そのお店の扉を開けると応対したのは年配のご婦人でした。
「父の形見の時計なのですがクイックチェンジが出来なくなって」と
『部品がメーカーから出ればいいのですが…見積もりを取りますのでお時間が掛かりますが
よろしいですか?』
?見積もりを取る?
ここのお店で修理するんじゃないの?
あぁ、蓋を開けてみて修理にいくら掛かるか教えてくれるのか
奥の作業場にはかなりの高齢で「ちょっと大きな病気で身体を壊したかな」と
思われる男性がいた。
『修理工房』と謳ってはいるが精密な作業はちょっと難しいのでは…
ま、見積もりの連絡を待つとしましょう。
連絡先を書いていると「シチズン修理センター」とかの発送伝票の貼られた宅配小荷物が目に入った。
おいおい、まさかメーカー丸投げ?
高かったら見積もり手数料だけ払って別のお店にすればいいか。
それから二カ月の間
見積もりの連絡は無かった。
どうしたのかな~?急ぐ訳でもないので気長に待つか。
そしてやっと電話が来た。見積もりいくらになったのだろう?
『お待たせしましたが修理が終わって出来上がっているのでお引き取りをお願いします』
え?修理完了?
見積もりはどうなったのよ?
それで電話が切られそうになったので
「金額はおいくらですか?」と尋ねると
『¥27,500です。それとお渡しする際にご説明致しますが
日送り機能は修理出来ませんでした』
それ、もろにメーカー丸投げ金額じゃないのよ
さすがにカチン、と来て
「治らずに¥27,500?」
『…はい』
おいおい、やはり私は個人店に縁が無いのね。
まぁ、油切れの心配もあるしオーバーホールしてもらったからいいか。
(余談ですが昨年の冬のボーナスは社員全員¥30,000でした)
そして翌日に引き取りに行くと
>>「治らずに¥27,500?」
が火を付けてしまったようで
『(主人が)もう少し調整をしてみる、そうで』
奥でルーペを付けた老店主が作業をしていた。
でもU-BOATさんから教えてもらった揺動レバーが無いのだから調整で
どうにかはならないと思うのですが・・・
特急みちのくさんに連絡をすると「揺動レバーを作製しているお店もある」
とアドバイスを頂いたので引き取ったら探して送る事にしました。
それから10日程経ち
『やはり治りませんでした』と連絡がありました。
そうだろうな~。肝心な個所が治らず27,500円か~。
でも年老いた老夫婦に
「『安心と実績の修理』とか『プロの技術で』と言いながらメーカー丸投げじゃないの?
見積もりを取ると言いながら連絡無くいきなり修理?」と文句を言うのもね
まぁ仕方ないや、ボーナス¥30,000だったんですけどね(笑)
そして泊まり勤務の前に店に行き支払いを済ませ引き取りました。
「部品が無かったらしょうがないですよ(笑)」
『何かありましたらまた』
いや、もう二度とお世話になる事はないでしょう(苦笑)
そして職場に行く電車に乗り父のキングセイコーを
取り出すと
「なんじゃぁ、こりゃあ~!!??(激怒)」
つづく