愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

からだの初期化を試みよう 26 アローン操体法 余話-1 背伸び (8)

2015-12-31 09:37:03 | 健康
随分と道草を食ったようにも思えますが、……。
しかしやっと振り出しに戻って、≪余話-1 背伸び(1) (2015-11-15 投稿)≫で示した“目覚めの刻”の人形について話を進める素地ができたようにも思います。

先に触れたように、この写真の人形は、2015年度(第62回)日本伝統工芸展(於京都))で会長賞を受賞されています。十分に睡眠をとった後の快良い目覚めの時をよく表現されているように思えます。

今一度、≪余話-1背伸び(1)≫に示した人形の写真を視て頂きましょう。人形は、起き掛けに胡坐を組んで座り、いかにも気持ち良さそうに“背伸び”をしている姿勢です。手指を組み、手のひらを天に向け、腕をしっかりと伸ばしています。

上半身がやや右後ろに傾いていて、不安定に感じられる姿勢です。顔の表情から見て、息を詰めている様子ではない。伸びやかに、ゆっくりと深呼吸をして、朝の新鮮な空気を胸いっぱいに吸っているように思えます。

恐らくは、続いて、“背伸び”の姿勢を保ったままで、上半身を左後ろに傾け、さらに右回りに、また左回りに とゆっくり回転させていくのではないでしょうか。何回かこれらの動作を繰り返していくうちに、目が覚め、またからだが活き返っていくことを実感するであろうことを想像させてくれます。

“目覚めの刻”の狙いからは逸れるでしょうが、運動(あるいは体操)という面からもう少し詳細に見ていきます。想像を掻き立てた動作は、「静的ストレッチング」と呼ばれる運動に属する動作と考えてよいでしょう。起き掛けに動きの速い運動でなく、ゆっくりとした運動から始めて、一日の活動に繋げていくことは、最も好ましいことと言えるでしょう。

両手の親指を除く4本指を組み合わせて、手のひらを天に向け、両腕を伸ばしている点、特に注意を惹きます。このような姿勢で“背伸び”をすることで、ただ無造作に両手を頭上に挙げた場合に比べて、4本の手指および手首を曲げる屈筋群、両腕の裏側(陽にあたらない側)および上半身前後左右の筋群のストレッチングが強調されることになります。特に、上半身表層部の大きな筋群が‘引き伸ばされているナ’と実感できるはずです。

手指および手首を曲げる屈筋群は、物を掴む、抱く、また引き寄せるなど、日常生活の中で最もよく‘働らかされている’筋群と言えるでしょう。また一の腕部の筋群は、硬式テニスのバックハンド、ゴルフのドライバーショットなどで酷使されています。それにも関わらず、一般に、これら筋群のストレッチング運動はさして関心を引いているようには思われません。

筆者の知る限り、一の腕から手の部分の筋群のケアに注目した運動(体操)は見当たりません。その重要性に照らして、先に紹介した『アローン操体法』では、それら筋群の静的および動的ストレッチングを一連の体操の中に組み込んでいます。

静的ストレッチングについては、
・「からだの初期化を試みよう 9:手指・手首のストレッチング」、
動的ストレッチングについては、
・「からだの初期化を試みよう 13:弾性ストレッチング(2)」
をご参照下さい。

長期にわたってストレッチング運動を実施することがなければ、運動に関わる筋を取り巻く結合組織などで“糖化”が進み、硬化していくことは、先に触れた通りです。極端な例として副木を添えて、固定された腕での硬化については既に触れました。

通常、ヒトでは、手指は酷使された上、四六時中自然体のまま曲げた状態で留め置かれています。また終日テニスやゴルフを楽しんだ人たちは、何杯かのビールで疲れを癒して一日が終わる。すなわち、これらの状況では、手や腕では結合組織の硬化が促進されているものと想像されます。

若年者でも、手指が十分に伸びず、やや曲がった状態にある人をよく目にします。またテニスやゴルフを楽しむ人では、テニス肘やゴルフ肘などよく耳にします。これらの状況は、酷使されたにも拘わらず、ストレッチング運動を含めたケアが充分になされていないことに因ると考えられるのではないでしょうか。

この人形の“背伸び”姿勢を見たとき、手の親指は自由なまゝであり、親指を内側に曲げる筋群は、ストレッチングの対象にされていないことに気づきます。但し、起き掛けの“背伸び”の最も大きな狙いは、“目覚め”を促進することにあると言えるでしょうから、ここでは問題にすることはないでしょう。

以後、“背伸び”が“目覚め”を促進する仕組み、またストレッチング運動としての“背伸び”について、さらに思いを巡らしていきます。

以上、2015(H.27)を締めます。皆さん、佳いお年を!!
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« からだの初期化を試みよう 2... | トップ | からだの初期化を試みよう 2... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

健康」カテゴリの最新記事