国道下駐車場、ガラガラ 建設に巨費 遠い採算(朝日新聞) - goo ニュース
2007年09月17日17時33分
国土交通省が名古屋市や三重県四日市市など全国14カ所の国道の下に建設した地下駐車場の大半で利用が低迷している。1台分の駐車スペースに換算すると、平均約4000万円の税金を投入。経費ゼロとしても投資分の収入を得るのに、現在の利用ペースなら名古屋では約150年、四日市では約180年かかる計算だ。駐車場は同省の天下り財団が独占的に運営している。
夕方の買い物客らが行き交う近鉄四日市駅前。国道1号下の四日市地下駐車場「くすの木パーキング」には、四日市市の第三セクターが306台、国交省が203台の駐車スペースを持つが、駅からやや遠い国交省側は車がまばらだ。
管理事務所の担当者は「祭りの時は満車になる」と言うが、近くで働く30代の女性は「人がいなすぎて怖いくらい」。
名古屋市北区の国道19号下の大曽根国道駐車場「OZパーキング」も同じような状況だった。
四日市市のくすの木パーキングは97年、国が69億円を負担して造られたが、1台分の事業費が3399万円なのに対し、05年度の1台当たりの売り上げは19万円しかなかった。名古屋市のOZパーキングは同年に68億円で建設された。収容台数は196台で、1台分の事業費は3469万円で、1台当たりの売り上げは23万円だった。
こうした地下駐車場は全国にある。国交省は97~03年、路上駐車や渋滞緩和を目的に、東京都や大阪市など全国14カ所の国道の地下を掘り、駐車場を建設した。道路特定財源を使い、事業総額は約1000億円に上る。05年度の売り上げは14カ所で計12億2000万円だった。
14カ所の駐車スペースは計2495台で、朝日新聞社が試算したところ、建設費を駐車区画数で単純に割ると、1台分の駐車スペースを造るのに平均約4000万円かかったが、05年度の売り上げは平均49万円。元を取ろうとすれば一部を除き長期間かかり、東京都八王子市の駐車場は238年にもなる。しかも、これは個別の経費が明らかにされておらず、職員に払う給料や建物の修理費、更新費をゼロとした場合の数字だ。
各地の地下駐車場を管理運営するのは財団法人「駐車場整備推進機構」(東京都)。国土交通省所管の天下り財団だ。国は一緒に駐車場を整備したこの財団と、建設時に「兼用工作物管理協定」を結び、競争入札もせずに、独占的に任せる契約を結んでいる。
国は機構に管理を任せ、機構が駐車場の売り上げで運営に当たっているが、地元の自治体などと一体的に整備した四日市市や静岡市のように、国交省が同機構に管理運営を任せる国整備分の駐車場を、機構が地元側にそのまま管理を委託する、事実上「再委託」となっている実態もある。
機構は93年設立。国交省などによると、91年の道路法改正で国道地下に駐車場が建設できるようになり、運営を引き受ける財団設立の動きが浮上したという。常勤役員4人全員は同省と警察庁の幹部OBで、非常勤の会長を張富士夫・トヨタ自動車会長、理事長を建設事務次官や道路公団総裁を歴任した鈴木道雄氏が務める。国交省から調査業務なども受託する。06年3月期の売り上げは23億9400万円で、700万円の赤字だった。
国交省道路局道路交通安全対策室は「造った分を後で回収するのではないので採算という考え方は当たらない。路上駐車や渋滞緩和では一定の効果はあった。(管理は)公益法人なので利益が出ても公益的な事業に振り分けるとの考えで機構を選んだ。運営管理に対する国の支出はなく、駐車場の売り上げで管理を任せており、会計法上の随意契約でない」と説明している。機構は「採算が厳しい駐車場もあるが、全体では採算は確保されている」としている。
〈宮脇淳・北海道大学公共政策大学院教授(行政学)の話〉
コストに見合った政策目的なのか納税者に説明しないといけない。路上駐車や渋滞緩和対策の効果だけなら十分ではない。老朽化に伴う税負担は今後も続くのなら採算が悪い駐車場は廃止することも検討しないといけない。国と財団が一緒に駐車場を整備する必然性はあるのか。管理も財団でなければならない理由はなく、色々なやり方があるはずだ。不透明に見える部分は見直さなければならない。
**************************
国交省道路局道路交通安全対策室の考え方で、「採算が厳しい駐車場もあるが、全体では採算は確保されている」と言うのは、投資の金額を計算に入れてないからではないか。
宮脇淳・北海道大学公共政策大学院教授が言うように、納税者に説明しなくてはならないのではないか。
「税金は使い放題」の姿勢が消えない限り、国民は納得しない!
「国民のための税金」であることを忘れないで欲しい。
2007年09月17日17時33分
国土交通省が名古屋市や三重県四日市市など全国14カ所の国道の下に建設した地下駐車場の大半で利用が低迷している。1台分の駐車スペースに換算すると、平均約4000万円の税金を投入。経費ゼロとしても投資分の収入を得るのに、現在の利用ペースなら名古屋では約150年、四日市では約180年かかる計算だ。駐車場は同省の天下り財団が独占的に運営している。
夕方の買い物客らが行き交う近鉄四日市駅前。国道1号下の四日市地下駐車場「くすの木パーキング」には、四日市市の第三セクターが306台、国交省が203台の駐車スペースを持つが、駅からやや遠い国交省側は車がまばらだ。
管理事務所の担当者は「祭りの時は満車になる」と言うが、近くで働く30代の女性は「人がいなすぎて怖いくらい」。
名古屋市北区の国道19号下の大曽根国道駐車場「OZパーキング」も同じような状況だった。
四日市市のくすの木パーキングは97年、国が69億円を負担して造られたが、1台分の事業費が3399万円なのに対し、05年度の1台当たりの売り上げは19万円しかなかった。名古屋市のOZパーキングは同年に68億円で建設された。収容台数は196台で、1台分の事業費は3469万円で、1台当たりの売り上げは23万円だった。
こうした地下駐車場は全国にある。国交省は97~03年、路上駐車や渋滞緩和を目的に、東京都や大阪市など全国14カ所の国道の地下を掘り、駐車場を建設した。道路特定財源を使い、事業総額は約1000億円に上る。05年度の売り上げは14カ所で計12億2000万円だった。
14カ所の駐車スペースは計2495台で、朝日新聞社が試算したところ、建設費を駐車区画数で単純に割ると、1台分の駐車スペースを造るのに平均約4000万円かかったが、05年度の売り上げは平均49万円。元を取ろうとすれば一部を除き長期間かかり、東京都八王子市の駐車場は238年にもなる。しかも、これは個別の経費が明らかにされておらず、職員に払う給料や建物の修理費、更新費をゼロとした場合の数字だ。
各地の地下駐車場を管理運営するのは財団法人「駐車場整備推進機構」(東京都)。国土交通省所管の天下り財団だ。国は一緒に駐車場を整備したこの財団と、建設時に「兼用工作物管理協定」を結び、競争入札もせずに、独占的に任せる契約を結んでいる。
国は機構に管理を任せ、機構が駐車場の売り上げで運営に当たっているが、地元の自治体などと一体的に整備した四日市市や静岡市のように、国交省が同機構に管理運営を任せる国整備分の駐車場を、機構が地元側にそのまま管理を委託する、事実上「再委託」となっている実態もある。
機構は93年設立。国交省などによると、91年の道路法改正で国道地下に駐車場が建設できるようになり、運営を引き受ける財団設立の動きが浮上したという。常勤役員4人全員は同省と警察庁の幹部OBで、非常勤の会長を張富士夫・トヨタ自動車会長、理事長を建設事務次官や道路公団総裁を歴任した鈴木道雄氏が務める。国交省から調査業務なども受託する。06年3月期の売り上げは23億9400万円で、700万円の赤字だった。
国交省道路局道路交通安全対策室は「造った分を後で回収するのではないので採算という考え方は当たらない。路上駐車や渋滞緩和では一定の効果はあった。(管理は)公益法人なので利益が出ても公益的な事業に振り分けるとの考えで機構を選んだ。運営管理に対する国の支出はなく、駐車場の売り上げで管理を任せており、会計法上の随意契約でない」と説明している。機構は「採算が厳しい駐車場もあるが、全体では採算は確保されている」としている。
〈宮脇淳・北海道大学公共政策大学院教授(行政学)の話〉
コストに見合った政策目的なのか納税者に説明しないといけない。路上駐車や渋滞緩和対策の効果だけなら十分ではない。老朽化に伴う税負担は今後も続くのなら採算が悪い駐車場は廃止することも検討しないといけない。国と財団が一緒に駐車場を整備する必然性はあるのか。管理も財団でなければならない理由はなく、色々なやり方があるはずだ。不透明に見える部分は見直さなければならない。
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国交省道路局道路交通安全対策室の考え方で、「採算が厳しい駐車場もあるが、全体では採算は確保されている」と言うのは、投資の金額を計算に入れてないからではないか。
宮脇淳・北海道大学公共政策大学院教授が言うように、納税者に説明しなくてはならないのではないか。
「税金は使い放題」の姿勢が消えない限り、国民は納得しない!
「国民のための税金」であることを忘れないで欲しい。