人間にとって、89年という歳月は、いったいどれほどの長さなのだろうか。
つい先日41歳になったばかりの僕は、昨日からずっとそんな事を考えていた。
昨夜は遺族を代表して、僕が葬儀場に泊まった。
少し狭い安置室で、祖母の横に布団を敷いて一緒に寝た。
「なぁ、おばあちゃん・・・」
二度と口を開くことのない祖母にむかって、僕は尋ねた。
「長かった?」
「短かった?」
「・・・幸せだった?」
35年ぶりくらいに祖母と一緒に寝た僕は、あの頃と同じように、暗くした部屋の怖さや不安を払拭するために、祖母に尋ね続けたのかも知れない。
朝。
いつもより少し早く目が覚めた。
僕はまず、線香が消えていないことを確認した。
会館の職員の方が、コーヒーと朝刊を持って来てくださった。ありがたい。
時間が止まっていた安置室にも“今日”という日がやって来た。
僕の目も覚めた。
今日は、通夜だ。
明日は、本葬だ。
おばあちゃん、ちゃんと送ってあげるからね。
27年も前に早々と旅立ったおじいちゃんや、母親の自分より先に逝った、僕の叔父である息子に、もうすぐ再会できるから。
初孫だった俺はもちろん、家族のみんな頑張るから、もう少し待っていてください。
つい先日41歳になったばかりの僕は、昨日からずっとそんな事を考えていた。
昨夜は遺族を代表して、僕が葬儀場に泊まった。
少し狭い安置室で、祖母の横に布団を敷いて一緒に寝た。
「なぁ、おばあちゃん・・・」
二度と口を開くことのない祖母にむかって、僕は尋ねた。
「長かった?」
「短かった?」
「・・・幸せだった?」
35年ぶりくらいに祖母と一緒に寝た僕は、あの頃と同じように、暗くした部屋の怖さや不安を払拭するために、祖母に尋ね続けたのかも知れない。
朝。
いつもより少し早く目が覚めた。
僕はまず、線香が消えていないことを確認した。
会館の職員の方が、コーヒーと朝刊を持って来てくださった。ありがたい。
時間が止まっていた安置室にも“今日”という日がやって来た。
僕の目も覚めた。
今日は、通夜だ。
明日は、本葬だ。
おばあちゃん、ちゃんと送ってあげるからね。
27年も前に早々と旅立ったおじいちゃんや、母親の自分より先に逝った、僕の叔父である息子に、もうすぐ再会できるから。
初孫だった俺はもちろん、家族のみんな頑張るから、もう少し待っていてください。