「えゝ、さうです。さあ、死んでしまへ。」雪童子はわざとひどくぶつかりながらまたそつと云ひました。
「倒れてゐるんだよ。動いちやいけない。動いちやいけないつたら。」
狼どもが気ちがひのやうにかけめぐり、黒い足は雪雲の間からちらちらしました。
「えゝ、さうです。さあ死んでしまへ。」雪童子はわざとひどくぶつかりながらまたそつと言いました。
《わざと》ひどくぶつかっている。心にもなく、裏腹に。
「倒れているんだよ。」起きあがってはいけない!(鬼に生まれてはいけない、死んではいけない)と言っている。
大神たちは夢中になって辺り(子供→死境、生死の境)をかけめぐり、黒い足(悪しを扱く)は死の運(めぐり合わせ、運命)からちらちらしました。→悪を取り払う、け散らしている。
雪童子(死の導師)は雪婆んごの命に従う風でありながら、実は生へと救済しているのではないか。
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