大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・32『職会の決定と演劇部の見解と』

2018-01-22 06:47:38 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・32
『職会の決定と演劇部の見解と』



☆職員会議の決定

 演劇部が(いわゆる明文化されていない)内規に反して夏休みに合宿(自衛隊体験入隊)を認めた校長先生が改めて陳謝。しかし職会は収まらず、部顧問(淀先生)の始末書とあたしら演劇部の反省文を要求してきました。
 職会としては演劇部ブログの反響や、部長会議全体の演劇部支援決議に脅威を感じ早期の収束を図ろうとしての「歩み寄り」のつもりのようです。

☆演劇部の見解

 この「歩み寄り」は、あくまで演劇部に非があり、それを認めさせた上での「穏便な解決」を図ったものであると思てます。職会は何も理解していません。たとえいかなる「穏便」であろうと、あたしら演劇部が非を認める形での解決は断固容認できません。
 18:30分まで職会は続きました。結論を聞くために、各クラブ代表、生徒会執行部、一部有志の生徒が40名ほど残ってくれました。そして、あたしら演劇部の見解を視聴覚教室で全面的に支持してくれました。そして、全クラブと生徒会、有志生徒のみんなで「演劇部闘争支援委員会」の発足が議決されました。
 これは、50年近い昔、あたしらの先輩がとった共闘の形式を踏襲しています。あたしらは、首(こうべ)を挙げて勝利を勝ち取るまで戦います。生徒会長は執行部と演劇部闘争支援委員会の名前で、待機していた生徒会顧問を通じ職会議長に手渡しました。制度上の責任者は学校長ですけど、実質は職会で、演劇部の自衛隊への体験入隊を良しとしない先生たちです。
 あたしらは、明日の回答を要求しましたが、明日は時間的にも臨時職員会議を開く余裕が無く連休明けまで回答を延ばして欲しいといわれましたが、三日もスパンを置くと、個別のクラブや個人の切り崩しにかかられる恐れが高いので断固明日の回答を要求です。実際運動部では顧問による切り崩しが始まっています。演劇部闘争支援委員会では、個々の説得や切り崩しには乗らないように決議はしましたが、三日のスパンは大きく危険です。ここまで共闘してくれる生徒のみなさんに心から「ありがとうございます」です。

☆当面の活動

 明日、登校時に正門と通用門でビラ配りをやります。スマホやラインでのアオリは絶対やりません。アナログこそが力やと思てます。一限終了後の休み時間までに臨時職員会議開催の告知がない場合は4限の「総合学習」の時間をボイコット、緊急生徒総会を開きます。正直、今夜が心配です。心配の内容を書くと、弱点を見つけられそうなんで書きません。
 生徒総会が成立することを願ってます(登校している生徒の半数以上の出席で成立します)総会の議決は直ちに学校側に伝えられます。それでも臨時職員会議が開催されない場合は、真田山学院48年ぶりの全学ストに突入します。

☆大学からの支援申し込み

 二つの大学の組織から支援の申し込みがありましたが、断りました。中には本気でシンパシーを持ってくれてはる学生さんもいるんでしょうけど、あたしらは、あくまでも学内で解決していきます。

☆演劇部闘争支援委員会の歌

 会議の最後に提起されました。連帯を確認し紐帯を確かなものにするために、折に触れて歌う歌を軽音が提案してくれました。

「翼をください」

 古い歌ですけど、エヴァンゲリオンでも使われた曲でもあり、意外と知ってる者も多いので決まりました。今日も最後に、みんなで歌いました。涙が止まりませんでした。今も泣きながらキーを打ってます。

 いま わたしの願い事が叶うならば……。   かなわへんかもしれんこど、でも、そやけど頑張ります。

 

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

 ※ これは小説です

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・31『私達の行動』

2018-01-21 06:28:56 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・31
『部活停止に対する私達の行動』


☆現状認識

 あたしらが夏休みに『すみれの花さくころ』を上演するにあたって、演技力向上=役の肉体化(煩雑になるため意味は略)のために自衛隊に体験入隊したことが二学期になって問題化。学校側は「体験入隊そのものが問題なのではなく、合宿に関する内規違反」を理由に挙げ、演劇部の部活動を無期限に休止。あたしらは学校の横暴な決定に対し、処分の取り消し、演劇部の部活の早急な再開に向けての闘争を開始しました。

☆問題点

 内規には7月末日までに合宿の計画を提出し、職員会議の議決を経て学校長が許可するとなってる……そうですが、明文化はされておらず、慣習的内規であるとの学校側の説明です。あたしらは、そんなことなんにも知りませんでした。また、関係方面に確認したところ明文化していない内規は、あんこの入ってないアンパンをアンパンと表示するくらいにナンセンスなものだそうです。

 あたしらで過去の合宿を調べたところ、他の運動部で、事後承諾で行ったクラブがありました。今回演劇部にだけ適応するのは、指導の公平性、一貫性という学校が踏み外してはいけない教育の基本から目をそらしています。

 反対された本当の理由は自衛隊への体験入隊にあったと承知しています。職員室の前を通ったときに、複数の先生が喋っていたのを耳にしました。

 形式的には、顧問の淀先生の部活指導の過誤で、あくまで職員の問題であり、あたしら生徒は、この問題には関われないという説明。直接影響を受けるのはあたしら生徒やのに、ものすごい矛盾がある。

☆ここまでのあたしらの行動

 生徒会の文化部長を通し文化部全てから、部活停止決定の解除を求める署名を集めました。そして昨日は臨時クラブ部長会議を開いてもらい、その場で、同署名を運動部まで広げ、クラブ部長会議の決定とし、生徒会顧問を通じ学校側に申し入れ可及的速やかに職員会議にかける返答を生徒会顧問からは得ました。直近の職員会議は今週の木曜(9月11日)です。これに並行して全生徒への呼びかけのため、登校時にビラまきをするつもりでしたが、必ず直近の職員会議にかけるとの生徒会顧問の返答を了として、職員会議の決定が出るまでは、自粛することになりました。

 問題は明後日の職員会議しだいです。

 ブログに書くことを止めるよう「お願い」として言われました(主語は師弟の信頼関係上書きません)しかし、事実に反しない限りは生徒にも表現の自由があります。ブログはやめません。ただし扇情的になるのでSNSやラインを使った情宣はやらないことを約束しました。古典的ではありますけど、はるか昔の先輩の皆さんがやってこられたメソードに準じて戦いを進めていきます。

☆ぶっちゃけて

 うちらは稽古がしたいだけなんです。

 スマホを使ってのエアー稽古は続けてますけど、正直ストレスは溜まる一方です。隠れ部活やと思われるのも業腹やし、因縁つけられるのもかなんさかい、カラオケも自粛してます。
 将来の演劇部員のために著作権の切れた戯曲を高校生でもやれるように、手を加え始めてます。どんな作品かは内緒です。真似されてうちらよりええ作品書かれたらかないませんよってにね。

 ここまでお父さんに読んでもろたら、ヘタクソなアジびらや言われました。そら17やそこらで、学校むこうに回してビビりながらやってるんです。兄貴は府教委に言えて言いますけど、うちは道から外れてるように思います……というか、なんでもかんでも府教委。モンスターピアレントとはちゃうんです。あくまで校内問題です。基本の基本では真田山の先生らを信頼してるんです。○○先生、ここのとこ汲み取ってくださいませ。

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・18「優姫」

2018-01-20 15:27:20 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・18

『優姫』

 

 

 やっと起きたあ!

 

 ソファーが口をきいたかと思うと優姫だ。

「もー、片付かないんだから、さっさと食べてよね!」

「食べてすぐ寝るとブタになる」

「それ、牛の間違いだし、牛にもならないし」

 そう言うと、再び優姫はソファーにひっくり返りボリボリ×2の音を立てる。

 ボリボリ・1は煎餅をかじる音。ボリボリ・2は股座を掻く音。つまり、ソファーに横になって煎餅齧りながら股座を掻いている残念美少女はオレの妹であったりする。

「ちゃんと加湿器つけとけよ、乾燥肌のくせに……」

 愛情からではなく、習慣で加湿器のスイッチを入れる……水が切れているので、これまた習慣で水を入れる。

「アラーム鳴ったら起きなきゃダメでしょ」

 かそけき起動音をさせて加湿器が稼働する。

「どうやってゲームにアラーム仕込んだんだ?」

「ってことは解除できてないんだ(笑)」

 優姫はゲームもしないのにコンピューターとかには強い。オレはゲームには強いがハード・ソフトの面でも弱い。

「あのさ、火にかけておいてくれるなら、ときどきかき回してくれないかなあ」

「ん、なんか言った?」

「いえ、なにも」

 お湯を足してカレーの鍋を撹拌する、二三分もやれば食べられないこともないだろう。

「あんたね、ネトゲのネってネットのネなんだから、寝るのネじゃないんだからね」

「優姫だって寝ながらテレビ観て煎餅齧って股座掻いてるじゃねーか」

「もう掻いてないわよ!」

「加湿器のおかげだろ」

「あんたね、寝トゲばっかやってたら、そのうちナメクジになっちゃうよ」

 ナメクジ……言い得て妙なので言い返さない。焦げ付きがレーズンに見えるようなカレーが温まった。

「ん……大河ドラマなんか見てんのか」

「寝トゲのやり過ぎで、頭腐ってんじゃない?」

「え、だって『せごどん』だろ?」

「あんたが下りてきた時から観てるわよ」

「……そうなんだ」

「脳みそ腐ってるよ……ね、質問。せごどんの諱(いみな)ってなんだ?」

「いみな? いやみな妹なら知ってるけど」

「まぜっかえさない、いわば本名よ、西郷さんの本名」

「そりゃ、西郷隆盛だろ」

 小学生レベルの問題に正解を食らわせて、最後に残した肉を頬張る。

「ブッブー」

「違うのかよ?」

「寝トゲのやり過ぎ~」

 肉を咀嚼しながら乏しい知識をプレイバック……歴史は苦手だけど、やっぱ西郷さんは隆盛だ。ん、なんかの引っかけ問題か? オモチャにされるのもやなんで、食器を流しに持って行ってリビングを後にする。

 ああーーー!?

 階段に足を掛けたところで優姫の叫び声。

「ちょっと! さっきのブタって、わざと間違えたわね!」

 ペシ!

 スリッパが飛んできて頭に当たる、我ながら軽い音がしたもんだ……。 

 

 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・30『モノ言えば……秋の風』

2018-01-20 06:13:35 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・30
『モノ言えば……秋の風』


☆ご無沙汰いたしておりました

 先月の21日から、16日ぶりの公式ブログです。ちょっと校内でもめ事があって、事実上演劇部は休部状態でした。本当は公式ブログを書くことも差しさわりがあるのですが。わたしは憲法で保障された「表現の自由」で書いてます。校内事情を書くわけですから、月曜日には、なにがおこるか分かりません。それでも、あたしは書きます。

☆自衛隊への体験入隊

 これが問題になりました。基本的にはクラブ合宿の手続きで行きました。演劇部と、その顧問で行くんやから、クラブ合宿のカテゴリーしかないと思たからです。

 そやけど、ここで足をすくわれました。

 合宿は、一学期の7月末日までに顧問が合宿計画を校長に提出し、職員会議にあげられ、そこの承認を得た上で決定になります。しかし、これは校内の内規、あるいは慣例であって、基本は学校長の許可で専決事項になります。内規は、あたしら生徒には見られませんですけど、淀先生の言葉では明文化されてはいないそうです。淀先生も、その点をついて職員会議で説明してもらいました。せやけど多勢に無勢やったようです。むろん職員会議の中身は淀先生も言うてくれはりません。演劇部の無期限休部の結論から導き出したあたしの推論です。

 たとえ内規に明文化されてなくても、長年慣習化してきてるんで、内規同然。いや、慣習内規やいう理屈やと思てます。

 法律には、実定法と慣習法があります。商法なんかで慣習法が一部あります……むつかしいですね。日の丸と君が代が長い間慣習法でした。法律のどこにも日の丸=国旗、君が代=国歌とは書いてありませんでした。多くの国民にとっては、ごく当たり前のことやったんで、あえて法律にしてなかったんです。せやけど、これを楯にとって「法律にもなってないこと守る必要はない」いう理屈で、多くの先生が長い年月国旗・国家をないがしろにするタネになってました。そやから学校では長いこと日の丸と君が代については不毛な論戦がありました。賛成派の先生は「反動」とか呼ばれたらしいです。
 そやけど、あれだけ(消極的とはいえ)日の丸、君が代に反対してた先生らが、今は、当たり前みたいに起立して歌うてはります。「信念やったら、貫けや!」いうのがあたしの感想です。大阪では3人ほど卒業式で歌えへんかった先生がいてはったそうですけど、見上げたもんやと思います。せやけど、ほんまに歌いたくないんやったら卒業式休んだらええと思うんですけど、なんや、授業の前に、言われても起立礼せえへん生徒といっしょやと思うんですけど……話が横っちょいってしまいました。

 話題を戻します。

 合宿が慣習内規や言うて、それを守らへんかったことで、演劇部を休部処分にするのは、先生ら自己矛盾してないかいうことです。国旗・国家では実定法やない言うてサボタージュして、うちらの体験入隊を内規違反いうのは矛盾してます。
 これも推測ですけど、ほんまは自衛隊への体験入隊を問題にされたんやと思います。うちの先生の中にも「憲法をまともに読んだら、自衛隊は違憲や」いう骨董品みたいな先生がいてはります。集団的自衛権が閣議決定されたころには授業で演説めいたことも言うていかはりました。
 うちらは、いま集団的自衛権の行使に向けて運動中です。文化部の賛同署名は集めました。いま部員が手分けして運動部に働きかけてます。来週には文化部長から生徒会にあげてもろて、臨時生徒総会にもっていこと思てます。
 手の内ばらして「アホか」と思う人がいてるかもしれませんけど、これも作戦です。まず外堀から埋めよです。この公式ブログはゲリラブログです。これをもって、うちらのこと処分しよいうんやったら受けて立ちます。

 ここまで決心して、ブログに書くのに二週間かかりました。正直ビビってます。せやけど表現の自由を守るためにがんばります。

☆休部期間中の稽古

 部活が禁止されたんで、淀先生に迷惑かけんために完全に自粛してます。せやけど、部活は禁止されてますけど、スマホの使用が禁止されたわけではありません。部員同士でラインで稽古してます。スマホに台詞打ち込んで、台詞の稽古だけはしてます。喋る速度で打たならあかんので、部員は、みんな親指姫になった気持ちです。
 不思議なもんで、スマホでやってると変な現実感があります。案外練習法としては新発見かもしれません。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・29『スランプです』

2018-01-19 06:03:16 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・29
『生意気ですがスランプです』
   


☆どうしても入ってこないかおるという役

 いったんは完成しました『すみれの花さくころ』。大女優佐藤恵さんや、先輩の坂東はるかさんに言われて、あと一歩のところがつまっていないことを気にかけて、自衛隊の体験入隊までやってきました。
 それで気が付いたのは、思っていたより遠いかおるとの距離でした。

 自衛隊の体験入隊で感じたんですが、カタチからして、全然あたしはできてへんいうことです。自衛隊の身のこなしには旧軍のものが、そのまま受け継がれているものもあります。それがあたしにはできませんでした。動画サイトで、女学生の勤労動員の様子なんかも調べました。これは、この作品に取り掛かったころにも見たんですけど。そのときは、こんなもんチョロこいと思てました。
 せやけど、稽古が進んで、自衛隊の体験入隊もやって見直してみると、全然違うんです。

 どない言うたら分かってもらえるでしょう……。

 4月の終わりごろに、学校で仲間の生徒を見ると、ああ、この子は一年、この人は三年となんとなくわかります。制服の新しい、古いもあるんですけど、発してるオーラが違うんです。ちょっと分かってもらえます? この感覚は学年が上がるほどよう分かります。つまり、高校生活を続けてるうちに分かるようになるもんなんです。

 わたしのかおるは、まだ一年生です。言い方悪いかもしれませんけど、勉強できて態度がええ子でも、やっぱり一年は一年のオーラです。以前、コンクールに出たら、地区大会優勝ぐらいはいけてるなんて生意気いいましたけど、全然自信がありません。

 坂東先輩にメールしたら、「役者は誰でも通る道。苦しめ苦しめ!」いう、ドSなメールが返ってきました。根拠のない自信が、あたしの取り柄やったんですけど、完全に自信喪失。もう逃げ出したいくらいです。

☆○○高校さんの芝居を観て。

 ご招待の案内がきたんで観に行きました。学校名も、どんな評も書いてええいわれたんですけど、やっぱり○○とさせてもらいます。

 戦争ものやいうことだけ書いときます。

 正直、頭の中でこさえた戦争やと思いました。

 全編通して真面目で悲惨なんです。

 あたしも戦時中のかおるという役をやるんで、調べたり、お話を聞いたりしました。言い方難しいんですけど、朝礼、訓示を受ける時、天皇陛下の言葉が出た時ぐらいは瞬間ビシっとします。
 せやけど、作業を含め日常は「ああ、お腹すいた」いう気持ちで、淡々と作業やってました。映像で残ってるようなもんは、カメラで撮ることを意識してるんで、どえらい力がこもってますけど、お年寄りに聞いたら、程よいペースでやってたようです。緊張してばっかりやったら、長時間の勤労には耐えられません。また怪我やらの事故もあります。せやから○○さんのは、高校演劇としては、そこそこのできでしたけど、似たような芝居やってると、違ういう意識が強くなりました。

 ただ、うちと違うて、臨時のスタッフ入れて10人以上でやってはるのは、羨ましくもあり、○○さんの日ごろの努力の結果やと思いました。そこは正直脱帽です。

☆しんどいクラブを見せてもらいます

 111校ある加盟校でうまいこといってるのは一握りのクラブです。大方は、うちみたいに兼業部員入れても5人以下いうとこばっかりです。そういうとこと連帯していきたいと思います。連帯てな大げさなこと言いましたけど、みんなが、それで元気で立派なクラブになるとは思てません。ただ、そいうクラブがあるいうことを、みなさんに知ってもらいたいんです。立派な演劇部ばっかりやないいうことを。小烏高校さんは、盛んにブログ出してはります。読ませてもろたら、勇気もため息も湧いてきます。世の中には、こんな演劇部もあるのかということも勉強になります。うちらは、そこからこぼれてる高校に(こんな言い方失礼かなあ)焦点をあてていきたいと思います。

☆文化祭の取り組み

 コンクールとは別のことします。『すみれ』は、ええ本ですけど、文化祭みたいなお祭り行事には向いてません。で、5分ぐらで楽しいことをやってみよ思います。いまアイデアを出し合うてるとこですけど、4人おったら、みんな意見がちゃいます。
 まあ、まとまったらご報告します。


 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・17「ギルドの徴は赤マント!」

2018-01-18 13:56:12 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・17

『ギルドの徴は赤マント!』

 

 

 あろうことか真っ赤っかのマントだ!

 

 ただでさえ目立つことが苦手なオレが赤マントなんだぜ!

 それもダースベーダーみたいな黒鎧の上からなんだから、もう死んでしまいたいくらいに恥ずかしい! チョー恥ずかしい!!

「フフ、顔まで赤くしなくてもいいのよ(*^^)v」

「い、言うなああああ!」

 

 装具屋で買ったのが、このお揃いの赤マントだ!

「ギルドの徴に、なにか身に付けるアイテムないかな~?」

 新品の銀鎧をキラキラさせながら、ブスがオヤジに聞いた。

「そりゃ、揃いの鎧でしょう」

 商売熱心なオヤジは、いいカモが来たと、二割増しくらいに禿げ頭をテカらせて応えた。

「う~ん、鎧はもう買っちゃったからね……この銀鎧もオキニだしい……なんかカスタムアイテムでないかしら?」

「それなら旗指物になさいまし、サービスでギルド名を入れさせてもらいますよ」

「それは勘弁して!」

 オレは胸の前で×に腕を組んだ。桃太郎じゃねーんだからゼッタイNG!

「わたしもイヤ! 旗指物って、なんだか雑兵とか足軽でしょ、わたし姫騎士なんだから!」

「さようでございますね……なら、これなどいかがでございましょう?」

 そう言ってオヤジが取り出したのが、この赤マントだ。値段は旗指物の三倍する。

 オレはピンときた。オヤジはハナから赤マントを勧めるつもりだったんだ。いきなり出しては「高い!」と言われることを見越して、揃いの鎧⇒旗指物⇒赤マントの順で見せたんだ。クールでカッコはいいが高額な鎧、実用的で安いけど見っとも無い旗指物、んで(本命の)赤マント。鎧と旗指物でNGなブスにはすばらしく見える。

「いいわね、これ!」

 案の定ブスがその気になる。

「あ、でも、バトルの最中に剣とか鎧とかにひっかかって危ねーんじゃ……」

「大丈夫ですよ、ポリゴン抜けしますから」

 モノも言いようだ、髪の毛が体に突き抜けたりするポリゴン抜けは、現在のPCでは髪の質感とならんで描画のネックになっている。いわば欠点で、ケラケラとメリットみたいに言うもんじゃねー。

「そうだ、これにギルド名入れてもらおうよ! ギルド・ブス!」

「やめてええええええ!」

 

 で、無地の赤マントを翻しながら転送ゲートに向かうオレタチだ。

 

「さ、それでは四十九層目指して出発だーーー!」

 ブスは右腕をブゥーーーンと回して、階層ボタンを押そうとした。

 癪だけど、可愛くてカッコイイ……じゃなくて、攻略なんかに行きたくねーーー!

 

 ピコピコピコピコ ピコピコピコピコ ピコピコピコピコ…………

 

 急にアラームが鳴りだした。

「え、なに? なんなの?」

 ブスの手が停まって、オレもキョロキョロ……しながら思いついた!

「そ、そーだ! すまないブス、オレってタイマーかけてたの忘れてた!」

「タイマー?」

「ああ、リアルが疎かになっちゃいけないからタイマー掛けたんだ。学校の成績もイマイチだし、すまん、落ちるわ!」

「え、あ、ちょっとナンシー!」

 

 オレは、めずらしく寝落ちすることなくログアウトした。

 

 しかし、あのアラームは……?

 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・28『自衛隊体験入隊! その2』

2018-01-18 05:59:12 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・28
『ああ、自衛隊体験入隊! その2』
    


☆体験ピックアップ その二

 昼からは「障害走路」

 隊旗を持ったあたしを先頭に、あやめ、はるな、長曾我部先輩、淀先生と続いて「エッチ、エッチ、エッチネ、ソーレ!」と掛け声も勇ましく、500メートルほど駆け足。なんか藪の入口みたいなとこに着いた。

「ただいまより障害走を実施する。障害走とは……(あとは言葉が難しいんで、よう分からへん)……以上。かかれ!」

 指導教官の説明のあと、返事だけはかっこよく、障害走にかかる。説明は、よう分からへんけど、見たら一目瞭然。簡単に言うたら『サスケ』の予選みたいなもん。メニューは以下の通り。

1 :飛び越え障害(これは簡単、20センチほどの柵越え)
2 :ロープ(4メ-ターほどのロープを登って降りる)
3 :丸太橋(8メーターほどの丸太の上を駆け足)
4 :囲壁(2メーターほどの壁を勢いつけて乗り越える)
5 :柵(50センチほどの木の柵を5つほど乗り越える)
6 :壕(要は小さな堀に飛び込んで出てくる)
7 :跨ぎ障害(40センチほどの鉄の柵を、いくつも跨いで走る)
8 :高鉄条網(高い鉄条網を、40度ぐらいの勾配でかけられた板に載って乗り越え)
9 :水平棒(ようは雲梯の親分)
10:壕飛越(6でやったような壕を飛び越える)
11:低鉄条網(やっとくぐれるぐらいに張った鉄条網を這いながらくぐる)


 要は障害物競走。

 ただ、これを全行程走って5分以内に終わらんとあきません。一発でクリアしたんは予備自衛官の淀先生だけ。あやめがドンケツで7分30秒。全員が時間以内にできるまでやります。
 何回やったかは内緒ですけど、5時になるとラッパが鳴って国歌君が代が流れます。ほんなら本職さんと淀先生は不動の姿勢になり、微かに見える日の丸が下ろされるのを、なんちゅうかキリっと見つめます。
 これは強制されませんでした。
 せやけど、本職さんらがやってると、長曾我部先輩が、これに倣い、気いついたらみんなでやってました。

 宿舎に帰ってびっくり。

 朝、きちんとメイキングしたベッドがメチャクチャ。シーツも枕もめくられ放られ。
「やりなおし、かかれ!」
 で、もっかいやり直し。理由はシーツが2センチずれてたから。厳しい~!

 晩御飯はフライの寄せ上げ、大盛りごはん、お味噌汁、サラダ。訓練はともかくご飯は美味しい。

 あくる日、起床にまつわるゴタゴタは省略。トラックに乗って別の演習場へ。途中一般道を法定速度を守って走るよって、車が何台も追い越していく。ガラの悪そうな兄ちゃんらが「おお、自衛隊にも可愛い子おるやんけ!」嬉しいような、腹立たしいような……。

 演習場に着くとエンピいう歩兵用の小さなシャベル渡されて、ひたすら壕掘り。一人一つずつ。どうやら、これがタコツボいうもんらしい。案外大変で、淀先生は30分ほどでやってしもたけど、全員が出来たんは、もうお昼前。

 で、昼食(なんや食べてばっかり)飯盒炊爨でカレーを作って食べる。本職さんらといっしょに喋りながら食べる。食事のときは指導教官の人らが付いてくれはって、最初はぎこちなかった会話も自然になってきた。戦時中の女学生やる言うたら、女性隊員の人で詳しい人が居てて、昔の軍事教練の基本姿勢なんか教えてくれはった。えらい詳しい思たら、夕べうちらの話を聞いて、資料室で調べてくれはったそうです。感謝!

 昼からは戦車に乗せてもろた!

 正式には戦車とちごて、歩兵支援戦闘車「ライトティーガー」いうらしいです。鉄の塊が、あんな速いとはびっくりでした。

 たった二日、それも、あたしの役作りのために、みんなもいっしょにやってくれて大感謝です。自分でも分かってきました。身のこなし方が、今までのはちゃういうことが。
 コンクールの日程言うたら、本職さんらが、観に来てくえはるそうで、ただでも少ないコンクールの観客動員に繋がると、嬉しなりました。


  文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・16「恥ずかしのバザール」

2018-01-17 11:26:22 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・16

『恥ずかしのバザール』

 

 

 四十八層は森と草原の世界だが街が無いわけじゃない。

 

 ネトゲってかMMOは雰囲気というか達成感というものが大事で、ログインしたギルドメンバーが、その都度スターとシティーであるメレンブルクに集まっていては雰囲気が出ない。

 たいていのギルドは、各層の街や村にログインして酒場や宿屋で顔を合わせる。中には攻略する層ごとに家を買って溜まり場にしているギルドもある。MMOの世界でも不動産は高いので、そういう溜まり場を持っているのは課金に糸目をつけないお金持ち。

 そういう普通のプレイヤーが集まているので、街の住人は顔見知りかお馴染みさんだ。オレみたいな世捨て人は目だって仕方がない。

 行きかうプレイヤーたちが「オ?」とか「ア?」って感じで振り返る。森のヘンクツ野郎がなにしに街へ?

 おまけにブスが横に歩いている。銀鎧に栗毛の髪をなびかせて颯爽と通りを歩く姿は目立つ。森に居る時はさほどに思わなかったけどブスはかなり可愛い。丸顔に近い瓜実なんだけど、色が白くて鳶色の目が涼しい。笑うと右の八重歯が悪戯っぽく見え、ラノベのヒロインみたいだ。こういうのと一緒に歩いてウキウキするような性格をしていないオレはジリジリと遅れてしまう。

「ナンシー、さっさと歩きなさいよ!」

 ただでも目立つのに、立ち止まって「ナンシー!」と呼ばわるのは勘弁してほしい。

「ナ、ナンシーって呼ぶなよ」

「下僕なんだから文句言わない!」

「わ、わーった。早くゲートに行こうぜ」

 違う層に移動するためには各層の街に設定されているゲートに行かなければ転移できない仕掛けになっている。四十八層には、このフォレストタウンしかない。

「転移ポーションとかねーのかよ?」

 例外的に転移ポーションを使えば攻略した層なら移動できるが、狩やデュエルのプライズか一個100円の課金で買うかしかない。なんでもありのブスなら持ってるかもと、半ばグチで言ってみる。

「楽しようと思わないの!」

「あ、そ……てか、ゲートはそっちじゃねーし」

「ちょっと買い物よ」

「か、買い物って……」

 バザールには行きたくない。たまに狩の獲物を売りに行くので、他よりも顔見知りが多い。ほらほら肉屋のオヤジがニヤニヤしてんじゃねーか。

「ナン氏! 隅に置けないねー!」

「そのベッピンはタヌキかキツネが化けたやつか!?」

「ちょっと! 今日からナンシーは、わたしの下僕になって最上階の幻想神殿攻略するんだからね!」

「え!?」「うそ!?」「下僕?」「ありえねー!」「ナン氏が攻略ううう!?」 モブどもが好きなことを言う!

「ナン氏じゃなくってナンシーだから!」

「い、言うなーーーー!」

 

 顔から火が出る思いでバザールの奥、入ったこののない装備屋の中にずんずん入っていく……。

 

 

 

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大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・27『ああ、自衛隊体験入隊!』

2018-01-17 06:15:24 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・27
『ああ、自衛隊体験入隊!』
       


☆しばらく死んでました

 大女優佐藤恵さんの勧めで、こないだ一泊二日で陸上自衛隊S駐屯地に体験入隊してきました。帰ってからすぐにブログ書かならあかんかったんですけど、体力・気力完全に絞り切って、ようやく今になりました。ほんま、死にそうでした。

☆体験入隊ピックアップ その一

 なんと、顧問の淀貴美先生は、予備自衛官でした!
 宿泊を伴う行事なんで、顧問の先生の活動計画と引率がないとできません。当たり前やったら夏休み前に職員会議で一括審議されて、許可がでるんですけど、今回は二日で許可がおりました。その理由の一つが淀先生が即応予備自衛官(なんかあったら、すぐに自衛隊員の代わりになれる元自衛官)やったからです。

 朝7:30にJR谷町駅で制服で集合。電車を三回乗り換えてS駐屯地へ。

 最初に親の承諾書と同意書(万一事故があっても自己責任。シャレちゃいます)ほんで簡単な健康診断。で、体験入隊用の事業服を貸してもろて、あやめとはるなで4人部屋へ。淀先生と長曾我部先輩は隣の部屋へ。
 すぐに女性自衛官の人が来て、事業服なんかの着方、ベッドメイキングを教えてもらいました。そのまま集合かと思たら、もっかい事業服を脱いで、ベッドも元にもどして、一から自分でやるように言われました。時間は5分。

「かかれ!」の号令で一斉に着替えて、30秒遅れで隊舎から営庭に行こ思たら、入り口に置いといた靴がどこにもありません。先生と先輩は、とうに営庭に行った気配。
「あ、うちらの靴!」
 はるなが、外に放り出された靴を発見。
「なんでえ」言いながら拾いに行くと、後ろで声。
「あなたたちが、きちんと脱がないからよ。規律と連帯責任、頭に叩き込む!」

 結局1分遅れで営庭へ。

「遅い! A班全員腕立て伏せ20回!」先任指導教官に怒られる。で20回腕立て伏せ。その間も「体を真っ直ぐに! 頭を下げない! 腕はキチンと曲げて!」と責め立てられ、終わったら、もう、それだけで汗みずく。先生と先輩は涼しい顔。
 そのあと、訓示があって、気を付け、右向け右、左向け左、回れ右、列の整頓、敬礼の練習。一発で合格したんは先生だけ。

 それから、ひたすら行進の練習。

 掛け声は「一、二、一、二」やけど、発音すると「エッチネ! エッチネ!」と聞こえるけど笑えません。笑うたら、恐怖の腕立て伏せが待ってます。
 駆け足のときは「エッチネ、ソーレ! エッチネ、ソーレ!」になります。列の先頭はあたし。最後尾が先生。その横を指導教官が付いて「声が小さい!」「間隔を広げるな!」と怒鳴られます。
 信じられへんことに角を曲がる時も直角。間違うと、その都度やり直し。

 もう、これだけで午前中が潰れ、顎の先からポタポタと汗。パンツもお漏らししたみたいにグチョグチョ。生まれて、ここまで汗かいたんは初めて。
 昼食前に事業服の上脱いで頭から水被って汗流して、タオル一枚だけで体拭いて、昼食。

 お昼ご飯はカツ丼。もう丼からはみ出しそうなトンカツが載ってて、チョー山盛り。それにお味噌汁とサラダ。食べきれるか思たけど、完食。

 で、昼からは、もっとえげつないことが待ってた……。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・15「ブスの姫騎士!?」

2018-01-16 13:06:22 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・15

『ブスの姫騎士!?』

 

 

 めずらしくイスカの西田さんが休んでいた。

 

 佐伯さんも、昨日ほどに絡んでこないし、食堂で隣の席になることも無かったし、数学の野崎もオレを当てることがなかった。

 佐伯さんは聡明な人だから、あまり接近して、オレが目立つことを避けてくれたんだ――クラスメートが幸せそうなのって、はたで見ていても嬉しいじゃない――というのが佐伯さんの心情なんだ。野崎は意外に正解を出してしまうオレに興味を失ったんだ。イスカは……ノビノビできるから余計な詮索はしない。

 

 で、まっすぐ下校したオレは、部屋に直行して『幻想神殿』にダイブする!

 

 二日もログインしてなかったので、気分はアセアセ💦

 イントロの水道のところではクリックしまくり! クリックしたところで、イントロのキャンセルはできない。キャンセルしようと思ったら、一度戻ってオプションの(イントロ設定)を変えなければならないのだ。

 HP・MPを確認すると、すぐに四十八層の森の我が家を目指す。

 あ、あれ……!?

 家が無くなっていた。

 一瞬システムトラブルかと思った。アイテムウィンドウをいて確認する。

 グラフィック上のトラブルでもアイテムリストのは残っているはずだ……ところが、オレの家はアイテムリストからも消えていた。ハッキングされて盗られてしまったか!?

 オレの家はビジュアル的にはボロだが隠れ家のカテゴリーに入っているので、基本非課金のオレには高い買い物だった。ピーボアを三千頭も狩って手に入れた代物なんだ。こんな地と涙の結晶を盗っていく奴なんか許せねー! 運営のセキュリティーに訴えて永久追放にしてやる!

 バチコーン!

 さすがセキュリティー、クリックしたときの衝撃もハンパねー!……と思ったら、張り倒されていた。

「な、なにしやがる!?」

 頭押えて振り返ると、シルバーの鎧をキラキラ煌めかせて女騎士が立っていた。

「家なら叩き売ったわよ、そのお金で装備買っといたからアイテムウィンドウさっさと開ける!」

「お、おまえは!?」

「あたしよ、あたし!」

 ガチャリとヘルメットを取ると、現れた顔は、こないだのあいつだ!

「ブ、ブス!?」

「そう、ブスよ。ほら、レベル28の黒鎧とアイアンソード買っといたから……あんたのアイテムリストに入れなきゃ装備できないでしょうが!」

「ま、待て! これって、オレの家売った金でか?」

「あったいまえでしょ、ピーボア三千頭なんて狩ってなんかいらんないわよ」

「ん、なに、勝手なことを! セキュリティーに訴えてやる! んでもって、永久追放だ!」

「寝言は寝てから言ってよね、ちゃんと合法的な取引でやったわよ。ほら、これが契約書」

 目の前に不動産売買の契約書が現れた、ちゃんとオレのIDとサインがしてある。

「さっさとする!」

 ヘタレのオレは圧に弱い。言いたいことは山ほどあるけど、従順にアイテムをリストに移して装備ボタンをクリックするオレだった。

「う~ん、馬子にも衣裳ってか、案外サマになるじゃん。一応姫騎士を守護する黒騎士に見えてんじゃん! じゃ、シュッパーツ!」

「シュ、シュッパーツって、どこに行くんだよ!?」

「決まってるじゃん、最上階の神殿目指してお姫様を助けんのよ!」

「いや、そんな、ゲームクリアなんて目指してねーし! だいいち、なんでオレに無断でこんなことできんだよ!? お、オーイ!」

 スタスタ歩いていくブスを追いかけるのが精いっぱいだった……。

 

 

 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・26『壁にぶつかりました』

2018-01-16 06:49:25 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・26
『壁にぶつかりました』 
 
        


☆生意気なようですが完成はしました

『すみれの花さくころ』歌も芝居もバッチリです。このまま予選に行っても一等賞はとれる出来になりました。課題は挿入曲の演奏が生やったらええなあと思って、軽音に入ってもらおうかということぐらいです。スニーカーエイジのメンバーから漏れた軽音の部員がいっぱいいてて、発散の場所がないんでウズウズしてます。乗せ方と話の持っていきようかなと思うてます。
 将来的な問題ですけど、もう演劇部が単独では成立せえへん時代が来ると思うてます。かたや軽音みたいに所帯が大きなりすぎて、動きがとりにくいクラブもあります。

 舞台芸術部……てなもんを妄想してます。発表の場が舞台にあるクラブからハミゴを集めたら面白いクラブになると……まだまだ夢物語ですが。

☆大ショック!

 坂東はるかさんが、うちの先輩やいう話は何回もしました。ご本人は一回だけ観に来てくれはりました。
 ところが、なんと今日は、東京の大劇団日本芸術座の佐藤恵さんが観にきはりました。もう80歳を超えた新劇界の重鎮です。
 なんで、こんなエライ人がきたかというと、テレビではるか先輩と共演しはったときに、うちの芝居が話題になって、大阪に仕事があるついでに観ていかはりました。
 緊張はしましたけど、自信はありました。プロに見られても恥ずかしない出来になったと思うてましたから。

「はるかちゃんのに比べたら数段落ちるわね」

 ガーン……空が落ちてきたみたいなショックです。
「どこが、あかんのでしょう……?」
 蚊の鳴くような声で聞いてみました。

「作品に血が通ってないのよ」

 ゲ、まさか、あのときの審査員と同じ評とは……。

 前の審査員は、そのあと具体性のある説明は一切してくれませんでしたけど、佐藤さんは具体的でした。
「役にはね、世代性と時代性がいるの。現代の女子高生のすみれと、70年前のかおるは女学生。そして、あなたたちも同じ年頃。世代性は出てるわ。笑ったり泣いたり喜んだり切ながったりは、いいと思うの。でもね、二人が同じ時代の人間に見えちゃう。これは主にすみれの三好さんの問題だけど」
「時代性と言いますと……?」
「立ち居振る舞いから、呼吸まで違うわ。だいいち三好さんからは戦争のニオイがしない。例えば教育勅語やってごらんなさい」

 で、あたしは、やりました。

「朕(ちん)惟(おも)フニ、我ガ皇祖(こうそ)皇宗(こうそう)、國ヲ肇(はじ)ムルコト宏遠(こうえん)ニ、徳ヲ樹(た)ツルコト深厚(しんこう)ナリ。我ガ臣民(しんみん)、克(よ)ク忠ニ克(よ)ク孝ニ、億兆(おくちょう)心ヲ一(いつ)ニシテ、世々(よよ)厥(そ)ノ美ヲ済(な)セルハ、此(こ)レ我ガ國体ノ精華(せいか)ニシテ、教育ノ淵源(えんげん)、亦(また)実ニ此(ここ)ニ存ス……」

 ここまでやって、佐藤さんの目力で止まってしまいました。佐藤さんは黙って舞台に上がり、最敬礼をされたかと思うと……。

「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ 世世厥ノ美ヲ濟セルハ 此レ我カ國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス 爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ 恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ……で、このあたりから鼻水がズズーになるわけ」

 これだけで違いが分かりました。背筋の伸び方の自然なこと。あたしは力みかえってるのが初めて分かりました。で、その真似をしても、あやめもはるなも笑うだけ。
「アハハ、先輩、全然ちゃいます」
「仕方ないわよ、あたしは現役の女学生で、ほんとにやってきたんだから。数をこなすことね。逆を考えてごらんなさいな。あたしは、あなたたちみたいにスマホをいじりながら歩けません。まあ、わたしに女子高生の役なんかくることはないけど、やるとしたらスマホの習得からやるかなあ……」

 あたしは悟りました。あのころの女学生の生活をしてみならあかんと。

「一度一日だけ自衛隊の体験入隊やってごらんなさいよ。知り合いの息子が、どこかの連隊長やってるから、頼んだげる」
 で、佐藤さんは、その場で電話しはって、このクソ暑い時期に自衛隊の体験入隊が決まりました。
「でも、不思議ね……はるかちゃんの『すみれ』は白羽君から借りて観たけど、あたしが観ても引っかからないくらい、自然な女学生が出来てた。教育勅語なんかチョロイもんだったけど、空襲の恐怖感が本物だったのにはびっくりした」

 これは分かってました。はるか先輩には見本になる人がいてたんです。信じられへんけど、人間やない見本が。
 その辺は、出始めた『はるか ワケあり転校生の7カ月』に詳しく出てます。

      

 とにかく役の肉体化いうのは、なかなか難しいもんです。全てのことに言えるんでしょうけど、物事に近道はありません。

 まだまだ道は遠いというのが実感でした。初心にもどってやり直します。


 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・14「北斗君、見直したわよ」

2018-01-15 16:38:17 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・14

『北斗君、見直したわよ』

 

 

 佐伯さんがニッコリ笑った。

 

 数学の時間「北斗、やってみ」と黒板の前に引きずり出され三十四ページ三番の問題をやらされた。二次関数グラフの平行移動の問題だ。同時に三人が引っ張り出され、それぞれ問題をやらされている。

 野崎(数学の先生)の魂胆は分かってる。オレはできない生徒の見本で、黒板を前に立ち往生するのを見越してやがる。

 いい子・悪い子・普通の子の三通りだ。むろん、オレは悪い子の見本。

 ところが、数学はイスカにさんざん絞られたところなので、なんとかできてしまう。

 チョークを手にするまでは――また劣等生の見本にされんのか(´;ω;`)ウゥゥ――だったけど、詰まりながらも問題が解けた。ため息ついて黒板を背にすると前から二番目の佐伯さんと目が合ったんだ。で、佐伯さんがニッコリ笑ったということだ。

「ヌヌヌ……やっぱ正解だ!」

 二度見直してから野崎はオレの回答に赤チョークで〇をした。別にイヤミの一つも言ってくれていいんだけど、マジで――そんなはずはないぞ――の間を開けるのはやめて! ほら、クラスのみんながクスクス笑ってるし!

「北斗君、見直したわよ」

 起立礼が終わると、オレの横を通過しながらこそッと佐伯さん。

 情けないけど体に電気が走った。

 それまでの佐伯さんは好意的に無視してくれていた。佐伯さんみたいな才色兼備が下手に声を掛けたら、へんな意味で注目されて余計に惨めになることを知ってるんだ。憐れみは時に刃物よりも人を傷つける、さすが名女優の愛娘、心得ていらっしゃる。

「北斗君」

 今度はイスカ……いや、教室では西田さんだ。

「問題一個解いたくらいで安心しない……なによ、板書写しきれてないじゃない。ノート貸したげるから、さっさと写す」

「あとでやるよ」

「ダメ、すぐにやらなきゃ身に付かない」

「へいへい」

 

 つぎの英語の時間もつつがなく終わって……。

 

「さっきのプリント、ここからここまで三回写して持ってくる」

「え、いま?」

「もちろんよ、鉄は熱いうちに打てよ」

「へいへい」

 

 そして昼休み、オレは食後のジュースを楽しんでいた。トレーを持ってキョロキョロしている佐伯さんが目についた。委員会が遅れたみたいで遅めの昼食。空いてる席がないんだ……佐伯さんが近づいてきたのを潮にオレは腰を浮かす、自然な形で席を譲ったのだ。午前中の自然なエールに応えたい気持ちもあったので自然にできた。

 

「あ、いいわよ北斗君、ちょうど二人分空いたし」

「え、あ……」

 隣の女子が斜め向かいのお仲間といっしょに席を立ったのだ。オレはハンパな尻を席に戻した。

「あ、ひょっとして西田さんが?」

 今度は佐伯さんが腰を浮かせた。

「あ、そんなんじゃないから」

「え、そうなんだ」

 佐伯さんは詰まらなさそうな顔になった。

「いい感じだと思ってたのよ」

「え、そなの?」

「うん、クラスメートが幸せそうなのって、はたで見ていても嬉しいじゃない」

「そ、そう」

「うん、野崎先生のイジワルかわした時なんて、ヤッターって思ったし、西田さんが激励してるの見て、わたしまで幸せになったのよ」

「それは違うから」

「そう? ま、いいけど」

 それ以上は追及することなくランチをお召し上がりになる佐伯さん。

 佐伯さんは、合間にいろいろ話をしてくれて、なんだか、とても幸せなランチタイムを過ごすことができた。

 

 こうして、学校は平和なんだけど、今日もネトゲができそうにない。

 

 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・24『本になってます!』

2018-01-15 06:30:50 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・25
『真田山学院高校演劇部 本になってます!』 
           

☆『はるか ワケあり転校生の7カ月』発売

 ただいま『はるか 真田山学院高校演劇部物語』が連載中ですが、紙本でも発売中です!

 タイトルの通り我が先輩坂東はるかさんの時代。つまりうちらが、まだ中学やったころの伝説の話です。

 あのころも、今とあんまり違いがなくて、山田先輩と、玉城(たまぐすく)先輩の二人だけやったんですけど、4年前の福田乙女先生が強引……いや、熱心な顧問で、いろんな生徒に声かけては演劇部に引っ張り込んでました。
 その中の一人が坂東はるか先輩でした。

 先輩は、ご両親の離婚で東京の乃木坂学院高校から転校してきはったばっかりです。まだ制服もできてない登校初日に目ぇつけて強引に演劇部員にされてしまいました。他にも放送部の子らが兼業部員で入ってきますけど、本格的な専業部員で残ったのは坂東先輩一人だけでした。

 放送部の子らが居てたころに『ノラ バーチャルからの旅立ち』いう7人出てくる芝居に決まります。せやけど、稽古が進むにしたがって、部活に対する気持ちの違い、家庭事情なんかで難しなってきて、テキストレジーやって5人にまで登場人物を減らしました。それが、もう6月の終わりころ。うちらの真田山はOHPには参加せんと(なんせ、お金がかかりすぎます)A市が盆ごろに開いてるピノキオ演劇祭に参加してます。その公演一か月前に、また一人辞めて『ノラ』は上演できんようになってしまいました。

 うちらはヘタな創作劇はしません。コーチの先生の勧めで『すみれの花さくころ』に急きょ台本を替えました。登場人物は3人でいけます。道具はほとんどなし。その代り歌が6曲も入る音楽劇です。

 それを奇跡的に、3週間ちょっとで仕上げてピノキオの板に乗せました。

 そんで、その『すみれ』をコンクールの予選で最優秀をとって本選の舞台に……そこで、すごい不本意な審査されて「作品に血が通っていない。思考回路、行動原理が高校生のそれではない」いうわけ分からん評でした。それからやったと思います。大阪府全体で審査の在り様を考えるようになりました。はるか先輩は審査員からはケチョンケチョンでしたけどNOZOMIプロのプロデューサーの目に留まって、プロの女優さんになるきっかけになりました。

 同じ業界のプロが観ても、小劇場の人とプロダクションの人とでは見え方が天と地ほどに違ういう見本になった話です。

 はるか先輩は、単に演劇部員として励みはっただけやないんです。

 はるか先輩は、別れたご両親を元の鞘に収めて家族の復活を果たそうと時間かけて努力しはりました。せやけど、やっとお金貯めて東京に行ってみたら、お父さんには事実上の新しい奥さんが居てました。
 パニくって、荒川の河川敷で泣くしかなかった先輩でしたけど、このことが元で、お父さんと、その奥さんとも新しい人間関係が開けていきます。

 お別れだけどサヨナラじゃない。

 そういう新境地を発見したはるか先輩でした。この人間的な成長が先輩の演技を、ほんで『すみれの花さくころ』いう芝居そのものを変えていきます。

 
 以下に概要を書いときます。

『はるか ワケあり転校生の7カ月』 税込み799円 著者:大橋むつお

 星雲書房  〒590-0053 堺市堺区文珠橋通3-22 

 送料無料 商品に同封の郵便振替で決済

 ほかにAMAZONでも手に入ります

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)
  

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高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・13「イスカのスパルタ講習」

2018-01-14 14:24:10 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・13

『イスカのスパルタ講習』

 

 

 お弁当温めますか?

 

「いえ、けっこうです!」

 コンビニで夕食用の弁当を買うと、ニベも無くイスカが断る。

「なんで断るんだよ」

「時間が惜しいじゃない。それよりも、なんで晩御飯がコンビニ弁当なのよ?」

「しかたないじゃん。親は仕事だし、妹は部活で帰りが遅いし……」

 

「ん? 勇馬の家、こっちでしょ?」

 三叉路でイスカがいぶかる。

 

「そっちからだと、犬がいる家が二軒あって、必ず吠えられる。弁当なんか持ってたらひと際けたたましくな」

「高校生にもなって、犬が怖いって?」

「静かな住宅街なんだ、迷惑だろが……てか、なんでオレんち知ってんだよ?」

「忘れた? いっかい行ったでしょ。木から落ちて動けなくなったとき」

 

 あーーそうだ。イスカを男の子だと思い込んでいたころに、そんなことがあった。

 痛むケツを押えながら、地面に地図描いて教えたことがあった。イスカが救けを呼びに行ってくれたんだ。

 

 家に着くと、すぐ二階の部屋で勉強が始まった。

「飯くらい食わせろよ」

「食べながらやるのよ、ほら、食べさせてやるから」

「え、そんなハズイこと!」

「言ってる場合じゃない!」

「冷たいままだと腹を壊す」

「温めて上げるわよ、ほれ」

 イスカの指がヒョイと動くとプシュっと音がして、弁当の蓋の隙間から湯気が吹き出した。

「魔法か?」

「サービスよ、さ、数学からやろうか。ノートと教科書出す出す」

「お、おお……ええと……(ゴソゴソ)」

「なんで勉強道具探さなきゃ出てこないのよ!」

「い、いや、ワリイ……」

 家ではネトゲしかやらないので、それ以外の者は、ここ数年溜まったガラクタの地層に埋もれている。それでも、学校への最低のリスペクトがあるんだろう、三十秒かからずに一式発見することができた。もっとも、その上に積んでいた痛いグッズの山が崩落してしまった。堕天使は、そういう点寛容なのか、危険物にも関心を示さない。妹の優姫だったらニーキックが飛んでくるところだ。

 

「さあ、二次関数グラフの平行移動からよ」

 イスカは髪をまとめてゴムでまとめる。隠れていた顔の側面が露わになると意外に可愛い。

「えと、弁当……」

「食べさせてあげるから、教科書に注目!」

 え、え、アーンとかか!?

 イスカが目配せすると、パックが開き、割り箸が勝手に動き出した。

「口開けたら、お箸が食べさせてくれる。さ、いくよ……」

 

 イスカのスパルタ講習が始まった……。

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・23『他校演劇部訪問・他』

2018-01-14 06:19:37 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・24
『御手毬高校演劇部訪問・他』 
 
     


☆御手毬高校演劇部訪問

 御手毬高校は、うちらβ地区の隣のθ地区の代表校です。この四半世紀、コンクール本選に必ず出てる実力校です。HPFの公演直前やのに、快くうちらゴマメの見学を許可してもらいました。
 
 御手毬高校は旧府立都島高女の同窓会「御手毬会」が戦前に作った高女が、戦後私立の女子高になったもんで、看護系などの進学に実績のある学校です。
 演劇部は7月30日・31日、シアター仰天院で 大作ミュージカル「美鈴 神様を待った女」を上演しはります。仰天院はキャパ100余りの小ホールですけど、三回の公演で観客動員300以上が見込まれてます。さすがは実力校です。

 早めに行ったんですが、部員の人が「真田山学院様」と書いたホワイトボードを持って玄関前で待っててくれはりました。ちなみに御手毬さんはクラブで揃いのジャージとTシャツを持ってはります。
「すみません。お待たせして」
「いいえ、今ここに立ったばっかりですから」
 うちらに気兼ねさせへんためいうのは額の汗を見ても分かりました。ああ、恐縮!

 稽古場のホールに行くと、もう10人ばかりの部員の人らが発声やら、ストレッチをやってはりました。あんまりの集中と熱心さで声かけることもはばかられ、コクコクと首振り人形みたいに頭下げることしかできません。5分前には部員全員(数えたら24人も居てた!)が集合「お願いします!!」と全員で挨拶するとこなんかは圧巻でした。
 改めて全員が声出しとストレッチ。それから相互交流のレッスン。これをなんと部員だけでやらはります。

 すぐにスタッフとキャストに分かれてスタンバイしたとこで先生が来はります。うちらは、ただただ首振り人形。

 80分の芝居でした。本番さながらの舞台稽古。先生の横にはスクリプターが居てて、時々先生が呟かはることをメモ。タイムキーパーまで居てて、場面ごとにタイムを駅伝並にチェック。

 本番前なんで、中身に関することは書けませんけど。幕開き前の衝撃的な効果音だけでも、持ってはる傾向が分かりました。前世期の黒テントあたりに祖型が感じられる小劇場・アングラ劇の傾向です。芝居慣れしてない観客でも分かりやすいようにアングラ劇独特の饒舌、長台詞は抑制されてました。台詞も大阪弁に置き換えてはって、いかに現代性を持たせるかいうとこに苦労してはるのが、よう分かりました。

 道具は一杯飾り。多分在りものに手を加えたもんやろと拝察しましたけど、芝居の世界観とはピッタリでした。照明はサスとフロントの使い方が芸術的で、適度なSSが舞台に立体感を出してました。ここまでやれる学校は、大阪でも5校はありません。

 まいった、プロ級です。

 ここからは、趣味の問題ですけど、演技に型があります。エロキューションも統一されてて、言わば歌舞伎や狂言、フランスのファルスのような独特の御手毬型。強烈でした。

「どないやった?」

 舞台稽古が終わると、いきなりふられました。

 一言で言うたら「凄い」なんですけど、それやったら幼稚園並。そんなおためごかしでは済ませへん迫力が、先生の「どないやった?」にはありました。
「好き嫌いに分かれるでしょうね。こういう傾向が好きな人にはたまらんぐらいの完成度です。嫌いな人いうか、こういう表現を受信するアンテナ持ってない人には……分かりにくいと思いました」
 はっきり言いすぎたかなと思たけど。先生は大きく頷きはりました。
「うん。僕とこは独特やからね。せやろと思う。他には?」
「お上手なこともあるんでしょうけど……情念の表現が凄いですね。キャストもスタッフも、その情念をよう理解してて、統一したエモーションが圧として感じられました。並の高校演劇ではでけへん力です」
「遠慮気味に言うてくれてるけど、あんたのアンテナには、ちょっと夾雑音やったんちゃうか?」
「いいえ、新鮮でした。初めて歌舞伎の荒事見た時の感覚に似てます」
「ハハハ、荒事か!」
「技術的に聞きたいことは?」
「頭の掴みが見事ですね。音響と照明が演出の意図をよう理解してやってはります。SSの使い方、お上手ですね。サスもバックサスにならんように、そんで頭が切れんようにベストなシュートでした。ここから見てても分かりましたけど、一応バミってはいてはるんでしょうけど、役者は、自然と分かってるみたいですね。うちらは人がおらんいうこともありますけど、照明は基本、狂言みたいに生のツケッパですから、羨ましいかぎりです」

 そんなこんなで2時間、お世話になりました。

☆『クララ ハイジを待ちながら』での発見

 本編の『すみれの花さくころ』が一頓挫してるんで、『クララ』をやってるて、前に書きましたよね。
 その『クララ』で発見がありました。『クララ』はものごっつい明るい饒舌な引きこもりの女の子の芝居です。台詞の90%がクララの台詞。で、気が付いたんです。クララは、吸い込む息の量がすみれの倍はある。クララが元来持ってる好奇心の表れなんでしょうけど、この呼吸の違いは大発見でした。
 芝居の表現は氷山の一角です。その一角を表現するために、役者は舞台ではせえへん表現の努力が90%せなあきません。芝居の稽古に季節が一つ変わるぐらいのスパンがいることが分かってもらえたでしょうか。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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