大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・42『フライト/ジャンゴ』

2016-09-22 05:58:15 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・41
『フライト/ジャンゴ』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が仲間内に流している映画評ですが、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです


フライト
 
 いつもながらにデンゼル・ワシントンは巧い。脇のジョン・グッドマン/ドン・チードルもナイス!

 しかし、本作の幕切れはハッキリ言って嫌だ!
 以下、ネタパレを含むので 見に行く予定の方は読まないで下さい。

 コントロールを失ったジェット機が奇跡的な操縦で最小限ダメージの不時着を果たすが、他方 機長の血液からアルコールが検出される(飲酒の上の旅客機操縦は極刑、但し 機乗前チェックがあるので有り得ない筈)。弁護士は事故後の検査結果を潰し、審問は機長有利で進み、後は最終審問さえ通ればメデタシで終わる……委員長の最後の質問に対して機長は……と言うストーリー。
 さて、この設定は前述の通り有り得ない。アメリカの航空会社の現状がこの通りだとするなら飛行機なんか絶対に乗れない、いわば日本のタクシーに一定割合でアル中ドライバーがいると考えれば良い、皆無とは言わないが まずいない筈だ。
 ネタは もうお分かりだと思うが機長はアル中である上に 搭乗前にコークを吸引して目覚ましにしている。3日で1時間のフライトを10往復なんぞという 過剰勤務を口にしているが、それにもまして機長の複雑な家庭環境も語られる。まるでストレスだらけで逃げ場所が全く無い毎日、結果 パイロットとしては許されざる生活を送っている事が語られる。
 まず、本作はジェット機の墜落を救うスペクタクルを冒頭に持ちながら、その内容はアル中が主人公の単なる私小説である。
 最後に機長がする証言は全く正しい、異論の余地は無い。しかし、大声で“アメリカの正義”を叫んでいるに過ぎない、然も 有り得ない前提の元で……コパイロットが何だか変な奴だと思っていたら、ヤッパリ 彼は宗教原理主義者だった。不気味な事この上ない。
 監督ゼメキスはジェット機の急降下と同じく 機長の人生も墜落寸前だったと言いたいらしい。事故以来 機長が出会う人々が天の配剤であり、彼はその導きに従い 正しい選択をする……臭い!あまりにキリスト教臭い! こんなストーリーは無理苦理じゃないか。
 いかにデンゼル・ワシントンが天才俳優であろうがここまで破綻した話を演じ切るのは不可能だ。
 航空会社に対する遠慮なのか、ハッキリ企業に対する批判が無く 粗方の原因は機長の個人的事情に押し込めてある。その上でのこの選択は“宗教”の導きに拠る“アメリカの正義”でしかない。これで証言後の機長が解放された表情をしているのが気色悪い。私小説好きにはこれで満足かもしれないが、私にはこんな映画で満足する感性はないし、これを見て感動する義理の持ち合わせも無い!


ジャンゴ

 ふざけとるんかい〓〓〓何なんやこのストーリーは、タランティーノファンもいてはりまっしゃろと「イングロリアス・バスターズ」さえ何がしかは認めたが……も~~うアカン! こいつを評価するってなら どのシーンの何が どのように評価出来るのか はっきり納得行くように説明してくれ!
 マカロニウエスタン(正しくはスパゲティウエスタン)に対するオマージュだとか、アクションがスゲェだとかは一切受け付けない! これが単なるアクション映画だってなら聞いても良いが、アカデミー賞助演男優賞と脚本賞だっせ! 納得いく説明してもラおやないかい!
 助演男優賞については、F・S・ホフマン(マスター)とT・L・ジョーンズ(リンカーン)を見ていないので即断しないまでも、これに比べてR・デ・ニーロの何が劣っているのか? これが脚本賞だってのなら“0dark30”の何が劣っていたのか説明してくれ! 絶対納得行かない。
“イングロリアス・バスターズ”が恥も外聞もなくユダヤにおもねた作品なら、本作はニガー(黒人に対する蔑称、敢えてこの言葉を使う)におもねた作品である以外 いいようが無い。違うというならきっちり反証をそえて反論いただきたい。いつ、誰からの反論にも受けて立ちます。但し、タランティーノが大好きってな感情論は一切相手にしない。“好き”なのはあんたの勝手ですわ、俺は感情論からいっても大嫌いとだけは言っときます。 久しぶりに二本二敗、さあ、今からゲン直しに飲むぞぉ~!
コメント
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