大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 144『信長版西遊記・羅刹女の岩山・2』

2023-09-25 14:53:58 | ノベル2

ら 信長転生記

144『信長版西遊・羅刹女の岩山・2信長 

 

 

「三蔵法師までかっさらって仏陀エキス搾る準備万端なんだから、励まなきゃだめよ! 牛魔王!」

「お、おう、ガッテンだ羅刹女!」

 

 ギシギシ

 

 熱気を頼りに探し当てた風穴では、羅刹女と牛魔王がやる気満々、ベッドを軋ませながら向き合っている。

『ウ……ちょっと刺激の強い展開になるかもッパ』

『は、はやくやっつける、ブヒ!』

 ゴツン

『痛い! 髪の毛引っ張るな……あ、抜けた! 三本抜けた! ウキィ! 岩にこすり付けるな!』

『だって、サルの毛は汚いし、ブヒ!』

『静かに! 気づかれる! 静かに様子を見るッパ!』

『おお』『うん』

 これからZ指定の展開になるのは確実なのだろうが、どうも様子が変だ。上半身を起こし、見つめ合っているのだが、その先に進まない。

『仏陀エキスの仕上がりを待っているんだウキ』

 三蔵法師や坊主どもをさらってきたのは、そのエッセンスを一種の媚薬にして励もうと言うことなんだろうが、どうも、それだけではない必死さが窺える。

 

「いいこと、こうやっていっしょに居てあげるのは、三国志に立ち向かえる力をつけるためなんだからね。がんばって、強い子をいっぱい産んで、三国志にやっつけられないようにするためなんだからね」

「分かっておるわ、俺たちの子どもで軍隊を作り、お前の芭蕉扇で曹操とかを吹き飛ばすんだからな」

 

『芭蕉扇て、ブヒ?』

『西遊記で有名な秘密兵器ッパ! 一度扇げば関羽・張飛でも吹飛び、二度扇げば家が飛び、三度扇げば山が飛ぶと言われてるッパ!』

『壁に立てかけてある葉っぱみたいなのだろウキ』

『やつらにも秘密の武器と事情があるんだなブヒ』

『仏心を出すんじゃないッパ、三国志のことが無くなったら、また復活して悪さをするに決まってるッパ』

『市、いや八戒、おまえは芭蕉扇を奪え、俺と沙悟浄で二人をやっつけるウキ!』

『分かったブヒ!』

 

『『『ソレ!』』』

 

 今度は神を引っ張られることも、岩に頭をぶつけることもなく飛び込めた!

 

牛魔王:「あ、おまえら!?」

羅刹女:「この覗き魔どもめ!」

八戒:「芭蕉扇とったブヒ!」

悟空:「よし、やっつけるぞ、ウキ!」

羅刹女:「ウフ( ´艸`)」

悟空:「なにが可笑しいウキ!?」

羅刹女:「飛んで火にいるなんとかだからさ」

牛魔王:「貴様らも三蔵法師の弟子、仏陀エッセンスに加えればピリ辛の隠し味程度にはなるだろう」

悟空:「なんだと?」

沙悟浄:「八戒、芭蕉扇をッパ!」

八戒:「ブヒ!」

 八戒が大きく芭蕉扇をふりかぶる!

 芭蕉扇に吹かれれば、この狭い風穴、岩壁にぶち当たってノシイカみたいになるに違いない!

 ビュン! ビュンビュン!

 

 ……あれ?

 

 八戒が立て続けに三度芭蕉扇を扇ぐが、なにも起こらない。

 ベッドのケットが少したなびき、牛魔王と俺の髪の毛がハタハタたなびいただけだ。

 さっき、毛を毟られたところが、ちょっとヒリヒリする。

 要するに効果がない。

羅刹女:「フフフ、それは客寄せのダミーだよ。本物の芭蕉扇は……」

 そう言うと、羅刹女は耳の中からなにかを取り出した……そして、一振りするとフェイクのそれと同じ大きさの姿形になった!

羅刹女:「これこそが本物の芭蕉扇さ!」

牛魔王:「そして……」

 憎たらしくほくそ笑むと、牛魔王は壁のボタンを押した。

 

 ギギギギ

 

 後ろの壁で音がしたと思うと、壁は巨大な剣山を横にしたような剣の壁になった。

牛魔王:「その針の壁は根っこのところがメッシュになって風を通すんだ」

三人:「「「くそ!」」」

 

 不覚!

 

 この状態で芭蕉扇で扇がれれば、三人とも数百本の剣に串刺しにされてしまう!

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主

 

 

 

 

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RE・トモコパラドクス・28『きかんしえん・2』

2023-09-25 08:15:46 | 小説7

RE・友子パラドクス

28『きかんしえん・2』 

 

 

「ええ……期末試験も近いことだし、きょ、今日は自習にします!」

 

 驚いたことに、柚木先生の方から切り出した。

 麻衣、妙子、亮介、結衣、そして友子の五人は肩すかし。他のみんなは驚いた。

 柚木先生は、テストの前日だって自習にしたことがない。それが、唐突に自習だなんて、クラスのみんなは、喜ぶ前にとまどった。

 

 なんというか、良い意味で納得がいかないのだ、ノッキー先生らしくない。

 

「ごめん、正直に言う。放課後出さなきゃならないレポートが、まだ書けてないの。だから先生に時間をちょうだい!」

 やっと歓声が上がり、みんなは大人しく自習(格好だけだど)の体制に入った。

 ノッキー先生は、パソコンを前に無言で唸る。友子は先生の心を覗いた。

 

「机間支援」という言葉に引っかかっていた。

 

 なるほど、これが「きかんしえん」か、と友子は分かった。普通に聞いたら「気管支炎」にしか聞こえない。

 ノッキー先生は、三年目研修で都教委の研修を受けていて、その研修が明日の午後に迫っていて、それに出すレポートで悩んでいた。で、そのテーマが「机間指導」なのだ。

 え、机間支援じゃなくて机間指導?

 よく覗いてみると、他にも「机間観察」「机間巡視」というのもある。

 四つとも、授業中に教師が生徒の机の列に入って指導したり様子を見ることを指す業界用語で、この同じことが時代と共に『机間巡視⇒机間観察⇒机間支援⇒机間指導』と変化したもののようだ。

 

 友子は、先生の心の中にダイブしてみた。

 

――なに、そんなに悩んでるんですか?――

――言葉がインチキだからよ。中身は同じことなのに言葉ばっかりいじって、いい加減なのよ。机間支援てのに一番現れてる。誰が聞いても気管支炎でしょ――

――ですね。『先生、なにウロウロしてるんですか?』『キカンシエンよ』『え、大丈夫ですか!?』になりますね――

――でしょ――

――でも、いまは机間指導なんでしょ?――

――うん、一見まともなんだけど、言葉あそびという点では同じで胡散臭く感じてしまう――

――そうなんですか?――

――看護師って言い方があるじゃない――

――ああ、ナースのことですね――

――これって、性別が分からないでしょ――

――そうですね、昔は看護婦でしたね――

 そうだ、小説とかで「看護婦さんがやさしく脈をみた」は「女性看護師さんがやさしく脈をみた」になって、躓いた表現になってしまう。

――でしょ、うちのお母さんは看護婦だったんだけどね、途中で看護師に変わったけど「仕事のきつさは全然変わらない」って、呼び方変わっても、夜勤明けはいつもしんどそうだった。どうせしんどいんだったら「看護婦さん」とした親しみ込めて呼ばれた方がよかったって――

 そうだ、わたしも最初に殺された時、ずっと傍にいてくれたのは婦警さんだった。意識が無くなるまで手を握ってくれて「婦警さん、ありがとう……」て言ったら「うんうん、だいじょうぶだからね」って優しく微笑んでくれた。あれを「女性警官さん、ありがとう……」では言葉が硬くて雰囲気が壊れる。

――ああ……――

――でも、今は机間指導なんでしょ?――

――もっともらしいんだけど、言葉遊びという点では同じ。言葉ばかりいじっても仕方ないなんて書けないでしょ――

――そうか……――

――試験中や授業中に机の間を歩くのは、教室の秩序を守るためであり、授業が分からない子や、ノッて無い子にカツを入れるためなの。それを言葉だけいじって、さも指導の最先端いってますって立前がねえ――

――てか、心が拒否してますね……え、その指導主事って、ノッキー先生の恩師なんだ!――

――うん、すごく授業の下手くそな先生。授業中、生徒の目も見ないで勝手に進んでいっちゃうし、机間指導はもちろん、教壇から降りることもしない。質問にもろくに答えない。授業は、いつも遅刻してくるし、早く終わっちゃうし、中身は四十分ちょっとしかなかったわ――

――そんな人が指導主事になれるんですか?――

――学歴と毛並みがよかったからね――

――え……?――

――帝都大出身で、家は、三代続いた都議会議員――

――M党の花高議員ですね。わたしが、なんとかします。そんなレポートろくに目も通さないんだから、テキトーでいいんですよ、テキトーで――

――これでも、イッパシの教師なのよ、いいかげんなことはできないわ――

――そういうノッキー先生好きだけど、こんなとこで突っ張っても、時間と気力の無駄遣い。さっさとやっちゃおう――

 友子は、教師の指導法のサイトを開き、ノッキー先生の心に響くキーワードを見つけ、先生の前頭葉にインストールした。

 

「あ……できちゃった!」

 ノッキー先生が声を上げた。

「えー、なんでだろう。頭の中グチャグチャだったのに、自然に書けちゃった……」

 よかったよかった(^_^;)

 

 この話には後日談がある。

 

 指導主事に飽き足らなくなった花高は、父が参議院選挙に出ることをうけ、都議会議員選挙に出ることになった。親子ともに自信満々だったが、議員として……というより、人としてどこか欠けることのある親子は、そろって落選した。

「政治家は、看板でなるもんじゃない。これで分かったろう!」

 初代のお祖父ちゃんから説教された親子は、祖父の命令で、ハローワークに行って仕事を探したのだった……。

 

☆彡 主な登場人物

  • 鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
  • 鈴木 一郎        友子の弟で父親
  • 鈴木 春奈        一郎の妻
  • 白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
  • 大佛  聡        クラスの委員長
  • 王  梨香        クラスメート
  • 長峰 純子        クラスメート
  • 麻子           クラスメート
  • 妙子           クラスメート 演劇部
  • 水島 昭二        談話室の幽霊 水島結衣との二重人格
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