続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『水仙月の四日』43。

2021-11-09 06:31:43 | 宮沢賢治

「えゝ、さうです。さあ、死んでしまへ。」雪童子はわざとひどくぶつかりながらまたそつと云ひました。
「倒れてゐるんだよ。動いちやいけない。動いちやいけないつたら。」
 狼どもが気ちがひのやうにかけめぐり、黒い足は雪雲の間からちらちらしました。

「えゝ、さうです。さあ死んでしまへ。」雪童子はわざとひどくぶつかりながらまたそつと言いました。
《わざと》ひどくぶつかっている。心にもなく、裏腹に。
「倒れているんだよ。」起きあがってはいけない!(鬼に生まれてはいけない、死んではいけない)と言っている。
 大神たちは夢中になって辺り(子供→死境、生死の境)をかけめぐり、黒い足(悪しを扱く)は死の運(めぐり合わせ、運命)からちらちらしました。→悪を取り払う、け散らしている。
 雪童子(死の導師)は雪婆んごの命に従う風でありながら、実は生へと救済しているのではないか。


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