大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・22『サイボーグ009/アルゴ』

2016-09-02 06:31:10 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・22
 『サイボーグ009/アルゴ』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ

これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が仲間内に流しているホットな映画評ですが、もったいないので、本人の了承を得て転載したものです。

☆サイボーグ009

 石森章太郎の009/第1シーズン 「ブラックゴースト 黄泉編」及び、最終章「神々との戦い編」を知悉し、あのラストを受け入れた人にのみお薦めする。それ以外の人には絶対納得出来ない。
 神山監督は石森ワールドを知り尽くし、その美点も欠点も 石森章太郎の先見性・作品世界に提示される思想・それ故の苛立ち…総てを神山の理解の中で昇華して本作の製作を行っている。
 従って、原作世界(石森ユニバースと言い換えても良い)の肯定的視点に立たなければ、本作の良し悪しは解らない……どころか説明抜きのラストに怒りすら覚えるだろう。
 エヴァンゲリヲンのファンには理解いただけると思うが、エヴァテレビシリーズを全く見ずに 劇場版第一作を見た人間(私です)の理解不能と苛立ち・怒りを想像していただきたい。テレビシリーズを見ていて、ラスト2話の展開はファンを四分五裂に引き裂いた……あの混乱も思い出していただきたい。
 エヴァは今回の劇場版「序」・「破」
 そして間もなく公開の「Q」において再構築されるようだが、予告を見る限り その内容は不明であり、さらなる混乱も予想される。最終話が第4作として噂される「四」ないし「死」としてでるならば、それを見るまで評価は出来ないのだが……。
 
 さて、懐かしき「SFの集中と拡散」の時代を共有する兄弟姉妹たちよ、アタシャ石森が生きていて 脚本製作に携わったのかと思ってしまいました。あの懐かしきサイボーグ・島村ジョーが再び目の前に現出しようとは……これは奇跡と言って決してオーバーではない。決して神山監督の能力を見くびっていた訳ではないが、ここまで見事に石森ユニバースを再現されるとは思っていなかった。
 確かに、せめて2部作品にしてもっと丁寧に作ってくれと思わんでもないが(途中で姿を消すメンバーがいたり、結局 最期まで正体不明の少女がいたりする) この唐突なぶった切り感……我々も当時「石森の中途半端」として怒り狂った、いわばご都合主義にしか見えないストーリー展開を是正して「石森ワールド」の完成(当然、神山解釈による)を目指して欲しかった。
 
 ではあるが、本作の在り方を認めたいと思う。

「彼の声」という存在(現象)が現れる。何らかの陰謀なのか、「彼」が「神(唯一神・創造主)」なのかは解らない。この謎に解答を与える為のストーリーの切断なのだが、それにしても、何故009只一人だけがその結論に至ったのか……そこんところのセンテンスがいくら何でも不足している。或いは、極めて熱心なキリスト教信徒なら、考えるよりもっと直感的に理解してみせるかもしれない。
 石森がクリスチャンであったかどうかは知らないが、彼の作品世界にキリスト教的思想が深く関わっているのは間違いない。神山の仕事はそこまで斬り込んでいるという事なのだろう。 作画は見事と言う他ない、3DCGと手描きアニメの合体の おそらく最高作品である。3D映像も問題ない、これなら差額を支払っても文句は無い。原作「黄泉編」のラストにシンクロするシーンがある。私の中には 悲しむフランソワーズを抱き留めたハインリッヒがジョン・ダンの詩を口ずさむシーンが浮かんだ。009フリークなら滂沱の涙必至であります。どちらかと言えば「貧乳タイプ」の003が「攻殻~」の素子並みに爆乳に成っているのは神山サービス? そうそう、イワンの両目がチャンと出ていて なかなかハンサムな赤ん坊でありました。これもサービス?♪


☆アルゴ

 イランのアメリカ大使館占拠時の実話です。全く忘れていました。ベン・アフレックの監督としての手腕は本物です。「ザ・タウン」でも唸りましたが、今作でも唸りっぱなしです! 完全脱帽。話は実話である分 結果は知れている訳で(大成功だった)、それをこれだけサスペンスフルにハラハラドキドキさせながら見せる手腕は物凄いの一言。本作は今年度アカデミーの一角を狙っていると言われますが 納得であります。映画に含まれる政治性・アメリカ政府の欺瞞・アメリカ人の正義・原理主義への嫌悪感……総てのバランスがギリギリに線引きされている。
 このバランス感覚が素晴らしい、まさにBRAVO~!!であります。
 にしても、原理主義ってのは嫌ですねぇ、反吐が出ます……いやいやイスラムだけじゃありませんキリスト教だってコミュニズムだって一緒です。世の中、中庸で自由なのが一番、イラン人のパーレビに対する憎しみや 何故パーレビがそこまで嫌われるか その裏でアメリカが果たした役割……そんな事は全部理解した上で、ヤッパリ原理主義は受け入れられない。そんならお前の個人的な怨みはどうなんだって?…そんな痛い事は聞いては成りませぬ。アハハハ 勝手勝手~チャンチャン。
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高校ライトノベル・『私家版・父と暮らせば・2』

2016-09-01 06:15:19 | エッセー
大人ライトノベル
『私家版・父と暮らせば・2』
     


 父は、2011年11月11日という、まことに覚えやすい日に逝った。

 人交わりが極端に下手で、家族とさえ上手くいかなかった父は、認知症の始まった母といっしょに、七十代の後半から、介護付き老人ホームに入った。より正確には、姉と相談して入れた。

 これだけ書くと、親不孝な息子と思われるかも知れない。

 妄想癖の強い父には、若い頃から、幻聴や幻視があった。ちょっとした不幸があれば「誰かが呪っている」「悪魔がついている」と大声でいい、子供であった、わたしと姉は、狭い社宅の隅で小さくなっていた。わたしが、小学校一年生の時に左手を骨折したときなど、悪魔払いのつもりであろうか、長時間仏壇に向かい、怪しげな経文を唱えていた。
 特に職場の特定の同僚や先輩のことを蛇蝎のように罵っていて、具合の悪いことに、一番嫌な先輩は社宅の隣である。安普請の社宅では声が筒抜けで、その根拠のない罵声は、当然のことながら御本人の耳にも入り、二度ほど穏やかに諭されに来られた。御本人を目の前にしては何も言えない父であった。小学生ながら不甲斐ないオッサンだと思った。

 母には手が出た。今風に言えばDVである。

 少しずつ進行していく母の認知症が父には理解できなかった。「また、訳のわからんこと言いやがって!」
 と、拳を振り上げ、母を殴ろうとする。当時父も母も七十代の前半であったが、母が家事ができず、また骨折や脳内出血で入退院をくり返すので、わたしが、二年連続で介護休暇をとり、三年目には、当時ヘルパーをやっていた姉が引き取った。
 そして、同じことがくり返された。ヘルパーをやっていた姉の職業的な目からも両親の在宅介護は限界であった。
 ある日、同じように母の認知症に業を煮やした父は、母に打擲を加えた。姉は職業的な厳しさで父を叱った。そして、父が家出した。
「もう、こんな親不孝もんの家には居てられるか!」

 一晩、姉は様子を見たが、大阪駅から「さようなら」と一声だけのメッセージを電話して、それが切れたところで、わたしのところに電話があった。
 その足で姉の家に行き、親類中電話し、所在が掴めないので、ヤキモキした。
 刑事をやっている甥もやってきた。
「服の裏に名前と住所書いたんねんやろ。保護されたり、なんかあったらネソ(曾根崎警察)あたりから連絡あるで、梅田は広い、捜しにいっても自己満足や、まず二十四時間。それ過ぎたら捜索願出そ」
 そして、ほぼ二十四時間後に父はフラフラで帰ってきた。

 姉は、この段階でケアマネさんと話して、介護付き老人ホームにいれることを決意した。

 幸い、新築で、父の年金でまかなえる介護付き老人ホームが見つかったので、そこへの入居を決めた。両親を連れて下見もし、皆が納得の入所であった。
 父の幻聴、幻視は、その後もつづいたが、ホ-ムのヘルパーさんなどが、うまく受け止めて下さっていた。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・21『エクスペンダブルス・2』

2016-09-01 05:52:43 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・21
『エクスペンダブルス・2』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ

これは、悪友の映画評論家滝川浩一クンが個人的に流している映画評ですが、面白く、鮮度も良く、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです。



 いやいや、1もそうでしたけど、オッチャン達が楽しそうにやっとりまんなあ。アクションは前作を遥かに凌駕、「ACT OF VALOR」っていうNAVY SEALに関する本物映画が有りましたが、明らかに影響うけとります。

 ここまで来ると、人間なんて単なる血袋を肉で包んだだけの存在かいなと思わせられる。ヤンキーが「水滸伝」を現代版でやっていると思えば 当たらずとも遠からずですね。
 本作には新メンバーが何人か出とりますが、その中の一人チャック・ノリス(古くは「ドラゴンへの道」でB・リーと対決した空手チャンプ、他に「デルタフォース」、「地獄のヒーロー」等 所謂地獄シリーズ)の扱い方が別格。チャック・ノリスは アクションがハイテク化していく流れの中にあって、愚直な位 真っ正面から殴る、蹴る、ぶっ放す一筋で来た人、存在が「生きた伝説」に成っている。なんせ「チャックは一輪車でウィリー走行が出来る」??????とか「地獄には“チャック・ノリスお断り”の立て札が建っている」なんぞと言われていたり、彼の仕事に対して「継続は力、低俗は聖なり」なんて言われていたりする。
 スタローンですらチャックに対しては剥き出しの敬意を払っているってのが ありありと判ります。色んな意味でホンマモンっちゅう事なんでしょうねぇ。 前作では ほんのチョイと出だったブルースとシュワルツェネッガーも大暴れ、ブルースが「戻ってきすぎだ」とか「溶鉱炉で溶かすぞ」とやるとシュワルツェネッガーが「イッピ カイ エー」と切り返す。まぁ他愛無いんですが結構ツボにハマって大笑いしちまいました。
 しかし、アイデンティティがまるっきり“中坊”ですねぇ「ツオイ奴が偉い!」……ここまでやったら爽やかですらありますわ。
 そんでもってスタローンの丸太のごとき両腕はやっぱりそのまま、こうなると元には戻らんのでしょうねぇ、あの腕で日常生活が出来るのが不思議に感じます。今回ミッキー・ロークが出ていないのがちょっと寂しい。たまには頭空っぽにしてエヘラエヘラ楽しめる映画もええもんです。

 エクスペンダブルス3には誰が出るんでしょうねぇ…続編の話は今んとこ有りませんが、アタシャ勝手に盛り上がっております。
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