『旅の想い出』
旅とは何だろう、地球、人が生きた時代を旅と呼んでいるのではないか。
不明なほど遠い未来、すでに想い出は石化している。
石に残る歴史の存在証明。人の心(精神)の総まとめの一幕がここに在る。
本を脇に抱え人智を表す着衣の人間。共同社会における経済の循環、組織の中の順列、強きものであるライオン、テーブルの上の果実、ロウソクの仄かな灯り、壁に掲げられた塔の廃屋、終末である。
すべては宇宙時間の中の旅に過ぎなかったのだろうか。地球という岩石に刻まれた幻、石化は幻想に過ぎない。
わたくし(マグリット)の答え(総決算)も、笑止、狭い陋屋に閉じ込められた一枚のスケッチと化している。存在の重みは、単に石に刻まれた元素が証明しうるとして、旅は移動であり、留まらぬゆえに旅なのである。
写真は『マグリット』展・図録より
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