『水仙月の四日』の時空を考えると、具体的な示唆は(大きな象の頭のかたちをした、雪丘)であり、(大きく招く祈りの形)だと解釈すると、舞台は《生と死の境界》であることが分かる。
雪丘の裾、雪丘の上の方、象の形の丘からは(美しい町、川、停車場)が見える。この停車場は『銀河鉄道の夜』の停車場と同じであって、現世と来世の接点だと思う。
地上ではあるが、景色の変移が幻想的で重力を感じさせない、重力のない世界、つまり現実から離れた時空であることが分かってくる。
研きあげられたような群青の空から、まつ白な雪がさぎの毛のやうにいちめんに落ちてきました。
雪雲は重く暗い、群青の空から雪がさぎの毛のように落ちてくるとは考えにくい。
それは下の平原の雪や、ビール色の日光、茶いろのひのきでできあがつた、しづかな綺麗な日曜日を、一そう美しくしたのです。
(下の平原の雪や、ビール色の日光、茶いろのひのきでできあがった、しづかな日曜日)というのは下界/現世の景色、太陽を礎にした地球である。『水仙月の四日』の時空は本当の冥府(来世)と現世の中間を仮想してものだと思う。
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