りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

ベッチャー祭り。

2011-10-19 | Weblog
先週あたりから、尾道市内にベッチャー祭りのポスターが掲示されはじめた。

昨年のベッチャー祭りは、NHKの連続テレビ小説「てっぱん」の効果もあって、
例年も増して盛況だったようだ。

ところで、このポスター。
今から5年ほど前に制作されたのだが、ポスターのデザインを担当したのは、
僕である。

5年前、ベッチャー祭りは200周年を迎えた。
それを機にポスターのリニューアルが行われることになり、詳しい経緯は
知らないが、僕が勤める広告代理店にそのオファーが来た。
しかし、そのポスターのデザイン自体を自分が担当することになるとは
予想だにしていなかった。

ベッチャー祭りは、尾道を代表する有名な祭りである。
しかも200周年記念である。
これでプレッシャーが生まれないわけがない。

もう5年も前のことなので、当時どんな気持ちでどんな風にデザインを
考えて創っていったのか明確な記憶は残っていないが、約2ヶ月ほどの
期間で何とかデザインを完成させ、無事ポスターに仕上がった。

僕自身は5年前のデザイン制作時に関わっただけで、それ以降は僕の手元を
離れ、毎年この時期になると祭りの実行委員の方々の手によって街に貼り
出される。
その度に、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、僕は誇らしい気持ちになる。

尾道で生まれ育った子どもなら、必ず幼い頃に1度や2度はベッチャー祭りで
鬼(正確には神様)たちに追いかけられる。
そして子どもたちは異様な形相の鬼たちに怖れおののき、絶叫のような泣き声
を上げながら逃げ回る。
親たちは、そんな子どもを抱きかかえて、あえて鬼たちに子どもを叩いてもらう。
叩いてもらうと、無病息災になるという言い伝えがあるからだ。

僕も子どもの頃に、何度も叩かれた。
そして自分の子どもも、叩いてもらった。
極端なことを言えば、尾道やその周辺地域のほとんどの人が、幼少の頃、一度や
二度は叩かれたことがあるのではないだろうか。
そしてそれは、強烈な幼児体験として、心の片隅に刻み込まれる。
そんな祭りのポスターのデザインを担当したことを、僕は誇りに思う。

もしも。

不謹慎な例えかもしれないが、もしも、僕が今、死んだとしても、
“2000年代の半ばから5年間のベッチャー祭りのポスターは、りきるがデザインした”
という事実が後世に残るならば、もうそれだけで十分かなぁ・・・と思うことがある。
200年以上連綿と続いてきた伝統ある祭りに、ある時代の数年間、自分の“個性”
そのものが関わることができるなんて、そう滅多にあることではないんだから。

今年も、ベッチャー祭りがやってくる。
11月3日(祝)は、みんな尾道へ来んさいや!
コメント (2)
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