続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『旅の想い出』

2022-04-23 07:33:32 | 美術ノート

   『旅の想い出』

 旅とは何だろう、地球、人が生きた時代を旅と呼んでいるのではないか。

 不明なほど遠い未来、すでに想い出は石化している。
 石に残る歴史の存在証明。人の心(精神)の総まとめの一幕がここに在る。

 本を脇に抱え人智を表す着衣の人間。共同社会における経済の循環、組織の中の順列、強きものであるライオン、テーブルの上の果実、ロウソクの仄かな灯り、壁に掲げられた塔の廃屋、終末である。

 すべては宇宙時間の中の旅に過ぎなかったのだろうか。地球という岩石に刻まれた幻、石化は幻想に過ぎない。
 わたくし(マグリット)の答え(総決算)も、笑止、狭い陋屋に閉じ込められた一枚のスケッチと化している。存在の重みは、単に石に刻まれた元素が証明しうるとして、旅は移動であり、留まらぬゆえに旅なのである。

 写真は『マグリット』展・図録より


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