○近衛秀麿指揮新交響楽団、北澤栄子(sp)(DENON/日本COLUMBIA/ローム)1930/5/28,29パーロフォン録音・CD
メロメロで縦ずれ危なっかしいが、きっぱり歯切れいい近衛の棒によって崩壊せず寧ろ引き締まった感さえ与える演奏に仕上がっている。アーティキュレイションに古めかしい所も無きにしもあらずだが、基本的に粘らず直截である。エーリヒ・クライバーに私淑していたのもさもありなん、古い録音のため音色が潰れているからなおそう感じるのかもしれないが現代的である。録音のせいかピッチがずれて気持ち悪い箇所もあるし3楽章から4楽章のところでカットがあるが、同曲最古の録音(マーラーのシンフォニー全曲録音としてはフリートの復活に次ぐ二番目の古さ)としての資料的価値のみに留まらない面白さがある。一種アマオケを聞くような一期一会の緊張感があり(といいつつソロ楽器がコケまくりだったりもするが)2楽章あたりからマーラーらしさが感じられてくる。奇怪さがよく演じ上げられている。基本的には明るい色調ではあるが3楽章などワルターを思わせるドラマがあり、テンポは基本的に速く揺れないものの、美しくむせ返るような音には感じ入らざるを得ない。古典的な構成感を大事にしながらも時代の景色を香らせて、5番アダージエットの先触れとなる弦の終止音形あたりの幻想味などなかなかに感動的だ。落ち着いた4楽章のテンポも前楽章の余韻を残していてよい。依然幻想は続く。オールドスタイルの歌唱は同時代の西欧の歌手の録音に決してひけをとるものではない。進駐軍のレコードマニアが日本に来た時買いあさって一時品薄になったというこのSP音源、1、2回CDになっていたかと思うが恐らく現役ではない。どこかで見掛けたら手に取ってみて下さい。なにぶん古いので過度の期待は禁物ですけど。録音月日はN響の4楽章抜粋盤と相違するが恐らくこちらが正しい。ソプラノの名前が違っているが同一人物である。どちらの記載ミスなのかわからないのでそれぞれの盤にあわせて書いておく。2006年1月ロームのSP日本録音復刻集第二弾で10数年ぶりに復刻された。
※2005-02-22 20:10:26の記事です
メロメロで縦ずれ危なっかしいが、きっぱり歯切れいい近衛の棒によって崩壊せず寧ろ引き締まった感さえ与える演奏に仕上がっている。アーティキュレイションに古めかしい所も無きにしもあらずだが、基本的に粘らず直截である。エーリヒ・クライバーに私淑していたのもさもありなん、古い録音のため音色が潰れているからなおそう感じるのかもしれないが現代的である。録音のせいかピッチがずれて気持ち悪い箇所もあるし3楽章から4楽章のところでカットがあるが、同曲最古の録音(マーラーのシンフォニー全曲録音としてはフリートの復活に次ぐ二番目の古さ)としての資料的価値のみに留まらない面白さがある。一種アマオケを聞くような一期一会の緊張感があり(といいつつソロ楽器がコケまくりだったりもするが)2楽章あたりからマーラーらしさが感じられてくる。奇怪さがよく演じ上げられている。基本的には明るい色調ではあるが3楽章などワルターを思わせるドラマがあり、テンポは基本的に速く揺れないものの、美しくむせ返るような音には感じ入らざるを得ない。古典的な構成感を大事にしながらも時代の景色を香らせて、5番アダージエットの先触れとなる弦の終止音形あたりの幻想味などなかなかに感動的だ。落ち着いた4楽章のテンポも前楽章の余韻を残していてよい。依然幻想は続く。オールドスタイルの歌唱は同時代の西欧の歌手の録音に決してひけをとるものではない。進駐軍のレコードマニアが日本に来た時買いあさって一時品薄になったというこのSP音源、1、2回CDになっていたかと思うが恐らく現役ではない。どこかで見掛けたら手に取ってみて下さい。なにぶん古いので過度の期待は禁物ですけど。録音月日はN響の4楽章抜粋盤と相違するが恐らくこちらが正しい。ソプラノの名前が違っているが同一人物である。どちらの記載ミスなのかわからないのでそれぞれの盤にあわせて書いておく。2006年1月ロームのSP日本録音復刻集第二弾で10数年ぶりに復刻された。
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