『媚薬』
岩石で設えた着衣が記念碑のように台座に鎮座している、これをもって『媚薬』と名付けたマグリットの想い。
遥か遠い昔、人間なる生き物がいたという。その人たちは恋とか愛に心を熱くし、その身体を求め、果てに長い歴史を紡いでいたらしい。
肉体への欲求、着衣の中の人間という生き物の習い・・・。
恋慕、欲情、その類がこの着衣の中にあったという。昔々、人間という生き物が現存していたころのお話が、この着衣に遺っている。
宇宙の中の奇跡ともいうべき風変りな生き物たちがいたことを語る遺跡である。
《媚薬という怪しいものが、精神という不可解なものに宿っていたらしい》いつか遠い未来での語り草である。
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