト指揮ハンブルグ・フィル(TELDEC)1955

決定盤に出遭った、という思いだ。表現にどこにも弛緩がなく、ひたすら軍隊調のタテノリで突き進むさまが勇ましい。その強い前進力にまず耳を奪われる。また堅固で緊密なアンサンブルが快い。凄いのは旋律以外の楽器もすべてはっきり自己主張しており、それぞれしっかり耳に届くように作られている事だ。ヒンデミットはとても構造的な曲を書く。効果的な対位法が用いられており、またちょっとポリフォニックに響く内声部の断片的なフレーズの数々がヒンデミットの意図(個性、と言い換えてもいい)を表現するのにじつはとても重要だったりする。この曲はどちらかというと旋律偏重で流れてしまうことが多いが、このカイルベルトという指揮者(私はクラウスとカイルベルトについては殆ど馴染みがないのだが)はきちんとヒンデミットの構造性を浮き彫りにして、隅々まで表現しきっている。しかも、「主題とその変奏」という基本線を見失うことなく、矛盾なく表現しきっている。聴く人によってはこの手垢のついた曲に新しい発見をするだろう。私も新鮮に感じた。オケは決して器用ではないと思うが、力感に満ちており、カイルベルトの指示に十分答えられていると思う。1、4楽章はそういった意味で聞き物である。2楽章は中国風の打楽器が響くエキゾチックな音楽だが、カイルベルトはあくまで西欧音楽の流れの中に曲を位置づけている。つまりちっとも中国風ではない、ということだ。どうやったらそうなるのだろう、と不思議に思うほど遊びがなく堅実に響く、でもそんなところが新鮮で、面白いのだ。この演奏全般としても、いわばこの曲のドイツ的な側面を強く押し出した解釈と言えそうである。正統ではないかもしれない。でも、名演。,
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☆ボロディン:交響曲第2番(1869-73/79)

2016年10月21日 | Weblog


○E.クライバー指揮NBC交響楽団(MUSIC&ARTS)1947/12/20LIVE・CD

これが良いのだ。1楽章は歯切れが良いし、2、3楽章の抒情もだれることなく聴くものの耳を引き付け、4楽章ではコンドラシンをほうふつとさせる非常に集中力の高い演奏を聞かせる。このての曲はある程度速いスピードを要すると思うが、すばらしく颯爽としたクライバーの棒はその手綱を緩めることなく大団円へと持ち込んで行く。大ルバートは大きく決まる。まあまあだ。最後までひたすら疾走するNBC響にも拍手。息子の演奏とはぜんぜん違う。録音やや悪。,
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ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲

2016年10月21日 | Weblog
ガルテンロープ(P)アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信他)1957/7/4live 7/11放送

STEFから三楽章だけ出ていた録音の全曲版か。STEFより音がこもっている気がするが、聴きやすいノイズレスのモノラル録音。同曲はしっとりした雰囲気の中から突如三楽章で民俗舞曲が始まるような感じがする。したがって2楽章までは聞き流してしまうが3楽章はピアノ協奏曲として特別な耳で聴ける。フランクの派閥でいながら形式的な部分より民謡の多用とピアノの型に囚われない表現が新しく、このソリストはとくに技術的にすぐれているかどうかはわからないが(ミスを聴き取った人はいったんロックでも聴いて耳を標準化せよ)粒だった音が心地よく音楽を揺らす。変な山っ気のない、民俗的な部分に下卑た誇張は一切入れないアンゲルブレシュトらしさも、この演奏の格調高さに一役買っている。よい演奏。2016年10月1日Amazonデジタルミュージックでも配信開始。
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バルトーク:ルーマニア民俗舞曲

2016年10月21日 | Weblog

アンゲルブレシュト指揮ORTF(ina配信他)1957/7/4live 7/11放送

民族的表情は足りないものの(リズムがまともすぎ、装飾音がハマらないなど)一般的な民謡編曲イメージにて明瞭に演奏されており素晴らしく耳なじみの良い、「フランス風の」洗練された演奏になっている。ロザンタールなどがやるより格調高く(ロザンタールがやったかどうか知らないが)型式ばったところもなく、アンゲルブレシュトの演奏としては「さすが」の範疇にある。このあとダンディの「フランスの山人交響曲(GARTENLAUB(p))」、カントルーブの「オーベルニュの歌抜粋(THEVEN(sp))」、それにアンゲルブレシュトの歌曲Vezelay(CAUFFET(bar))が収録されている。モノラルだがノイズがなく聴きやすい。2016年10月1日Amazonデジタルミュージックでも配信開始されたが、6分ほど長いようである(曲目は同じと思われ差異不明)。
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☆バルトーク:管弦楽のための協奏曲

2016年10月21日 | 北欧・東欧

◎ベイヌム指揮ACO(LYS)1948/9/20・CD

バルトークはちょっと・・・という人におすすめ!これいいです、わかりやすい!構造がわかりやすいというより、前近代的で、直観的に聞きやすいよう上手くまとめている。またベイヌムの適性をつよく感じる。きわめて巧緻な指揮技術が機械的にならず生き生き生かされている。しかもクーセヴィツキーを彷彿とさせそうでいて決してああいう改変の方向に行っているわけではない。オケ的にメリットはあるにせよ(ボストンもヨーロッパ的な弦を持ってるけど)面白いほど「一般におもねった晩年バルトーク」そのものを切り出すことに成功している。「中断された間奏曲」の「DSCHファシストのテーマ」のじつにイヤラシイ嘲笑ぶりにもうなづかされた。冷たい音に重みを加え透明感が失われている点も、好きずきだが私は好きだ。録音(板起こし)の悪さのマイナスも力強い表現の前に屈服する。◎。
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☆マーラー:交響曲第1番<巨人>(1884-96)

2016年10月20日 | Weblog

◎マルティノン指揮日本フィル(EXTON/FUJI)1970/11/24LIVE・DVD

日フィルってこんなにうまかったっけ??ダイナミックかつ引き締まった演奏。ブルックナーやマーラーは振らないと公言していたマルティノンは、それでもいくつか記録に残している。このテレビ映像もそうだ。ホルンをはじめとするブラスの力量不足を感じる場面もあるが、対して弦はがんばっているし、木管もそつなく巧い。マルティノンの彫刻は掘りが深く、構成が明確だ。また、とても瑞々しい感性に溢れている。音色的には何等魅力の無いこのオケを前に、上半身をダイナミックに動かしながらニュアンスを伝えていくマルティノンは、いつしか音色などどうでもいいほどに熱気溢れる演奏を作り上げた。買ってすぐ3回観た。見てないかたはぜひ。4楽章の盛り上がりはすばらしいですよ。弱音部でもドライヴ感が失われず、颯爽としたテンポで(必要なら大ルバートで)盛り上げる。満腹します。何より素晴らしいマルティノンの解釈に喝采。打楽器系のここぞというところの短い打撃音が畳み掛けるように盛り上げるコーダでは忘我。・・・ちょっと誉めすぎかな?マルティノン、最後は飛び跳ねてます。髪型がバンスタみたい。。ブラヴォーもあり。,
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☆バックス:ヴィオラ・ソナタ

2016年10月20日 | Weblog

○プリムローズ(Va)コーエン(P)(DOREMI)1937・CD

都会的な趣をもつピアノと民謡調のしらべをかなでるヴィオラのハーモニーが印象的な、イギリスの作曲家アーノルド・バックスの佳作のひとつ。バックスには珍しく難しいパッセージも晦渋な雰囲気もなく、ここでは二人の名手によっていくぶん感傷的な音世界が繰り広げられている。ヴォーン・ウィリアムズと比較される事があるが、どちらかというとウォルトンの室内楽作品を感じさせるような所もあるし、旋律構造やピアノ伴奏にはドビュッシーからの顕著な影響がみられる。強烈な個性は余り感じないが、連綿とうたわれる旋律やちょっと特殊な伴奏音形には魅力があり(傾倒していたアイルランド音楽が引用されているらしい)、ロマンティックな中にも近代的な作曲手法が施されたバックスならではの世界を堪能できる。27分弱というかなりの大作であるが、全般にゆっくりとした箇所が目立ち、「アレグロ」とされる部分でもさほどスピーディではない。名技性より音楽性を重視した曲作りは結果としてかなり聴き易い音楽を産み出しており、この点バックスの曲にしてはわかりやすいという印象を与える。バックス入門盤としては適切であろう。コーエンは洗練された手さばきで「イギリスの印象主義音楽」をそつなくかなでている。プリムローズにかんしてはもはや何も言うことはあるまい。少々ヴァイオリン的な明るい響きが快く耳朶を震わす。テクニックの必要な曲ではないが、それでもこれだけ印象的な音楽をかなでられるというのは20世紀のヴィオリストを代表する巨匠にして可能となったものであろう。感傷的な雰囲気が何ともいえない、この曲を聴くには最適のソリストだ。名演。 ,
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