去る8月1日、「マウリッツハイス美術館展」と「バーン・ジョーンズ展」を観に出かけた。
7ヶ月ぶりで訪れた上野公園あたりは、カフェができるなど、様変わりしていた。
まだ、工事しているところがあるので、次に訪れたときはまた変わって驚くのだろうな。
東京丸の内界隈をまともに歩いたのは、今回が初めて。
といっても、「バーン・ジョーンズ展」を開催している三菱一号館までなのだが。
旧丸ビルにもはじめて足を踏み入れた。
とてもすっきりとまとめられ、銀座とも新宿とも渋谷とも池袋とも違う、丸の内風なのだろう、場所柄に合わせて雰囲気が違う、街づくりの面白さを感じた。
東京ほど大きい街ではないが、パリなどでも地区ごとに特色がちがうのだから、街の用途に合わせた雰囲気の違いはもっともなことなのだ。
その丸の内の中でも、三菱一号館を含む一区画は、植物を効果的にあしらい、噴水を中心とした広場の構成の仕方は、いわば西洋的都市空間の演出がなされていた。
お金と手間をかけた人工的憩いの空間は、安心してくつろげる子宮的場となっている。
周りには、雑貨やカフェにワインバーが営業していて、目を楽しませ、舌の快楽も気軽に提供されるのだ。
それに、丸の内ということもあって、ここが人であふれかえることもないのだろう、特権的な楽園といった印象を持った。
だからといって、非難しているのではない。
文化は、人の営みの上澄みのようなものだから、丸の内的都市空間は必要なのだ。
また、逆も然り。
注文があるとすれば、徹底的に贅を尽くし、時間のふるいに耐えられるものをつくってほしい、この一点のみ。
本当の富を持つ者が絶滅状態にある中、それに代わる企業はこの努力を惜しんではならない。
時代を表象する街、建築物、都市空間、そういったものを真剣につくってほしい。
それにしても、丸の内歩きは楽しかった。
もちろん、「バーン・ジョーンズ展」も良かった。
三菱一号館の建物の保存も申し分なく、その利用方法も適切だった。
また、誘われるような企画があったなら、丸の内を訪れたいものである。