大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・34「ブスのクラブサンドイッチ・1」

2018-02-12 16:29:27 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・34

『ブスのクラブサンドイッチ・1』

 

 

 目が覚めると、お日様は真上に来ていた。

 

 川辺の広葉樹の下で寝っ転がっていたので、日差しが半分も無く目が覚めなかったようだ。

「あ、あち!」

 起き上がる時にレガースに手を当てると、火傷しそうなくらいに熱い。

 膝から下が木陰から出ていて、金属製のレガースが焼けていたのだ。

 お日様が南中して、木陰が動いて、脚が日向に飛び出してしまったようだ。

 期せずして頭寒足熱になったようで、我ながら健康的な昼寝をになった。

 

「オーーーイ!」

 

 橋の上から声が掛かる。首を巡らせるとブスが左手を振っている。右手は石の欄干に隠れて見えないが、どうやら何かを持っているようだ。

 石段を下りる時も器用にマントで隠しているので、なにを持っているのかよく分からないけど、ひどく楽しそうなので、姿を消していたのは、そいつのためだったと思える。

「ウフフフ」

「変なやつ、なに持ってきたんだよ?」

「な~んだ?」

「ハハ、なんだよ?」

「当ててみそ(^^♪」

 ブスは目をへの字にしてピョンピョン撥ねる。すると、かすかにいい匂いが立ち込める。

 ビネガー混じりのドレッシング……揚げ物……それにスパイシーななにか……要はおいしそうな匂いだ!

 近ごろのゲームのグラフィックは驚異的で、視覚を通していろんな疑似感覚を覚える。

 日差しの温かさや頬を撫でる風、ご馳走を観たら、なんとなく匂いを感じることもある。VRで女の子の家庭教師をするゲームがあるが、女の子が落としたシャーペンを拾おうとして、そのうなじが迫ってくると、吐息や女の子の匂いを感じたりするそうで。それは、視覚が他の五感に影響して錯覚させるらしい。こういう錯覚には積極的に没入したした方がいい。

「なにか食べ物だな!」

「さすがナンシー、ジャーーン!」

 差し出したのは乙女チックなランチバスケットだ。

 手際よくランチシートを広げ、腰を下ろすと、自分の横をポムポム叩く。座れということだ。

「え、え、ま、いいけど」

 こういうシチュには慣れていないので、どうも不貞腐れた物言いになる。そんなことは気にせずにバスケットを開帳するブス。

「はい、召し上がれ🎵」

「ウワ~~~~~」

 クラブサンドイッチというのか、三枚の食パンの間にレタスやチーズやベーコンやタマゴやハムやフライなどが挟んであって、その隙間には手作りらしいソースが頃合いにはみ出ていて、見るからに美味しそうなのだ! それが、バスケットいっぱいにギッチリと詰まっている。

「いっただきまーす!」

 さっそく一つ掴んでハムハムと頬張るオレ様だった!

 

コメント
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