RE・かの世界この世界
伯備線に沿って北上する。
道は完全に伯備線に沿っているわけではない。180号線と高梨川と伯備線が絡まるように伸びて鳥取県の米子に至る。途中船通山にも寄らねばならず、うかうかと走っているわけにはいかない。
峠の道の駅で確認する。
雪舟ねずみ:「この山を迂回するとトンネルから出てきた伯備線が見えてくるはずです」
雪舟ねずみはがカーナビで確認して、みんなにも説明してくれる。
イザナギ:「なるほど、この高梨川を挟んで西に船通山、東に船上山なんですねえ」
桃太郎二号:「おっさん、自分で作った国だろ、ちゃんと覚えとけよなあ」
ケイト:「神さまに、失礼だろがぁ」
イザナギ:「いやあ、面目ない(^_^;)」
ヒルデ:「イザナギ殿はちゃんとしておられる。うちの父などは、自分の世界だというのに戦争ばかりやって、娘が苦労しているぞ」
タングニョースト:「それで、二つの山にはどんな謂れがあるのですか?」
生粋の軍人であるタングニョーストは、どこへきても地形や地理偵察に関わる情報に熱心だ。
イザナギ:「船通山は、素戔嗚がヤマタノオロチを退治して、その尻尾から天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が出現した場所なんです」
ヒルデ:「ムムム、わたしのオリハルコンの剣よりも由々し気だ(`・ω・´)」
タングニョースト:「いえ、もとはギリシャ神話の名刀とは言え、オリハルコンは主神オーディンの賜物でございます」
ケイト:「え、メイドイン北欧神話じゃなかったのか?」
タングニョースト:「ヨーロッパは地続き、問題はない」
桃太郎二号:「船上山というのはなんだよ?」
イザナギ:「時代は下るのですが、鎌倉時代の終りに後醍醐天皇が流刑地の隠岐島から脱出して、やっと落ち着いたのが船上山なんです。太平記ファンには聖地のひとつですね」
ヒルデ:「ゆかしいなぁ日本は、神話も歴史も由々し気だ」
タングニョ-スト:「いえ、姫が閉じ込められていたムヘンの流刑地も、やがては神話になります!」
ヒルデ:「うん、そうでありたいものだな」
テル:「船通山はこの先を左のようだが……」
雪舟ねずみ:「ええと……車が入れるのは登山道口の駐車場までです、2キロの上り道、急ぎましょう」
我々は雪舟ねずみの車に、与一は馬に戻って船通山を目指した。
二キロの登山道を危ぶんだが、ムヘンの冒険で足腰鍛えられた我々には苦では無かった。与一はもとより坂東武者、我々の先を行ってはキリのいいところで待ってくれる。
桃太郎二号:「……ゼーゼー(´Д`;)」
ケイト:「桃太郎二号、おまえ、体力なさ過ぎぃ」
桃太郎二号:「んなこと言ったって、桃太郎は鬼ヶ島ってのがデフォルトだろがぁ、船と平地しかいかねえから、山道ってのは想定外ぃ……」
ケイト:「せめて、鎧ぐらい脱いで車に置いてくりゃよかったのにぃ」
桃太郎二号:「うっせぇ、与一のおっさんもヒルデのネエチャンも鎧じゃねえか、なんでもねえよ」
ヒョイ
桃太郎二号:「うわ!?」
与一が桃太郎二号を摘まみ上げて自分の前に座らせる。
桃太郎二号:「おっさん、おろせ、みっともねえ!」
与一:「行軍の速度を落とすわけにはいかん」
桃太郎二号:「くそぉ」
頂上が見えてきた。
頂上付近は、なにやら目出度い雲が湧き上がっていて、なにか良いことが待っているような気がした。
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
日本神話の神と人物 イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ