大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:206『天の斑駒だピョン₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎!』

2023-09-15 09:25:23 | 時かける少女

RE・

206『天の斑駒だピョン₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎!』テル 

 

 

 この馬は天の斑駒だピョン₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎!

 白ウサギは、馬の背中に飛び乗ると、腰に手を当て胸を反らせて言い放った。

 

桃太郎二号:「アメノフチコマぁ?」

 桃太郎二号がうさん臭そうに腕を組むとイザナギさんが「ハッ(゚д゚)!」と息を呑んだ。

イザナギ:「わたしは娘のアマテラスに高天原を治めさせるんですが、そのときに持たせてやったのがアメノフチコマなんです。おとなしく力持ちの馬なのですが……」

白ウサギ:「そうだピョン、でもスサノオのバカが皮を剥いて織姫の機屋に放り込んだんだピョン」

みんな:「「「「ええ( ゚Д゚)!?」」」」

白ウサギ:「で、神話の中でもいちばんかわいそうな馬なんで、活躍のチャンスをつくってやろうってことになったピョン」

与一:「わたしの馬は?」

白ウサギ:「もう歳だピョン、那須の田舎でさんざん働いて、余生を与一の家で畑耕していた年寄馬でしょ」

与一:「ああ、でも、乗り手の呼吸をよく読んで自在に動いてくれる名馬だったんだぞ。屋島で活躍できたのも、あの馬がいたからなんだ」

白ウサギ:「ああ、それなあ……馬も喜んでたピョン。でもな、もうあれが精いっぱいのとこさ。与一が乗る前に10人の兄ちゃんたちが、さんざん乗った馬だったからね。それに、壇ノ浦から鬼ノ城まで駆けに駆けて、もう中国山地を超えて黄泉平坂までは無理ピョン。療養させて那須に帰してやるから、天の斑駒に乗ってけピョン」

与一:「そ、そうであったか……」

ヒルデ:「このお膳立てをしたのは白ウサギではないだろう?」

白ウサギ:「えと……」

テル:「岡山でアルバイトしてたやつが、ここまでのお膳立ては無理っぽくないか?」

ケイト:「あ、ひょっとしてペギーのおばさんに頼まれたとか!?」

テル:「面倒見のいいペギーならあり得る話だけど、ここは、ペギーにとっての本拠地ではない、そこまでできるだろうか?」

白ウサギ:「じつはね……名前は言えないんだけど、ある人に託されたんだピョン。その人は、えと……黄泉平坂の途中の船通山てとこで待ってるから、途中で寄って欲しいピョン」

イザナギ:「船通山……」

ヒルデ:「ご存知か、イザナギ殿?」

イザナギ:「船上山というのもありましてね……申し訳ない、ちょっとゴッチャになっています」

白ウサギ:「ま、そういうことだから、ちゃんと行ってくれよね。じゃ、例の手紙もわすれないでねピョン!」

 馬の背から大きく跳ぶと、すぐに林の中に隠れてしまって気配が無くなった。

タングニョースト:「急ぎましょう、うかうかしていると鬼ノ城で一泊することになります。車が走る道に出て距離を稼ぎましょう」

ヒルデ:「ああ、そうだな。雪舟ねずみ頼むぞ」

雪舟ねずみ:「はい、任せてください!」

 

 そして、鬼も城を出たわたしたちは『黄泉の国を目指す有志の会』の旗を『黄泉の国を目指す勇者の会』に替えて、勇ましくも陽気に北を目指すのだった。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ

 

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RE・トモコパラドクス・18『乃木坂パンケーキ』

2023-09-15 06:54:09 | 小説7

RE・友子パラドクス

18『乃木坂パンケーキ』 

 

 

 優に五十人は並んでいた……と思いきや、角を曲がって最後尾に並ぼうと思ったら、もう八十人ほどが並んでいた!

 部室のプレステ5で紀香VS友子の模擬戦をやり、データをとった二人はいそいそと新装開店の駅前のパンケーキ屋さんに急いだのだ。

 

 乃木坂パンケーキ

 

 おしゃれなキーワードが二つも入っている。

 乃木坂ほど由緒正しく、東京の老若男女から「ちょっとオシャレでイケテル」と思われる地名はない。渋谷も池袋も新宿も人が多すぎて、ポピュラーな割にはゴッタ煮の感じで、たまに足を向けると自分が寄せ鍋の具になったようで、楽しむ前にくたびれてしまう。

 そこへいくと、乃木坂というのは有名なわりには人が多くない。前世紀の終りぐらいまでは「ああ、そういえば……」程度の知名度で、最初に思い浮かぶのは乃木大将の乃木神社。楽しむと言うよりはモノクロのゆかしさを覚える地名であった。これに色を付けたのは乃木坂を冠したアイドルグループと『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』ぐらいのもので、まだ、そんなに手垢の付いた地名ではない。なんと言っても自分の学校の所在地なので乃木坂や都乃木の生徒には五割り増しの好感度。

 方やパンケーキは、この春から流行りだした懐かし系のお手軽スィーツ。ごちゃごちゃトッピングしたり、無理やり挟んだりしないプレーンなところが、ひところ流行ったチーズケーキに似ている、価格的にもタイ焼き今川焼のレベルで高校生の財布にも優しく、近ごろでは青山赤坂あたりから足を伸ばす者もいる。

 

「ねえ、ちょっと待ってくださいよ!」

 

 寝ぼけマナコの妙子が、制服のリボンを揺らしながら、乃木坂を駆け下りてきた。

「うわー、こんなのができたんだ。おお~、いま流行の最先端のパンケーキじゃないっすか。こんなに並んじゃって。へー、こだわりのプレーンパンケーキ! これは並ばない手はないですね!」

 妙子は、列さえ出来ていれば並ぼうというオバサンDNAを働かせた。この行儀がいいというか無節操というか、こういうノリにはついて行けない友子であった。

「こう言うときに並ぶ練習して、きたるべき災害時に備えるんじゃあ~りませんか!」

 妙子はポジティブというか、おめでたいというか。ただ「食いたい!」という気持ちから災害対策まで持ち出して、その意欲を見せた。

「あ、大佛クンも浅田麻子も、徳永亮介……長峰さんまで並んでる」

「うちと都乃木(都立乃木坂高校)で半分は占めてるね」

 気が付いたら並ばされている友子。

 高校生の情熱というのは大したものだと思った。現役女子高生とはいえ中身はオバサンの友子、もっとエネルギーの使いようがあるだろうと思う。受験勉強だって、これにくらべれば高尚なものに思えたし、知識として知っている新宿フォークゲリラや、学園紛争は、文化や政治のありようさえ変える可能性があった。
 スマホで調べりゃ通学圏内に五軒ほどはあろうかというパンケーキ、さっきまで紀香とやっていた、模擬戦の方が情熱が湧く。

「……!」

「どうした、友子?」

 紀香が小声で聞いてきた。

――殺気!――

 心で叫ぶと、友子はテレポートしていた。

 また自分の能力を発見した。


 そこは、富士の樹海であった。


 木の間隠れに見える姿は、都乃木の制服を着ていた。

「あなたね、三十年前の事故から、未来の技術で蘇った子って……鈴木友子っていうのね」

 そう言うと、その子の気配は背後に回っていた。

「あなたは……」

 友子は、相手の思念やスペックを読み取ろうとしたが、何一つ分からなかった。

「この惑星の人間は、不安と猜疑心をこんなカタチで現すこともあるのね」

「それって、わたしのこと?」

 また、気配が移動した。

「あなたの中には、人類の不安がとんでもない力として凝縮されている。でもあなたには、パンケーキ屋に並ぶJKへの偏見があるようだけど、他にはこれといって悪意もない。安心したわ……」

「え……宇宙人?」


 振り向くと、誰も居らず、視界が白くなったかと思うとパンケーキ屋の列に戻っていた。

 

―― 友子、テレポしたわね ――

―― ちょっと変なのがいたんで……でも、もう大丈夫 ――

 そう言うしかなかった、相手のことは何も読めなかった。この列のどこかにはいるんだろうけど、もう気配も感じない。ちょっとおかしいけど、缶コーヒーのCMに出てくる宇宙人を連想した。

「あ~、おいしかった。やっぱ、パンケーキはプレーンだね!」

 妙子は無邪気に喜んで、向かい側のホームに行った。

「あの店、市販の業務用のパンケーキ粉に、タイ焼きの残った粉混ぜてるね」

「成分分析したのね」

「タイ焼き屋のおじさん、体こわしたんだね。で、息子が流行に乗ってパンケーキに転業」

「まあ、美味しかったし」

「並んだ甲斐はあったか。ね……友子?」

 あの宇宙人も、このことを調べに?……苦笑する友子であった。
 

☆彡 主な登場人物

  • 鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
  • 鈴木 一郎        友子の弟で父親
  • 鈴木 春奈        一郎の妻
  • 白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
  • 大佛  聡        クラスの委員長
  • 王  梨香        クラスメート
  • 長峰 純子        クラスメート
  • 麻子           クラスメート
  • 妙子           クラスメート 演劇部
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