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グリーンスパン議会証言、投資家に勇気与える:米国経済-学校で教えてくれない経済学

2005-07-21 08:44:44 | 経済学
7月20日、NY株式市場は、はじめGM〔ゼネラルモータース〕
の収益悪化、Intel〔インテル〕の今ひとつ冴えない決算発表を
受けて、大きく下げた。

 しかし、午後の取引に入り、米FRBグリーンスパン議長の
米下院証言の質疑応答が伝えられるタイミングから反発に転じ、
終値では、ダウで42ドル高、ナスダック総合株価指数では
15ドル高で取引を終了した。

 ナスダック指数はここ4年振りの高値となった。

 グリーンスパンは米議会で何を話したのか。

 WSJ紙電子版(7/20)からその要旨を紹介する。

 一口で言えば、米国景気は、インフレを抑えながら、成長を
続けていく。利上げは継続するとグリースパンは明言したことが
ポイントであろう。

 投資家はその言葉に安心し、彼が何を発言するかという
ひとつの不透明要因が消えたこともあって買いに転じたの
かもしれない。

  ただ、グリーンスパン議長は、米国経済の成長を
より確実な中身にするために、労働コストとエネルギーコストの
動向に注意を払う必要があると話した。

 2006年のGDP伸び率は3.25~3.5%、インフレ率は
1.75~2%と予測した。

 当初は、成長率は3.5%、インフレ率は1.5~1.75%と
予測していた。

 原油相場については、①米経済見通しの2つの不確定要因の
1つである、②一年で2倍となったバレル60ドルから更なる値上りは
米個人消費を減らし、結果、成長率を押し下げると話した。

 米景気の第2の不確定要因は、労働コストであると指摘して、
労働コストはここ数年抑えられてきたが、最近上昇傾向にあり、
過去見られたような経過をたどるかどうか不透明であると話した。

 長期金利については、インフレ懸念の後退、高貯蓄、投資意欲の沈静化が
世界的に見られることから、低位で継続すると予測した。

 米住宅価格が一部に低下していることは、地域的な現象であり
米景気に与える影響は大きくないと話した。

 税収が増加していることは、歓迎される。結果9月末の財政赤字は
790億ドル減り、3,330億ドルへ減少すると予測した。

 米議会が進めている中国品に対する大幅な輸入関税引き上げ
〔一律27.5%案〕は好ましくないと指摘し、その一方で、人民元切り上げは
中国の国益である。為替政策を中国が変更しなければ、
中国経済が被害を被るだろうと話した。

 米国の貯蓄率は低い。海外からの借り入れを上回る率で、
長期的に貯蓄を米国人は増やす必要があると指摘した。

 米国の年金制度について、従来は収入の40%で年金生活が
送れたが、これから先は、収入の80%が年金に振り向けられる。
年金だけでは生活できないから、そのためにも米国人は
貯蓄を増やす必要があると指摘した。

 米国人は、住宅資産投資と株式投資をとおしてキャピタルゲイン
〔現金所得〕を手にしていた結果、貯蓄の心配は比較的少なく済んだ。
しかし、米国経済を継続的に拡大していくためには、国民が
貯蓄を増さなければ経済が回っていかないだろうと話した。

 中でも住宅投資からのキャピタルゲインが大きな部門を
占めていた。こんご住宅投資からの収入がある時点で必ず
鈍化すので、個人貯蓄率を上げざるをえなくなるであろうと
話した。

 グリーンスパン証言を受けて、NY為替市場では、1ドル=113.06円へ
ドルは値上りした。一方、1ユーロ=1.211ドルへドルは対ユーロでは
値下がりした。ただ、対英ポンドでは、1ポンド=1.7293ドルへドルは
上昇した。

 ECB〔欧州中央銀行〕は金利2%維持か下げるか様子見している。
英国中央銀行は4.75%を0.25%段階的に下げるというのが大方の
見方である。

 グリーンスパン議長発言ではっきりした米国の利上げ方針が
利回り面での有利不利で端的に為替相場に現れたようだ。

 7月20日のNY原油先物相場〔8月物WTI〕は、バレル74セント
下げ56.72ドルで取引された。

 米エネルギー庁の米石油在庫が予測以上に多い事を嫌気した
ためと見られている。ハリケーンの話もいつのまにか消えたから
勝手なものだ。

 大型ハリケーンがくれば必ず引っ張り出してくるだろう。それが
相場の世界である。

 NYダウが後場上昇した背景の1つに原油相場値下がりが
あったことは十分考えられる。

 グリーンスパン議長は、来年1月退任が予定されている。
議会証言としては彼にとって最後の機会となる。

 大げさに言えば遺言のつもりだったかもしれない。
言い残しておきたかったことではないかと思えることが
並んでいたように思えて興味深い。

 グリーンスパン証言が終わり、アメリカ人は本格的な
夏休み休暇に入る。

 明けても暮れても郵政民営化のどこかの国との差は
あまりに際立っている。

 自分の健康は自分で守る。

 自分の経済は自分で守る。

 グリーンスパン議会証言から学ぶところは多いのでは
なかろうか。(了)

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