りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

秋の香り。

2011-10-04 | Weblog
僕の実家には、キンモクセイの樹が植えてある。

物心ついた頃には、もうそこそこの大きな樹だったので、
それが庭にあるのが僕にとっては当たり前だった。

家を離れて、大人になって、ふとした所で懐かしい香りに
出会うことがある。

何の香りかと思い、その香りの方へ顔を向けてみると、
そこには必ずキンモクセイが小さな橙色の花を咲かせている。

そう、今頃の季節だ。

夜、ウォーキングに出かける。
昨日も玄関を出て、軽くストレッチをしながら、ふと、思った。

夜の香りがする。
秋の夜の香りがする。

昔ならば、“あぁ、季節がまた変わろうとしているんだ”という
くらいにしか思わなかった。
しかし、最近になって、ちょっと考える。

秋にしろ、春にしろ、夏にしろ、冬にしろ、季節の香りというのは、
いったい何なんだろう?と。

広島の都心で暮らしていた20歳の頃や、福山市内で暮らしていた
30歳の頃には、そんなことを考えたこともなかった。
なにしろ、そこには季節の香りなど、どこにもなかったのだから。

こんなことを考え出したのは、おそらくこの街・・・生まれ育った
この場所に帰ってきてからだ。

夜、一人で歩きながら、勝手に結論づける。

この秋の香りというのは、きっと、周囲の山々の緑や花や土の匂い
なのだろう。
秋に咲く花や、真夏を謳歌し少しずつ朽ちてゆく緑や、生を全うした
昆虫たちが分解されてゆく土の匂いが混じりあった香りなのだろう。

それは自然が発酵する香りだ。
生命が醸し出す豊かな香りだ。
コンクリートとアスファルトに閉ざされた場所では薫らない香りだ。

今日も、僕は、歩く。
豊穣な秋の香りに包まれて、僕は一人、歩く。
コメント (2)
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