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不毛の議論(無精卵)が多すぎる。ヒヨコが生まれる議論(有精卵)をして欲しい

2011-07-05 08:23:14 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)



無精卵をいくら抱いていてもヒヨコにならない。このような当り前のことが、当り前に扱われないのが今の世の中に多く見られる。無精卵か有精卵かの見極めなしに、不毛の議論を惰性で続けているケースがほとんどなのかもしれない。3.11以降、4ケ月近く経って相変わらず「無精卵」をいじくりまわしているような気がしてならない。

パックインジャーナルという朝日ニユ―ススタ―というケーブルテレビの番組をたまたま見た。番組の中でさるコメンテーターが「原発の安全性はクリアされた。」と述べた佐賀県知事の古川康氏は、経済産業省出身だから当然だろう、と発言していた。事はそんな単純な中身でなかろうが、一般的に見て、関係者の間では当り前の話であっても、一般の人間から見れば、何を根拠にして「原発の安全性はクリアされた」といった大胆不敵な発言が、出来るのかが分からなかったからだ。

「原発撤退」で電気代2,121円増という大見出しが7月3日付けの読売朝刊に出ていた。日本学術会議の分科会がまとめた試算である。記事を最後まで読むと「安全対策のほか、廃炉や使用済み核燃料の処理コストの増大や、事故が起きた場合の社会への甚大な影響もある」と書いてあった。見出しが、天地逆ではないかとつい思ってしまう記事だった。

読売新聞になんの怨みもない。定期購読の場合、全紙とれない。せいぜい一紙に絞らざるを得ない家庭がほとんどであろう。たまたま筆者は読売新聞が手許にあるにすぎない。ところで、5日付けの読売朝刊{関西版}一面に、「学び、再出発」というシリーズ記事を見つけた。久しぶりに、積極的に掲載して欲しい記事に出会った。

その記事の中で、「日本ではこの数十年、放射能の怖さも利点も教えて来なかった。被爆国であり大事なことなのに、大臣だった私も気付かなかった。」と、1998年から翌年にかけて文相を務めた原子核物理学者,有馬朗人・武蔵学園長(80)の話が紹介されていた。

記事を読むと放射能の性質等に関する記述は80年代初頭まで中学教科書にあった。以降30年間消え、高校でも重要な扱いでない。特に、人体への影響については学校でも社会でもあまり語られなかった。(中略)中学教科書から放射能が消えたきっかけは「ゆとり教育」だ」と書いていた。ここでマスコミも責任の一端を担っているとせめても書いて欲しかった。

話は飛ぶ。3.11は、日本人に改めて質素な生活に戻ることの大切さを教えてくれたと知人のSさんからメールをいただいた。その返事に「質素な生活」という言葉自体、どういう意味なのか実感出来ない世代に具体的にどのように教えたらいいのか自信がないと書いた。そういう意味では「被爆国」という言葉も同じかもしれない。

無精卵ですか?有精卵ですか?と聞かれても、ピンと来ない世代が増えているのであろう。と偉そうな口ぶりで書いていると、とんでもないことになるかもしれない。ちなみに「無精卵」を広辞苑で引くと「受精していない卵。」と書いてあった。「受精卵」は「受精を終えて雌核と雄核が合体した卵」と出ていた。「有精卵」を引いたが、広辞苑にはなかった。教科書にどのように出ているのだろうか。

「無精卵」を抱いていてもヒヨコが生まれないことだけは確かである。世の中、不毛の議論が多すぎる。ヒヨコが生まれる議論をしてほしいい。(了)

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