鳴かぬなら 信長転生記
ピッピッピッピッ ピッピッピッピッ ピッピッピッピッ……
ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ ピ……
天気予報のそれを兼ねたモニターが二つのシグナルを発し続けている。
ピッピッピッピッと強い方が本体の紙飛行機、今は予定通り馬に変わって西安の西方で正常に動作している。
ピ ピ ピ ピ と小さく鳴っている方は紙飛行機から分離したオブジェクトの三蔵法師。
二つのドットは、なんとか無事に西安の近くまで来ている。
御山の頂上にアンテナを立てさせてもらって、大雑把にだけども信長さん、市さん、茶姫さんの現在位置を掴めるようになった。
御山にアンテナを立てるには乙女生徒会長と学院の信玄さんが骨を折ってくださった。乙女会長の交渉力は弟の龍馬に匹敵すると思う。
「忠八、そりゃ違うろ、龍馬がうちに似ちゅーがじゃ」
「え、あ、いつの間に? っていうか、なんで?」
「ノックしても返事せんし、独り言言いゆーし」
「え、あ、信玄さんまで(;'∀')」
三人を出発させて以来、ずっと部室でモニタリングしているんだけど、時どき乙女会長や信玄さん謙信さんが様子を見に来る。でも、二人が真後ろに立つまで気づかなかったのは初めてだ(;'∀')。
「まあ、落ち着いてトレースしてくれ。儂も安心するために来ているようなものだからな……どうやら敦煌からは出たようだな」
「ドットが停まると気が気じゃのうなる、言うて、ここからどうこうしちゃることもできんがじゃがねぇ……」
「ムウ……」
二人が身を乗り出してモニターを見つめる。顔の両側に二人の顔が寄ってくる……ウウ、緊張する。
「信玄さん」
「うん?」
「その……胸が……(#'∀'#)」
「あ、すまん」
ムギュ―
「え、乙女さんまでぇ~(#'△'#)」
「ちっくと、ドットの音が気になる……こんまい方の様子が変わっちょらんか?」
「お気づきですか?」
「うん、前は、もうちっくとこんもう――プ プ プ プ ――という感じやったろ」
「はい、どうやら自動でアップデートしてる感じなんですけど、よく分かりません」
「自動でアップデート? オンラインなのか?」
「あ、ネットには繋がっていません。刺激を受けて独自に変化……し……」
「刺激を受けて独自にかぁ……」
「会長、か、顔近いですぅ(#'・'#) 息が……(;'∀')」
「この前は玉門関を出たところで離ればなれにもなっていたやろ、なにか手を打ったほうがようはないか?」
「ああ、謙信が二十騎ばかり連れて三日前に姿を消した」
「信玄は行かんのか?」
「儂まで行ったら歴史的な事件になる」
「それもそうちやね、ここで三国志と戦争するわけにもいかんわよね」
「謙信も気にしていたが、この雲のようなものはなんだ?」
やっと背中を離れてくれた信玄さん(^_^;)。
なんだけど、信玄さんが指差したのはお天気モニターを兼ねた画面にうっすら映った自然現象。
「雲の影だと思いますが……」
「雲なら偏西風で西から東に流れるだろう、こいつは西に……いや、北に方向を変えてないか?」
「え……あ、これは?」
ムギュ―
また二人の熱が迫ってきた……(;'∀')
☆彡 主な登場人物
- 織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
- 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
- 織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
- 平手 美姫 信長のクラス担任
- 武田 信玄 同級生
- 上杉 謙信 同級生
- 古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
- 宮本 武蔵 孤高の剣聖
- 二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
- 雑賀 孫一 クラスメート
- 松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
- リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
- 今川 義元 学院生徒会長
- 坂本 乙女 学園生徒会長
- 曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
- 諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
- 大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
- 孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
- 天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主