湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

2016年12月05日 | Weblog
ブライロフスキー(P)ホルダ指揮サンフランシスコ交響楽団(RCA/tower)1958/5/1・CD

ステレオ初期らしく左右の分離がはっきりしすぎて、左から聴こえるピアノに最初は違和感をおぼえるが、明晰な録音。独特の解釈と呼ばれるものは確かにあろうが醒めた音で一貫して安定した速いテンポをとり、からっとした印象もある。冒頭から少し和音をずらしたような表現はラフマニノフ自身に見出されたピアニストとしては邪道なやり方かもしれないが変なドラマが煽られず古典的な佇まいすら感じさせる。その他テンポ変化やアクセントの付け方が唐突なところはあるがこの時代のプロの演じる協奏曲という側面をかんがみると特筆するほどの弱点には感じられない。むしろ面白い。発音は明瞭、ごく一部を除きバランスは完璧で残響や指の都合で音楽が濁ることは全く無い。オケは言われるほど悪くない。一楽章はむしろ瑕疵もなく主張がソリストと噛み合い全体としてドラマを盛り上げる。二楽章(これも他の同時代奏者とくらべ特別変な情感がこもっているようには感じない、音色は一貫して明るくテンポはかなり安定しているほうだ)は弦の音色表現がもう少し欲しいが、それはそれでソリストとは調和している。三楽章はオケが強く出て、ソリストが少し後ろに引っ張っている感もある。ここにきて内声まで音が全部出すぎて僅か不格好になっている。テンポは緩まないが緩徐主題ではボリュームが感じられる。楽曲の全体構成を考えたような人工的なテンポ操作が顕著になってきて、法悦的に緩いテンポから特に第一主題の再現変奏に入ると異様なアッチェルが瞬間的にかかり、そのままものすごいテンポにソリストものりまくった、と思いきや若干乱れてきたようにも思ったが録音のせいか。このへんを面白く変化つけて演奏してくれると単純な旋律音楽も楽しめるというもので、決して可もなく不可もなくではない、立派に大きな波を起こしていくオケにむしろ支えられるようにソリストも(たしかに音が浅くて低音の響きがイマイチだから弱く浅薄に聞こえるかもしれないが)融和的な表現からフィナーレ感を出してきて、ちゃんと終わる。一時期比較されたというホロヴィッツを私はあまり聴いていないが、高音の質はホロヴィッツに近いものも感じた。
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☆ジョリヴェ:典礼組曲

2016年12月04日 | Weblog
◎ラスキーヌ(HRP)ジラドゥ(T)カシアー(OB)ブリザード(VC)・作曲家監修(VEGA)LP

これはハープの響きが支配的な演奏で、「クリスマス牧歌」を彷彿とさせる。じっさいあそこまではわかりやすくないものの、かなり耳馴染みの良い保守的な作品である。聴き易いとはいえ土俗的なリズムやエキゾチックな旋律線にはジョリヴェ独特の原始主義がはっきり感じられるし、前奏から終曲までの計8曲はなかなかに変化に富んでいる。所々まばゆい響きはメシアンに割合と近いものを感じる。「若きフランス」の二人は作風は対照的なまでに異なるものの、どこかでやっぱり繋がっている。ただセリー的ではなく、どちらかといえば無調(それもドビュッシーの晩年のソナタに近いかなり調性的なところのある)風で、透明感を維持しつつも半音階的なところが古さを感じさせなくも無い。テノールとハープ、オーボエにチェロの変則的な四重奏編成になっているが、テノールが登場するまで長い間器楽三重奏状態が続くのも面白い。このあたりなどまさに「クリスマス牧歌」の姉妹作といった風情だ。但しこちらのほうが確か早い作品と思った(ライナーがフランス語で読めない(泣))。テノールも台詞少なで最後はアレルヤを連呼するのみ(讃美歌なのであたりまえだが)。それにしてもラスキーヌは骨太でアンサンブルをぐいぐい引っ張っていっている。ラスキーヌがいるだけで引き締まった演奏に聞こえるのはワタシだけだろうか。チェロのピチカートも効果的に使用されているが、ラスキーヌの強靭な音に拮抗しているのは見事。保守的なジョリヴェが好きなワタシは演奏・曲共に気に入りました。◎。,
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☆カバレフスキー:チェロ協奏曲第1番OP.49

2016年12月04日 | Weblog
◎シャフラン(VC)作曲家指揮ソヴィエト国立管弦楽団(VANGUARD)CD

名曲。かなりプロコフィエフっぽいが、プロコフィエフのように晦渋で偏屈なところがなく、素直に楽しめる曲だ。ウォルトンのチェロ協奏曲を思わせる冒頭からぐいっと引き込まれる旋律の力は強力。チェリストがひたすら旋律を歌いまくり、カバレフスキーだからかなりせわしない動きがあるのだけれども、シャフランは唖然とするほど弾きこなし、大家らしさを見せている。ロストロといいシャフランといいこの国のチェリストはどうなっているんだろう。圧倒的な1楽章、カバレフスキーの抒情が臭くならない程度にほどよく出た緩徐楽章、これまたせわしない曲想だが非常に効果的な終楽章、とにかくわかりやすさが魅力の第一ではあるが円熟したカバレフスキーの隙の無い書法に感銘を受けた。オケはソヴィエト国立だがレニフィルのように緊密でまとまりがよく、カバレフスキーのそつない棒によくつけている。いい曲だなしかし。。ぜひ聴いてみてください。この組み合わせは最高だが、他の演奏家でもきっとうまく響くはず。◎。,
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マーラー:交響曲第4番

2016年12月03日 | Weblog
ギーベル(SP)カイルベルト指揮ケルン放送交響楽団(weitblick)1967/12/8live・CD

一楽章から凄いバラケ方をしていて、ドン臭いなあ、この頃のケルンはまだこの程度の技術だったんだなあ、音は相変わらず無色だなあ、と思いつつ、カイルベルトの「ドイツ臭いマーラー」の分厚い響き、重いテンポによるじっくりとした語り口には魅力を感じる。二楽章の調弦をズラしたコンマスソロがほんとに調弦狂ったような感じに不安定になっているのもドン臭い、やはり弦の俊敏さに欠けるから協奏的な同曲にはちょっと向かないかなというところもある。ウィーン情緒を醸そうとフレージングを工夫するも音色が一定して冷たいのでテンポにのみ感じ取れる程度。三楽章は軟らかな耽溺こそしないものの美音に情感を籠めて透明感のある爽やかな音楽をこうじている。カイルベルトは音符の最初からしっかり発音させ、軟かく小さな松葉をつけて発音させることがない。それがこののような明瞭なステレオ録音だとあからさまに耳につくのだが、三楽章についてはいくぶん弱められ、展開部では意外とフレージングへの配慮の行き届いたさまが激情として聴き取れる。オケは相変わらずだがマーラーらしくやろうとしている。深淵を覗き込むような音が少なく低く長く暗い場面は後期すら彷彿とさせる諦念だ。転調すると意外と主張するチェロが浮き立つように愉悦的に音楽を盛り立て、弱体なヴァイオリンを押し上げる。だがやはりホルンや木管が挽歌を奏でる暗い音楽のほうが音域的にもカイルベルト向きかもしれない。角笛交響曲の児戯から離れ、悲劇的の四楽章をほうふつとする。後期作品への予兆と取れる断片が散見される楽章だが、基本的には天国的な明るさを志向してはいるので、解釈としてはワルター的なやり方のほうが耳には残るだろう。カイルベルトは終幕へ向けて長い音符を印象的に響かせながら微妙な機微を詠嘆的に聴かせておき、「大いなる喜びへの讃歌」を炸裂させて劇性を高めるも、それはあくまで空疎であり、やはりゆっくりと着地するほうを選ぶ。感情に任せた若々しい音楽にはしない。ヴァイオリンの長い高音、ハープのとつとつと明確な響き、そこから下降する「アダージェット音形」に至る終幕のほうがしっかりと耳に残るようになっている。四楽章は本来的にはどうあれこうなると付け足しのような歌曲だが、伴奏の付け方は上手い。俊敏とは言えない弦や木管に細かい動きをはっきり付けさせて、一楽章の再現など一楽章より良く出来ている。歌唱はライヴなりの少し甘いところはあるが、力がある。終盤素晴らしい。環境雑音があるのでライヴと書いたが拍手はなく、恐らく放送用ライヴだろう。ステレオ。
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☆プーランク:六重奏曲

2016年12月03日 | フランス
○J.フランセ(P)フランス国立放送管弦楽団木管五重奏団(EMI)1953・CD

最初から掛け合いの嵐でさすがに軋み生硬なテンポをとらざるを得ない曲だが、ここで牽引役としてそつない流れを作りテンポを安定させていくのはやはりフランセ。細かなフレーズも流れるように軽やかに、しかししっかりしたタッチで発音にいささかの「時差」もない。ORTFメンバーからなるこの木管五重奏団は仏EMIの例の二枚組みCDでまとまったものが復刻されており(一曲欠けているが山野楽器・EMIの「デュフレーヌの芸術」は現役盤として入手可能)現代的な洗練された「フランス式木管楽器によるアンサンブル」を楽しめる。じっさい室内楽団としてはローカリズムをさほど感じさせないが、鼻にかかったような「ザ・木管」な音色や露骨ではないにせよソリスティックな趣のあるヴィブラートなど、低音楽器すなわちバソンとホルンに聞き取ることができる。

六重奏曲ではどうしても低音楽器は下支えに回る場合が多く、バソンなど横長の旋律でないと表現の差が出ないが、ユニゾンで旋律メドレーを続けるプーランクの特質のうえ、さすが弦楽アンサンブルを捨てて管楽アンサンブルのみに作曲の腕を注ぎ込んだだけあって、特にこの曲ではフランセの曲のような機械的な「役」の割り振りは無く全楽器に聴かせどころが分散しているので、そういったソロ部をあまねく楽しむにはいい曲である。アンサンブルを楽しむ、もしくは勉強するにはうってつけではある。

急峻な楽章では一人律動的に動き続けるピアニスト次第なところも否めないが・・・とにかくやっぱりフランセ、デュフレーヌを始めとする奏者の方向性が一致しているというか、甘い音色をほどよく維持しながらも世界に通用する抽象音楽を表現する意思が感じられる。これに比べればアメリカの楽団のものなど素っ気無いわりにジャズ風の奏法など取り入れて寧ろローカリズムが強い感は否めない。さすが、ORTF黄金期メンバー。

後半になればなるほどいい。○。これはアナログで死ぬほどハマった盤なのだが、CDになって「あれ、こんなに醒めた演奏だったけ?」と距離を置いていた。バソンの話題が別のブログで出たので、あ、バソンって意識したことあんまりないや、と思って聴いたら、楽しめた。バソン自体ソリスト向きの楽器で奏者によっても音が全く違うなあとも思ったけど(プレシエルはそれほど独特の音は出さない人の感じがする)、1楽章ではサックスぽい赤銅色の旋律表現が聴ける。伴奏やユニゾンの時とは音を使い分けるんだなあ。

デジタル化は一長一短ではある・・・古い弦楽アンサンブルの録音が復刻されると倍音が減って(正確に響いて良いという見方もできる)金属的になるのに似た難しさを感じる。書法の多彩さが、特にハーモニーバランスの完璧なこの楽団の長所をいったん解体したところで、俊敏なフランセのもとに再構築された精度の高い演奏ということはちゃんと聴きとれる。モノラルだがクリア。○。
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☆グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

2016年12月02日 | グラズノフ
○ガブリエル(Vn)G.L.ヨッフム指揮RIAS交響楽団(remington)LP

折り目正しい演奏振りだが前半部で異様に盛り上がり、異様なスピードの中で超絶技巧や胸のすく表現が聴かれる。さすがに速すぎて超高音域で音程が上ずったりするところもあるが、気にとまらないくらいの勢いと雄弁さに圧倒されてしまい、この曲は二度と弾くまい、と思わせるくらいなのだ。

が、ファンファーレ後の明るい曲想になると息切れがしてくる。精彩を欠くようになる。重いロマンティックな中欧の楽曲を得意とするソリストなのかもしれない。民族性を露骨に発揮するべき浅はかな後半部で、前半部と同じ人とは思えない左手の曖昧さや右手の生硬さが残念だ。かわってバックオケはここぞとばかりにドイツ的な表現で堅牢さを見せている。○にしておく。モノラルだが明瞭なレミントンらしい音。
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☆オッフェンバック:バレエ音楽「パリの喜び」(ロザンタール編)

2016年12月02日 | ドイツ・オーストリア
◎ロザンタール指揮RIAS交響楽団(REMINGTON)

ロザンタールはモンテカルロバレエ団のために上演用としてこの編曲をなし、この演奏も初演に忠実になされたと表記がある。もっともロザンタールにはモンテ・カルロのオケによる新しい録音(NAXOSに入っている)があるので、レミントンマニアでないかぎりこれを聴く意味は無い・・・と思ってびっくり。

いやーオッフェンバックってケルンの近くで生まれたんですよね、ドイツだ。この演奏、余りにオケが中欧色濃すぎて面白いのだ。重い響きや動きがロザンタールの拡散的で明るい音楽と程よく調合され、実に充実した聴感の深みある演奏に仕上がっているのである。RIASがこういうノリ方をするのも面白いし、木管を始めブラスに弦楽合奏、全てがまるでワグナーを聴くよう。フレンチカンカンの後にはいきなりマーラーになってしまう。

だがロザンタールの本領たる・・・録音では今一つ客観的に整え過ぎに聴こえるきらいもあるが・・・「舞踏性」「前進性」が活きている。とにかく積極的に引っ張って、この結局ドイツ的なオケに突進する勢いを持たせ派手な表現を可能とさせている。

曲自体非常に人気があるもので、ロザンタールの編曲も聴き映えする。だいたいオッフェンバック自体軽音楽的な見られ方をしがちだが、オケ本来の特色並びにロザンタールの手腕により、全く下品になっていない。寧ろ同時代の中欧ロマン派音楽からしっかり学んだよく出来た曲なのだなと思わせる。ちょっと吹くくらい真面目な演奏表現もあるが、抽象音楽として愉しむにはうってつけの演奏。

Offenbach, Rosenthal: Gaite Parisienne/ Offenbachiana/ Rosenthal, Monte-Carlo PO

Offenbach arr Rosenthal: Offenbachiana
Comments (2)
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☆ルーセル:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」第二組曲

2016年12月02日 | Weblog
○ルフト指揮ベルリン放送交響楽団(URANIA)LP

堅牢でドイツ的な演奏だがこの曲の一面をよく浮き彫りにした演奏である。これはマーラーだな、と思うところすらあるカンチガイ演奏、いやむしろこちらのほうが正しいのか?ミュンシュがこの曲の権威であることは論を待たないが、そのミュンシュに感じられるどこか奇妙な感覚、和声がリズムからはみ出してくるような、フランス人がその流儀のままドイツ音楽を演奏しているような違和感が、ここでは見事に感じられない。割り切ってドイツ音楽として聞けばよいのだ、この曲は。ここまでしっかり緻密に書かれていることにも驚かされる。びしっと揃った重い音がお祭りのような盛り上がりではなく軍事パレードのようないかめしくもカッコイイ行進を見るようで、壮観。ドイツで人気があったのはあたりまえだ。こんな曲だったとは。古いので○にとどめておくが、目ウロコの演奏です。チェリが戦後すぐにルーセルを取り上げていたのも肯けるなあ。ルフトは覆面説あり。,
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チェレプニン:10のバガテルop.5

2016年12月01日 | Weblog
作曲家(P)(動画配信(音声のみ))1938ソヴィエト放送録音

粗野で単調なリズム、必要最小限に律せられた旋律、まるでサティやラヴェルのような響き、この時期のフランス楽壇、プラスストラヴィンスキー、プラスプロコフィエフに同調といった趣の強い作品ではあるが、一曲目に集約された民族性に象徴される、この作曲家のフォーク趣味、それを手法として意識的に構築していく後年につながる個性の在りどころを既に明確に示している。とても耳馴染みよく演奏上の困難も(こうやって豪快に弾ききってくれているわけで)あまりないと推察される反面、どこか内省的で思索する雰囲気もあり、その小宇宙はラヴェルであるとともにプーランクのピアノ曲をもおもわせ、単純とも言いきれない。古い録音は色々考えさせられて良い。巧みではないが強靭でセンスのある色彩的な演奏。
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☆ドビュッシー:管弦楽のための映像~Ⅱ.イベリア

2016年12月01日 | Weblog
○シューラー指揮プロシア国立管弦楽団(URANIA)LP

???な演奏家・演奏団体の多いウラニア盤LPから。なかなか腕の有る楽団に聴こえるから、オケの名前が変えられている可能性が高い。常任だったプロイセン国立歌劇場管弦楽団(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)だろう。ひびきにドイツ的にどっしりした部分もなきにしもあらずだが、寧ろ高音楽器のカンタービレが生かされた演奏ぶりはラテン系の演奏様式に近い。そのミスマッチがなかなかに面白いのだ。ライヴかと聴き枉ごう雑味もあるが、この安定感あるイベリアは聴き易い。これがドビュッシー的にどうなのかわからないが、ドビュッシーマニアは聴いて損はすまい。○ひとつ。,
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☆ドビュッシー:小組曲(ビュッセル管弦楽編)

2016年12月01日 | ドビュッシー
○コンドラシン指揮モスクワ・フィル(MELODIYA)LP

ステレオ。しょっぱなからいきなり恍惚としたテンポにのけぞる。何というロマンチシズム!それが4楽章の緩徐部にいたるまで続くのだ。コンドラシンらしい前進性は4楽章のワルツ主題にしかあらわれず、それも音のキレだけで、テンポはかなり穏やかだ。意外と色彩的な広がりは好録音ゆえのことだとは思うが、かなりガウク的なフランスものであり、万人向けでもコンドラシンマニア向けでもない。個人的にはロマンチシズムはアリ。○。
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☆ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲

2016年12月01日 | ストラヴィンスキー
○クレンペラー指揮ACO(archiphon:CD-R)1957/1/20live

一楽章こそ遅くて重苦しいが、二楽章の繊細さに透明感、三楽章のリズミカルさに破壊的な推進力は圧倒的。いずれも音表現が明確で、緩やかになったり細くなったり途切れたりは決してせず、デジタルな数学的合理性を重視するストラヴィンスキーの美学にあったものになっている。クレンペラー壮年期の煌きが未だ感じられる爽演。しかもオケがいい。後年のイギリスでの柔らかい響きのものに比べ未だ鉄壁の機能性を誇るACOの、叙情的なソロからトリッキーな合奏での一糸乱れぬ表現の幅に感服する。惜しむらくはやはり録音状態で、かすれ気味なのは痛い。○。

↓フィルハーモニア管弦楽団とのスタジオ録音
ストラヴィンスキー:三楽章の交響曲
クレンペラー(オットー)
EMIミュージック・ジャパン

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↓(LPOと記載しているデータもあるが同一音源)
Klemperer: Merry Waltz; Weill: Kleine Dreigroschenmusik; Hindemith: Nobilissima visione

EMI

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