大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:207『船通山の山頂が見えてきた』

2023-09-21 10:45:40 | 時かける少女

RE・

207『船通山の山頂が見えてきた』テル 

 

 

 伯備線に沿って北上する。

 

 道は完全に伯備線に沿っているわけではない。180号線と高梨川と伯備線が絡まるように伸びて鳥取県の米子に至る。途中船通山にも寄らねばならず、うかうかと走っているわけにはいかない。

 峠の道の駅で確認する。

雪舟ねずみ:「この山を迂回するとトンネルから出てきた伯備線が見えてくるはずです」

 雪舟ねずみはがカーナビで確認して、みんなにも説明してくれる。

イザナギ:「なるほど、この高梨川を挟んで西に船通山、東に船上山なんですねえ」

桃太郎二号:「おっさん、自分で作った国だろ、ちゃんと覚えとけよなあ」

ケイト:「神さまに、失礼だろがぁ」

イザナギ:「いやあ、面目ない(^_^;)」

ヒルデ:「イザナギ殿はちゃんとしておられる。うちの父などは、自分の世界だというのに戦争ばかりやって、娘が苦労しているぞ」

タングニョースト:「それで、二つの山にはどんな謂れがあるのですか?」

 生粋の軍人であるタングニョーストは、どこへきても地形や地理偵察に関わる情報に熱心だ。

イザナギ:「船通山は、素戔嗚がヤマタノオロチを退治して、その尻尾から天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が出現した場所なんです」

ヒルデ:「ムムム、わたしのオリハルコンの剣よりも由々し気だ(`ω´)

タングニョースト:「いえ、もとはギリシャ神話の名刀とは言え、オリハルコンは主神オーディンの賜物でございます」

ケイト:「え、メイドイン北欧神話じゃなかったのか?」

タングニョースト:「ヨーロッパは地続き、問題はない」

桃太郎二号:「船上山というのはなんだよ?」

イザナギ:「時代は下るのですが、鎌倉時代の終りに後醍醐天皇が流刑地の隠岐島から脱出して、やっと落ち着いたのが船上山なんです。太平記ファンには聖地のひとつですね」

ヒルデ:「ゆかしいなぁ日本は、神話も歴史も由々し気だ」

タングニョ-スト:「いえ、姫が閉じ込められていたムヘンの流刑地も、やがては神話になります!」

ヒルデ:「うん、そうでありたいものだな」

テル:「船通山はこの先を左のようだが……」

雪舟ねずみ:「ええと……車が入れるのは登山道口の駐車場までです、2キロの上り道、急ぎましょう」

 

 我々は雪舟ねずみの車に、与一は馬に戻って船通山を目指した。

 

 二キロの登山道を危ぶんだが、ムヘンの冒険で足腰鍛えられた我々には苦では無かった。与一はもとより坂東武者、我々の先を行ってはキリのいいところで待ってくれる。

桃太郎二号:「……ゼーゼー(´Д`;)」

ケイト:「桃太郎二号、おまえ、体力なさ過ぎぃ」

桃太郎二号:「んなこと言ったって、桃太郎は鬼ヶ島ってのがデフォルトだろがぁ、船と平地しかいかねえから、山道ってのは想定外ぃ……」

ケイト:「せめて、鎧ぐらい脱いで車に置いてくりゃよかったのにぃ」

桃太郎二号:「うっせぇ、与一のおっさんもヒルデのネエチャンも鎧じゃねえか、なんでもねえよ」

 ヒョイ

桃太郎二号:「うわ!?」

 与一が桃太郎二号を摘まみ上げて自分の前に座らせる。

桃太郎二号:「おっさん、おろせ、みっともねえ!」

与一:「行軍の速度を落とすわけにはいかん」

桃太郎二号:「くそぉ」

 

 頂上が見えてきた。

 

 頂上付近は、なにやら目出度い雲が湧き上がっていて、なにか良いことが待っているような気がした。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ

 

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RE・トモコパラドクス・24『水島クンのアドベンチャー・3』

2023-09-21 06:26:48 | 小説7

RE・友子パラドクス

24『水島クンのアドベンチャー・3』 

 


 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺されてしまう。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!

 


「いいえ、あれは宇宙戦艦キイ。ヤマトの拡大発展系……昭二クンが乗っている」

 ここが海なら、キイは沈没寸前の姿であった……。

 キイは、コントロールを失って不自然に傾いだまま、こちらを向いた。

「なるほど、ヤマトより大型ね。兵装も違うわ」

 紀香が呟いた。ヤマトと違いショックカノン砲が連装五十サンチに強化され、パルスレーザー砲も長射程に変わっていた。しかし、そのほとんどが破壊され、伝家の宝刀である破動砲も。双発の戦闘艇が突っこんで、栓をしてしまっている。艦内に残るエネルギー反応は、昭二の微弱な霊体反応だけであった。

「水島クン、まだ生きてる!」

 友子は、感動のあまり矛盾した感動を口にした。

「ハハ、もともと幽霊だもん」

 マネが、余裕の笑みで答えた。

「でも、霊波動とかあるでしょ」

「それが、あの帝国軍の弱点。やつらは、その宗教概念から、霊の存在を認めないの。だから、わたしたちのように水島クンのことは、奴らには分からない」

「それで、どうしようと言うの? もう、味方は、この艦だけなんでしょ」

「艦だなんて、生ぬるい普通名詞で呼ばないで。この艦はヤマトもムサシも、目の前のキイをさえ凌ぐ、超々々宇宙戦艦オワリなのよ」

「気持ちは分かるけど、あんまりオメデタイ名前じゃないわね(^_^;)」

「この食い違う会話って、いいわね。わたし好きよ。地球人の、そういうとこ(^▽^)」

 マネの笑みが楽しげに変わった。

「オワリは、漢字では尾張。旧日本海軍の大和級後継艦として、概念設計までされた艦よ。ちなみにあのキイは紀伊。でも、今はまさにキイよ。この戦闘の」

「どういうこと?」

「キイの自爆装置が生きている。そのスイッチを水島クンに押してもらう」

「そんなことしたら、この艦まで吹き飛んでしまうわよ」

「だいいち、敵艦隊は、ここから四百万キロも先なのよ!」

「そこで、二人の力を借りたいの……」

 マネは、左右の手で紀香と友子の胸を掴んだ。

 ムギュ

「「きゃ(゚д゚#)!!」」

――三人のコアエネルギーでキイの自爆装置をショートさせ、亜空間に送ったうえで爆沈させるの、我慢して――

 並の状況なら女同士でもセクハラだが、敵に察知されないよう、アナログな手段で情報を送ってきたのだ。

――いくわよ!――

 マネの、ダイレクトサインで、三人の念動力(サイコキネシス)は、一つの力となってキイに送られた。

 

 キイの姿が消えた。

 

 実際は、時速一光年の速度で、敵艦隊のど真ん中に突っこみ、惑星一つを吹き飛ばすほどの力で爆発したのだが、爆発は亜空間に送られてから起こったので、こちらからは消えたようにしか見えないのだ。

 結果は、海王星の陰から出たときに分かった。オワリのレーダーから敵艦隊の姿は消えていた。

 

「これで、よかった?」

 

 水島クンが、見慣れた旧制中学の姿で立っていた。

「水島クン、いつの間に!?」

「幽霊は残留思念だからね。だれかが思い出してくれたら、物理的な距離なんか関係ない」

「そうなんだ……」

 友子は、改めて感心した。

「でも、合図をしないことが合図とは考えたね」

 水島クンは、感心して言った。

「どういうこと?」

 紀香が、好奇心一杯に聞いてきた。

「海王星に来るまでにね、水島クンに伝えておいたの。三パターンのシチュエーションを」

「最悪のシチュエーションでしたけどね」

「でも、アナログな幽霊さんが、そんなデジタルなことできるんですか?」

「義体を与えてあげたの。むろん戦闘で機能の九十九%は失われたけど、自爆装置とのシンクロは最後まで失われなかった。で、予定通りってわけ」

 水島クンが、寂しそうな顔で、思い出に耽っている。

「あの義体、よかったなあ……やっぱ、生きてる体はいいですよ。それにハンサムだったし。女性乗組員からもモテましたよ……もう一回、義体になれませんか?」

「そうねえ……じゃあ」


「「かっわいい(♡ˊωˋ♡)!」」


 紀香と友子の黄色い声が揃った。

「予備の義体はこれしか残ってなくって……(^_^;)」

 水島クンは、なんと女の子の義体をあてがわれた。艦内アテンダントの汎用義体だ。

「こ、これが、僕ですか……!?」

 フェミニンボブにミニのワンピになった水島クンが驚いた。

「これで我慢して。アテンダントだから、この二人のようなスペックはないわよ。空も飛べないし、骨格もただの強化チタン合金。スペシウム光線も、小型破動砲もなし。まあ、並の人間より、ちょいましってとこ。言語サーキットは女性に。居住環境は、サービスで設定。身元は……トモちゃんのクラスメートってことで。わたしじゃ面倒見切れないからねぇ、苗字はマンマで名前は……素体のデフォルトで我慢してね」

 パチン

 マネが指を鳴らすと設定は完了した。

 ミニのワンピは乃木坂学院の制服に、髪は黒のお下げに変わった。

「わたし……水島結衣?」

 水島君の新しい人生が始まってしまった……。

 

☆彡 主な登場人物

  • 鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
  • 鈴木 一郎        友子の弟で父親
  • 鈴木 春奈        一郎の妻
  • 白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
  • 大佛  聡        クラスの委員長
  • 王  梨香        クラスメート
  • 長峰 純子        クラスメート
  • 麻子           クラスメート
  • 妙子           クラスメート 演劇部
  • 水島 昭二        談話室の幽霊
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