7月20日、NY株式市場は、はじめGM〔ゼネラルモータース〕
の収益悪化、Intel〔インテル〕の今ひとつ冴えない決算発表を
受けて、大きく下げた。
しかし、午後の取引に入り、米FRBグリーンスパン議長の
米下院証言の質疑応答が伝えられるタイミングから反発に転じ、
終値では、ダウで42ドル高、ナスダック総合株価指数では
15ドル高で取引を終了した。
ナスダック指数はここ4年振りの高値となった。
グリーンスパンは米議会で何を話したのか。
WSJ紙電子版(7/20)からその要旨を紹介する。
一口で言えば、米国景気は、インフレを抑えながら、成長を
続けていく。利上げは継続するとグリースパンは明言したことが
ポイントであろう。
投資家はその言葉に安心し、彼が何を発言するかという
ひとつの不透明要因が消えたこともあって買いに転じたの
かもしれない。
ただ、グリーンスパン議長は、米国経済の成長を
より確実な中身にするために、労働コストとエネルギーコストの
動向に注意を払う必要があると話した。
2006年のGDP伸び率は3.25~3.5%、インフレ率は
1.75~2%と予測した。
当初は、成長率は3.5%、インフレ率は1.5~1.75%と
予測していた。
原油相場については、①米経済見通しの2つの不確定要因の
1つである、②一年で2倍となったバレル60ドルから更なる値上りは
米個人消費を減らし、結果、成長率を押し下げると話した。
米景気の第2の不確定要因は、労働コストであると指摘して、
労働コストはここ数年抑えられてきたが、最近上昇傾向にあり、
過去見られたような経過をたどるかどうか不透明であると話した。
長期金利については、インフレ懸念の後退、高貯蓄、投資意欲の沈静化が
世界的に見られることから、低位で継続すると予測した。
米住宅価格が一部に低下していることは、地域的な現象であり
米景気に与える影響は大きくないと話した。
税収が増加していることは、歓迎される。結果9月末の財政赤字は
790億ドル減り、3,330億ドルへ減少すると予測した。
米議会が進めている中国品に対する大幅な輸入関税引き上げ
〔一律27.5%案〕は好ましくないと指摘し、その一方で、人民元切り上げは
中国の国益である。為替政策を中国が変更しなければ、
中国経済が被害を被るだろうと話した。
米国の貯蓄率は低い。海外からの借り入れを上回る率で、
長期的に貯蓄を米国人は増やす必要があると指摘した。
米国の年金制度について、従来は収入の40%で年金生活が
送れたが、これから先は、収入の80%が年金に振り向けられる。
年金だけでは生活できないから、そのためにも米国人は
貯蓄を増やす必要があると指摘した。
米国人は、住宅資産投資と株式投資をとおしてキャピタルゲイン
〔現金所得〕を手にしていた結果、貯蓄の心配は比較的少なく済んだ。
しかし、米国経済を継続的に拡大していくためには、国民が
貯蓄を増さなければ経済が回っていかないだろうと話した。
中でも住宅投資からのキャピタルゲインが大きな部門を
占めていた。こんご住宅投資からの収入がある時点で必ず
鈍化すので、個人貯蓄率を上げざるをえなくなるであろうと
話した。
グリーンスパン証言を受けて、NY為替市場では、1ドル=113.06円へ
ドルは値上りした。一方、1ユーロ=1.211ドルへドルは対ユーロでは
値下がりした。ただ、対英ポンドでは、1ポンド=1.7293ドルへドルは
上昇した。
ECB〔欧州中央銀行〕は金利2%維持か下げるか様子見している。
英国中央銀行は4.75%を0.25%段階的に下げるというのが大方の
見方である。
グリーンスパン議長発言ではっきりした米国の利上げ方針が
利回り面での有利不利で端的に為替相場に現れたようだ。
7月20日のNY原油先物相場〔8月物WTI〕は、バレル74セント
下げ56.72ドルで取引された。
米エネルギー庁の米石油在庫が予測以上に多い事を嫌気した
ためと見られている。ハリケーンの話もいつのまにか消えたから
勝手なものだ。
大型ハリケーンがくれば必ず引っ張り出してくるだろう。それが
相場の世界である。
NYダウが後場上昇した背景の1つに原油相場値下がりが
あったことは十分考えられる。
グリーンスパン議長は、来年1月退任が予定されている。
議会証言としては彼にとって最後の機会となる。
大げさに言えば遺言のつもりだったかもしれない。
言い残しておきたかったことではないかと思えることが
並んでいたように思えて興味深い。
グリーンスパン証言が終わり、アメリカ人は本格的な
夏休み休暇に入る。
明けても暮れても郵政民営化のどこかの国との差は
あまりに際立っている。
自分の健康は自分で守る。
自分の経済は自分で守る。
グリーンスパン議会証言から学ぶところは多いのでは
なかろうか。(了)
の収益悪化、Intel〔インテル〕の今ひとつ冴えない決算発表を
受けて、大きく下げた。
しかし、午後の取引に入り、米FRBグリーンスパン議長の
米下院証言の質疑応答が伝えられるタイミングから反発に転じ、
終値では、ダウで42ドル高、ナスダック総合株価指数では
15ドル高で取引を終了した。
ナスダック指数はここ4年振りの高値となった。
グリーンスパンは米議会で何を話したのか。
WSJ紙電子版(7/20)からその要旨を紹介する。
一口で言えば、米国景気は、インフレを抑えながら、成長を
続けていく。利上げは継続するとグリースパンは明言したことが
ポイントであろう。
投資家はその言葉に安心し、彼が何を発言するかという
ひとつの不透明要因が消えたこともあって買いに転じたの
かもしれない。
ただ、グリーンスパン議長は、米国経済の成長を
より確実な中身にするために、労働コストとエネルギーコストの
動向に注意を払う必要があると話した。
2006年のGDP伸び率は3.25~3.5%、インフレ率は
1.75~2%と予測した。
当初は、成長率は3.5%、インフレ率は1.5~1.75%と
予測していた。
原油相場については、①米経済見通しの2つの不確定要因の
1つである、②一年で2倍となったバレル60ドルから更なる値上りは
米個人消費を減らし、結果、成長率を押し下げると話した。
米景気の第2の不確定要因は、労働コストであると指摘して、
労働コストはここ数年抑えられてきたが、最近上昇傾向にあり、
過去見られたような経過をたどるかどうか不透明であると話した。
長期金利については、インフレ懸念の後退、高貯蓄、投資意欲の沈静化が
世界的に見られることから、低位で継続すると予測した。
米住宅価格が一部に低下していることは、地域的な現象であり
米景気に与える影響は大きくないと話した。
税収が増加していることは、歓迎される。結果9月末の財政赤字は
790億ドル減り、3,330億ドルへ減少すると予測した。
米議会が進めている中国品に対する大幅な輸入関税引き上げ
〔一律27.5%案〕は好ましくないと指摘し、その一方で、人民元切り上げは
中国の国益である。為替政策を中国が変更しなければ、
中国経済が被害を被るだろうと話した。
米国の貯蓄率は低い。海外からの借り入れを上回る率で、
長期的に貯蓄を米国人は増やす必要があると指摘した。
米国の年金制度について、従来は収入の40%で年金生活が
送れたが、これから先は、収入の80%が年金に振り向けられる。
年金だけでは生活できないから、そのためにも米国人は
貯蓄を増やす必要があると指摘した。
米国人は、住宅資産投資と株式投資をとおしてキャピタルゲイン
〔現金所得〕を手にしていた結果、貯蓄の心配は比較的少なく済んだ。
しかし、米国経済を継続的に拡大していくためには、国民が
貯蓄を増さなければ経済が回っていかないだろうと話した。
中でも住宅投資からのキャピタルゲインが大きな部門を
占めていた。こんご住宅投資からの収入がある時点で必ず
鈍化すので、個人貯蓄率を上げざるをえなくなるであろうと
話した。
グリーンスパン証言を受けて、NY為替市場では、1ドル=113.06円へ
ドルは値上りした。一方、1ユーロ=1.211ドルへドルは対ユーロでは
値下がりした。ただ、対英ポンドでは、1ポンド=1.7293ドルへドルは
上昇した。
ECB〔欧州中央銀行〕は金利2%維持か下げるか様子見している。
英国中央銀行は4.75%を0.25%段階的に下げるというのが大方の
見方である。
グリーンスパン議長発言ではっきりした米国の利上げ方針が
利回り面での有利不利で端的に為替相場に現れたようだ。
7月20日のNY原油先物相場〔8月物WTI〕は、バレル74セント
下げ56.72ドルで取引された。
米エネルギー庁の米石油在庫が予測以上に多い事を嫌気した
ためと見られている。ハリケーンの話もいつのまにか消えたから
勝手なものだ。
大型ハリケーンがくれば必ず引っ張り出してくるだろう。それが
相場の世界である。
NYダウが後場上昇した背景の1つに原油相場値下がりが
あったことは十分考えられる。
グリーンスパン議長は、来年1月退任が予定されている。
議会証言としては彼にとって最後の機会となる。
大げさに言えば遺言のつもりだったかもしれない。
言い残しておきたかったことではないかと思えることが
並んでいたように思えて興味深い。
グリーンスパン証言が終わり、アメリカ人は本格的な
夏休み休暇に入る。
明けても暮れても郵政民営化のどこかの国との差は
あまりに際立っている。
自分の健康は自分で守る。
自分の経済は自分で守る。
グリーンスパン議会証言から学ぶところは多いのでは
なかろうか。(了)