朽ちかけた梅の木 16/3/2014
苔むして風格も 16/3/2014
暖かな陽射しに誘われて、梅の香りが風に乗って漂ってきた。
ほの甘い香りをマスク越しに鼻腔いっぱいに吸い込んで春を楽しいでいると、どこからか不慣れなウグイスの鳴き声が聞こえてくる。
梅にウグイス、まるで花札のようだが、なぜだかめでたい気分になって、カメラを持ち出しそこここ構わず写しだす。
青空を背に梅の花を写そうとしたところ、露出がどうもオーバー気味で白く飛んでしまってどうも上手くいかない。
スギ花粉も盛大に空中を舞っていて、マスクをしていてもくしゃみが止まらなく、いつまでも外にいるのは好ましくないので、諦めて朽ちかけた梅の老木を撮ることにする。
苔がこびりつき幹の中は虫に喰われ空洞になっていてもなお春になれば花を咲かせる、その生命力の強さよ。
若く元気なものが美しいのは当たり前、老いて朽ちようとするものは身体に刻み込まれた年月が荘厳な衣装となって風格を与え違う美を醸し出す。
老いも若きも、古きも新しきも、混在することが豊かさだ。
単一の世界は、何も起こらない停止した、それは死の世界。
そんなことを考えながら、梅の老木を撮っていた。
二度目に聞いたウグイスの歌声は、咽喉の調子が整ったのか、伸びやかさが感じられるものだった。
クリスマスローズ 16/3/2014