8月9日、米FRBは短期の目標金利を0.25%引き上げ
年3.5%と発表した。
同時に発表した声明文によれば、0.25%ずつの小刻み
利上げを続けることを明確に示した。
この調子だと、年末までにあと3回開かれるFOMC
(連邦公開市場委員会)たびごとに、0.25%利上げ
すれば4.25%となる。年明け後も利上げが続き、
年5%を予測するアナリストも出てきた。
この日のNY株式市場は、利上げ発表を勇敢にも
飲み込み、NYダウ30種平均株価は、前日比78.74
ポイント上昇した。
ハイテク株主体のナスダック総合株価指数も、9.80ポイント、
S&P500種平均株価も8.25ポイントそれぞれ上昇した。
やきもきさせたスペースシャトル、ディスカバリーが無事地球に
帰還したことを素直に歓迎したのかもしれないなと勝手に
想像した。
この日のNYダウ上昇を、非農業部門の生産性が
予測の2%を上回り、2.2%ヘ上昇し、労働コストが
予測の2.7%が1.3%増に収まったと米労働省が
発表したことを、米国でインフレ懸念が後退したと
投資家は受けとめたようだ。
原油先物相場(軽質油WTI)が、前日比バレル
87セント下げ63.07ドルで取引を終えたが、
高値であることには違いないが、原油相場が
一息いれたことを歓迎したかもしれない。
NYダウ上昇の背景として、米FRBは、
声明文の中で、原油高にもかかわらず、
米国消費は堅調であり、インフレ率も落ちついている
との文言をいれたが、利上げが継続されることは、
とりもなおさず、米国経済はこの先も順調に
推移するシグナルであると、投資家はプラス思考で
受けとめたのかもしれない。
NYダウは平均では上げた。しかし、個別銘柄では、
米航空大手のDelta Air Lines株は12%大幅値下がりした。
原油高が経営を直撃し、破産の怖れありとして、メリルリンチが
評価を「中立」から「売り」に変更したからだ。
原油高が航空会社の経営を揺さぶっているのは、
デルタ航空だけではない。
WTI相場と比べて、ジエット用油の値段格差が、2002年の
バレル2.59ドル高が、今年前半ベースで、バレル11ドル高へ
拡大している。
ガソリン相場も、格差の4.14ドル高が今年は7.75ドル高へ
拡大したが、ジエット燃料は2年前の4倍格差拡大だから
深刻さはガソリンの比でないだろう。
今後65ドル原油が定着するとジエット燃料や
ガソリン精製能力の構造的不足から、航空会社は窮地に
追い込まれる可能性は益々高まって来るだろう。
金利面でもこんご短期金利が年5%まで上昇すれば、
長期金利が、最近多少上向き傾向ながらも、
今後低位安定が続けば、10年物国債利回りと
短期金利格差がニア・ミスすれすれまで
接近する怖れが出てくるだろう。
短期金利上昇、長期金利低位安定を
一番心配しているのが銀行ではなかろうか。
安い短期金利で借りいれ、それを長期で回して
運用していたのが、それがだんだん難しくなる。
利ざやを十分稼げなくなることがこの先
目に見えているからだ。
日本では原油の話も金利の話もほとんど
話題にならないから不思議な国である。
8月9日の東京工業品取引所の中東産原油先物相場は、
9月渡し物でキロリットル当たり980円高、4万260円となった。
4万円を越えたのは始めてだ。
日本のタイヤメーカーは、「原油高騰は、企業努力だけでは
吸収できない」と値上げを発表した。
日本マクドナルドが、6月中間決算を発表したが、経常利益で
77%減少し、7月末から500円セットメニューの半数以上を
30円値上げしたという。
値下げで客を誘き寄せ、減益だから値上げするでは
客離れをむしろ助長するかもしれない。
異常に低すぎる日本の金利。
円高にカムフラージュされた原油高。
早晩修正を余儀なくされるであろう。
中国景気で一息いれた日本経済も、
つきつめれば米国におんぶにだっこである。
米利上げ、原油高、NY株飲み込む。
他人事では済まされまい。(了)
年3.5%と発表した。
同時に発表した声明文によれば、0.25%ずつの小刻み
利上げを続けることを明確に示した。
この調子だと、年末までにあと3回開かれるFOMC
(連邦公開市場委員会)たびごとに、0.25%利上げ
すれば4.25%となる。年明け後も利上げが続き、
年5%を予測するアナリストも出てきた。
この日のNY株式市場は、利上げ発表を勇敢にも
飲み込み、NYダウ30種平均株価は、前日比78.74
ポイント上昇した。
ハイテク株主体のナスダック総合株価指数も、9.80ポイント、
S&P500種平均株価も8.25ポイントそれぞれ上昇した。
やきもきさせたスペースシャトル、ディスカバリーが無事地球に
帰還したことを素直に歓迎したのかもしれないなと勝手に
想像した。
この日のNYダウ上昇を、非農業部門の生産性が
予測の2%を上回り、2.2%ヘ上昇し、労働コストが
予測の2.7%が1.3%増に収まったと米労働省が
発表したことを、米国でインフレ懸念が後退したと
投資家は受けとめたようだ。
原油先物相場(軽質油WTI)が、前日比バレル
87セント下げ63.07ドルで取引を終えたが、
高値であることには違いないが、原油相場が
一息いれたことを歓迎したかもしれない。
NYダウ上昇の背景として、米FRBは、
声明文の中で、原油高にもかかわらず、
米国消費は堅調であり、インフレ率も落ちついている
との文言をいれたが、利上げが継続されることは、
とりもなおさず、米国経済はこの先も順調に
推移するシグナルであると、投資家はプラス思考で
受けとめたのかもしれない。
NYダウは平均では上げた。しかし、個別銘柄では、
米航空大手のDelta Air Lines株は12%大幅値下がりした。
原油高が経営を直撃し、破産の怖れありとして、メリルリンチが
評価を「中立」から「売り」に変更したからだ。
原油高が航空会社の経営を揺さぶっているのは、
デルタ航空だけではない。
WTI相場と比べて、ジエット用油の値段格差が、2002年の
バレル2.59ドル高が、今年前半ベースで、バレル11ドル高へ
拡大している。
ガソリン相場も、格差の4.14ドル高が今年は7.75ドル高へ
拡大したが、ジエット燃料は2年前の4倍格差拡大だから
深刻さはガソリンの比でないだろう。
今後65ドル原油が定着するとジエット燃料や
ガソリン精製能力の構造的不足から、航空会社は窮地に
追い込まれる可能性は益々高まって来るだろう。
金利面でもこんご短期金利が年5%まで上昇すれば、
長期金利が、最近多少上向き傾向ながらも、
今後低位安定が続けば、10年物国債利回りと
短期金利格差がニア・ミスすれすれまで
接近する怖れが出てくるだろう。
短期金利上昇、長期金利低位安定を
一番心配しているのが銀行ではなかろうか。
安い短期金利で借りいれ、それを長期で回して
運用していたのが、それがだんだん難しくなる。
利ざやを十分稼げなくなることがこの先
目に見えているからだ。
日本では原油の話も金利の話もほとんど
話題にならないから不思議な国である。
8月9日の東京工業品取引所の中東産原油先物相場は、
9月渡し物でキロリットル当たり980円高、4万260円となった。
4万円を越えたのは始めてだ。
日本のタイヤメーカーは、「原油高騰は、企業努力だけでは
吸収できない」と値上げを発表した。
日本マクドナルドが、6月中間決算を発表したが、経常利益で
77%減少し、7月末から500円セットメニューの半数以上を
30円値上げしたという。
値下げで客を誘き寄せ、減益だから値上げするでは
客離れをむしろ助長するかもしれない。
異常に低すぎる日本の金利。
円高にカムフラージュされた原油高。
早晩修正を余儀なくされるであろう。
中国景気で一息いれた日本経済も、
つきつめれば米国におんぶにだっこである。
米利上げ、原油高、NY株飲み込む。
他人事では済まされまい。(了)