原発依存症(2)
「原発マネー」が奔流のように流れ込み、
双葉町を例にとれば、1978、79年に5、6号機が運転を開始し、
1983年のピーク時の原発関連固定資産税だけでも約18億円にもなり、
当時の双葉町の歳入総額33億円の54%にも達した。
町は下水道や道路整備、ハコ物建設に巨額の税を投入した。
巨大な原子力産業に携わる人も増え、いつしか冬期の出稼ぎもなくなり、
「どんどん生活が良くなり」、「原発から饅頭と飴玉をたっぷりもらった」と、当時を振り返る。
だが、運転開始から10年もたてば、原発施設は老朽化し、
それに伴って固定資産税は激減し、期限付きの交付金も減ってくる。
「原発バブルの崩壊」である。
しかし、タガの緩んだ財政の立て直しは容易ではない。
豊かにしてくれた「原発マネー」が激減し、
早期健全化団体にまで追い込まれた双葉町は、
「第二の夕張」(財政再生団体)寸前まで、財政が逼迫(ひっぱく)する。
夢よもう一度。
7、8号機建設の容認である。
これにより、毎年9億8千万円、4年間で39億2千万円の
電源立地等初期対策交付金を手にすることになる。
清水修司・福島大副学長(財政学)は言う。
「どの地域も初めは原発をてこに地域を発展させたいと願う。
しかし、産業の乏しい過疎地に押し寄せる原発マネーはあまりに巨額」で、
原発依存症からの脱皮は容易ではない。
(つづく)
※ 早期健全化団体:自治体財政の健全さをはかる4指標のいずれかが、一定値を超えると指定される。
財政破綻のイエローカードにである。これは、財政破綻の一歩手前にあたる。借金返済のための財政健全化
計画を作り、外部の財務監査を受けなければならない。自治体財政健全化法の施工で2008年度決算から
適用されるようになった。さらに財政の状態の逼迫(ひっぱく)してしまえば、北海道・夕張市が指摘された「財
政再建団体」になってしまう。レッドカードということになる。
(朝日新聞キーワードの解説を参考に手を加えた)
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