rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

我が家の気象予報士

2012-05-09 22:55:47 | ねこ

暮色の中のねこ、切り株の上で 6/5/2011

7日の日曜日は、かつてないくらい凄まじく荒れた天候だった。
茨城県西から栃木県東にかけて、4本もの竜巻が北東に向けて走った。
また、落雷や降雹に見舞われ、被害も相当ひどかった。

この日は、朝から蒸し暑く、空気がどんよりと重く感じた。
ねこの姿は、どこにもない。
きっと暑さを避けて、公民館の縁の下にもぐりこんでいたのだろう。
正午あたりから風が強くなりだし、西方から遠雷が聞こえてきた。
音のする空を見てみると、灰色の分厚い雲の塊が広がっている。
心なしか嫌な予感。
もしかすると、天気はとんでもなく荒れそうだ。
家の窓を全てぴったりと閉め歩く。
飛ばされそうなものを物陰へと移動する。
注意深く空の変化を見守った。
落ち着かない気持ちで歩き回っていると、テレビのニュースでつくば方面で竜巻被害があったことを知る。
それから程なく、突風が吹き始め、畑の土を横殴りにたたきつけだした。
そらには、真っ黒い雲が墨だまりのように形を変えながら押し寄せてくる。
竜巻にならないことを祈りながら、嵐が過ぎ去るのをじっと待つしかなかった。
そのうち、ボツボツと大粒の雨が落ちだして、嵐は東へと去っていった。
夕方まで雷の音は聞こえたけれど、夜に巨大な月が空に昇る様子が見られるように、嵐の気配は消えていた。
そして、とうとうねこの姿は現れなかった。

翌日、庭にはいつものねこのまどろむ姿があった。
いや、正体ないくらい熟睡していた。
声をかけても、耳をピクリとも動かさず、まして薄目を開けることもない。
たぶん、昨日の嵐を、全身全霊で耐え抜いていたのだろう。

ところで、今日のねこは、いつも通り芝生の上に仰向けで寝ていた。
3時になると、待ち伏せしていたねこに、「ごあん、おかああん」と声をかけられた。
落雷・降雹・竜巻注意報が出ているけれど、7日のねこの様子から推し量ってみて、今日はさほど荒れないだろうという気がした。
とりあえず今のところ、その予想は当たっているようだ。

ねこは、生来の感覚で、何かを察知するに違いない。
さしずめ我が家の気象予報士といったところだろう。
明日の天気はどうなるのか、ねこチェックは欠かせない。


お約束のニョロニョロ登場

2012-05-07 23:09:01 | 生き物たち
今日も、ヘビは庭を急ぎ横切っていった。
大きさからいって、チロではない。
だから、コチロとする。
5月2日にも、氏神様を祭ってある木の根方近くと玄関前の芝生の上で日向ぼっこをしていた。
コチロにとっても、我が家は棲み処となっている。
ふむ、どうにもこうにも致し方ないことなのだが、ちっとは遠慮をしておくれとぼやきがはいる。
ねこは、コチロくらいの長さになるともう見向きもしない。
1.5メートルむこうで日向ぼっこをしたり横切るコチロがいても、知らんぷりで昼寝だ。
ねこは、頼りにできない。
そこで、ヘビの活動期には、足を強めに踏み鳴らしヘビに注意を促してから庭を歩くのが慣わしに。
今年も、そんな時期になったのだな。
そして、苦手な夏へと季節は進む。
買い物に出かける車を運転しながら、ジリジリと差し込む痛暑い日差しにうんざりしていた。
ヘビとても、暑過ぎると身の置き場に困り果て、あられもない姿態を晒しているときを見かける。
同じ生き物同士、同じ土地に住む仲間として、コチロとここで暮らしていくのだな。
前向きな諦めを持って。

スーパームーン、2012年5月5日と6日

2012-05-06 22:46:08 | 空・雲・星・太陽たち
月が、ひときわ大きく輝く夜、スーパームーン。
地球と月の距離が、最短でしかも満月の幸運に恵まれてのこと。
今回、通常の満月より14パーセント大きく、30パーセント明るいという。

昨日はこどもの日。
玄関の軒先には、菖蒲の葉が飾られていた。
空には、大きな満月。
幽玄鬼気迫る情景、本当に鬼が徘徊しそうではないか。
小さな人は、菖蒲湯に長く浸かり、魔よけの効果を身につけていた。

月と地球は、運命共同体。
広大な宇宙に肩を寄せ合い浮かんでいる。
月がなければ、海の満ち干がなく、生物の生存と進化にも大きく影響していただろう。
だからというわけではないが、スーパームーンは、何かしらの作用を地球と地上に生きるものたちに与えるかもしれない。

それでも、今夜の月は美しい。
日本人は、月を大切に思ってきた。
なにかの予兆を告げる使者として、季節をともに愛でる伴侶として。
空を見上げてみよう、大きく丸い月がひときわ輝いているのを。

赤道直下のボルネオ島、東マレーシア

2012-05-06 00:40:28 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」ボルネオ島の北側に位置する、東マレーシア。
熱帯雨林が広がる、生き物の宝庫。
この島固有種であるのテングザルといい、カニクイザル、オラウータン、シルバーリーフザルなど多様なサルの楽園でもある。

東マレーシアの中心となる街クチンは、サワラク川河口に位置する。
マレー語でクチンとは猫のこと。
街には、ネコのオブジェが無数置いてあるという。
オブジェだけじゃなく、本物の猫もたくさんいたら、猫好きが訪れたい街の上位になるはず。
この街は、地図で見ると天然の水路がめぐらされた街となっている。
南シナ海に面した海岸付近にあるバコ国立公園は、熱帯雨林とマングローブが生い茂る。
運が良ければ、潮が引きマングローブの葉を食べに来る希少なテングザルに遇えるかもしれない。

クチンのあるサワラク州名物に、コショウがある。
マレーシアで生産するコショウの90パーセント以上で、日本は大のお得意様なのだそうだ。
ご多分に漏れず、コショウを使った様々なアイデア名物があるが、コショウの香水には驚いた。
確かにスパイシーな香りだろう。
けれども、イスラム教徒の多い国ならではの理由もあった。
香水の溶剤にアルコールがある、しかし、アルコールは宗教上ご法度であって、コショウから取れるコショウオイルを代替に使うなかからできたものらしい。

クチンのグルメの中に、”ラクサ”という麺物がある。
一般的には、卵麺を使うのだが、クチン流では細いビーフンで作る。
エビの濃厚なスープと唐辛子パウダーなどでできたスープで食べるもの。
食べる直前に、ライムを搾ったり、サンバルというエビの塩辛を加える。
他には、サワーソップを使ったアイスクリームがある。
サワーソップとは、別名オランダドリアンといい、普通のドリアンよりも酸味があるらしい。
それにヨーグルトをブレンドして作るアイスクリームは、バナナのようにクリーミーで、パイナップルのよう爽やかな酸味があり、とても美味しいという。

クチンは、ビーズ細工の工芸品も有名。
もともとは、赤ちゃんの背負子にした魔よけが由来。
数百年から数千年前、ビーズは富の象徴として代々受け継がれる家宝であった。
それらの大半は、中国やオランダから持ち込まれたもので、ガラスや陶器でできている。

クチンからボートで30分にあるアナライス温泉は、山岳民族ビタユ族の住むアナライス村にある。
ここで足湯に浸かり、ミサイクチンのお茶を飲むと、健康にとてもいいとされる。
ミサイクチンの葉には、解毒作用があり、利尿作用、高血圧、糖尿病に効果があるらしい。
ちなみにミサイクチンの花は白く、おしべがピンと長いところが、猫のひげに似ているところから、その名も”猫のひげ”とそのままついている。
ここに、クエ・ラピスというお菓子がある。
真緑に赤、黄色にオレンジ、ピンク、けばけばしい色の付いた層状に焼かれたバームクーヘンのような焼き菓子だ。
その毒々しく思える色に引いてしまうが、全て植物や果物からとった天然色素で無害とのこと。
一方の味は、ほの甘く素朴な味わいだという。

東マレーシアは、赤道直下の熱帯にある。
豊かな水と緑が育む命のゆりかご。
人の身勝手で、命のゆりかごを破壊しないように、大切にしていこう。

聖なる狂気、三島由紀夫自選短編集”殉教”

2012-05-04 23:10:57 | 本たち
三島由紀夫の作品は、”仮面の告白””禁色””美徳のよろめき”、途中で挫折した”暁の寺”以来、久方ぶり。
この”殉教”、短編集といえども、軽く読めるものではなかった。
密度の濃い異空間を旅する旅人のように、狭く入り組んだ路地を手探りで辿るかのようであった。
読み終えたのは、一週間くらい前のことなのだが、その世界にどっぷりと浸かりすぎて、まだ受け止めたものを客観的に表現できない。
セピアのワントーンがかかった不可触で剥き出しの狂気、善悪の彼岸が、そこにはあった。
何かに憑りつかれ、それに真向かっていくことは、一般的意識からの離脱といえるだろう。
その狂気は、他と相容れることはほとんどなく、孤独だ。
もし、他を惹きつけるとすれば、理解しえぬものへの憧憬がそうさせるのだ。
三島は、自分の絶対的孤独を痛感していたのか。
この短編のどれもが、痛いくらいの孤独と不可侵な狂気を、読み手に突きつける。