白老の自然情報

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TMI(スリーマイル島)原発事故の教訓は生かされていなかった 福島原発原子力災害

2011-03-21 23:58:01 | 原発・エネルギー
TMI(スリーマイル島)原発事故の教訓は生かされていなかった。

世界各国が日本の情報開示に不信を抱くとともに、
対応後手に回り日本政府に不信感 福島原発事故で各国(神戸新聞)
海水注入遅れたと米紙が指摘(msn産経ニュース)

このような事態になったのは何故だろうか考えてみました。

TMI(スリーマイル島)原発事故を知る必要があるため、TMI原発事故(吉田伸夫氏 科学と技術の諸相 )の「安全装置」の項をそっくり転載させていただく。

原子力発電所で起こり得る最も恐ろしい事故は、炉心部にある放射性の核分裂生成物が周辺に飛散することである(燃料棒が核爆発を起こすことはあり得ない)。原子炉容器そのものが破裂するという想定外のケースは別にして、こうした事態が発生する可能性があるのは、炉心部から1次冷却水が失われた場合である。もし冷却水の水位が低下して燃料棒が空気中に現れるようなことになると、自身が発生する熱によって燃料棒のジルコニウム製の被覆が溶けてしまい、最悪の場合は、崩れ落ちた核燃料が容器の底を突き破って環境中に放出されることがある。これが、いわゆるメルトダウンである。このとき、残っていた冷却水と高温の核燃料が接触すると、大量の水が一瞬のうちに蒸発するという水蒸気爆発が起き、原発周辺に多量の放射性物質がばらまかれる可能性が高い。ひとたび、このような事故が発生すると、数千人から数十万人が致死性のガンなどによって死亡すると予想される。

 1次冷却水喪失によるメルトダウンを避けるには、とにもかくにも原子炉に確実に水を供給することが必要である。水の循環システムは、パイプのシール部分などから漏水が起きやすいので、万一に備えて、通常のシステムとは別に、炉心部に水を供給するバックアップ装置が必須となる。こうした装置は、ECCS(緊急炉心冷却装置)と呼ばれ、複数の系統が用意されている。TMI原発の場合は、3系統の高圧注入系(ポンプで高圧にした水を一気に炉心部に流し込む装置)が設置されており、1次冷却系の圧力が低下した場合には、コンピュータによって自動的に水が注入される仕様になっていた。

 このほか、2次冷却系の冷却水が失われた場合も、1次系の除熱が行えずに危険な状態になるため、複数系統の補助給水系が装備されている。この装置も、2次系の水が失われたときには、コンピュータが自動的に起動してくれる。

 このように、原子力発電所では、さまざまな事態に対応できるように多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。1974年に提出されたラスムッセンらによる原子力発電の安全性評価レポート(いわゆるラスムッセン報告)では、フォールトツリー分析の手法によって原発で重大事故が起きる確率を計算し、およそ10億年に1回と結論している。しかし、こうした「机上の計算」をあざ笑うかのように、1979年にアメリカ史上最悪の原発事故が発生する。それは、10億年に1回と計算された最悪事故の一歩手前のものであった。


注目すべきは、
「多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。」とうい点である。
福島原発においても、「多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。」のだろうと思う。
スリーマイル島原発事故から学ぶべきことは、「多重安全設計を行ってもそれが働かない事態が発生する」とういことではなかったのか? スリーマイル島原発事故の発端は、人間の一つのミスであり、今回は「想定外の津波」であったとういだけの違いである。
問題なのは、「津波を想定していなかった」ことにとどまらず、「多重安全設計が機能しなかった場合を全く想定していなかった」という事ではないだろうか。、「多重安全設計神話」とも言えるかもしれない。

スリーマイル島原発周辺のその後について、北海道新聞によると、
米スリーマイル島原発は今 事故から32年 癒えぬ傷 地元 放射能漏れを監視(北海道新聞)
こんな事態にならないこと事を願っています。

東京電力の地震・津波対策(東京電力のホームページ)

吉田伸夫氏
ホームページ「科学と技術の諸相

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安全神話と情報 福島原発事故から

2011-03-21 11:51:48 | 原発・エネルギー
放射線や原子力発電に関する我々の知識不足と「情報開示」の問題を懸念していた。
「安全だ」(安全神話)というだけで、基本的知識や、過去に実際に発生した事故およびそこから得られた事実に基づく対策・考えられるリスクを正確に知らせる事を行ってこなかった「ツケ」を払うことになっているのではないだろうか。
周辺地域の農産物から放射性物質が検出されるようになり、改めて大きな問題になった。「知識のない人に情報を与えると不安を増大しかねないから情報のすべては開示できない」。情報を制限した(らしい)ことで、世界各国が日本の情報開示に不信を抱くとともに、危機対応能力にも疑問をいだくことになったのではないだろうか?

日本に滞在する外国人が自国の政府の指示?により「脱出」しはじめたとの報道。

米 独自に放射線測定を開始へ (NHK 3/16)

海外の報道や動きを紹介してくれています。

海外メディアが報じた東日本大震災(MNS産経ニュース)
  海水注入遅れたと米紙が指摘

私が忘れかけた乏しい知識をかき集めて、Blogにこんなことを書こうと思うのも、不安と疑問からだ。

15日頃から、文部科学省の測定装置を搭載した車両によるモニタリングが行われ、その結果が報道され始めた。しかし、この車両が何台あり、どの範囲をどの程度の頻度でモニタリングしているのか今もわからない。また、しばしば報道される「モニタリングポスト」に関しても、何処にどの程度配置されていているのか。肝心の原発周辺や避難エリアとその周辺では、地震の被害を受け機能していないのではないかとうい心配も解消されていなかった。
ようやく昨日の報道で、その結果が「文部科学省のホームページ」に、日本語・英語・中国語・韓国語で掲載さていることを知った。

データは、福島第1原子力発電所の問題が報道され始めた3/12から3日後の15日からのものだ。
公開され始めたのは3月21日(昨日)からだという。(NHK)

原発本体に対する初期対応の遅れや、日本の放射線モニタリングシステムそのもの、及び測定値にかんする情報開示が遅れたことが、原因の一つであることは間違いないだろう。
国内の様々な機関や研究者においても、情報が少ないことに疑問を感じたのではないだろうか?
原発災害の早期収束、知事が要請 対応不十分と経産省に(福井新聞 3/17)

東京電力・官邸・保安院・防衛相などの会見でなどが情報発信の場となったが、専門家も事故対応に当たっているのであれば、専門家を同席してもらう事が必要だろう。
東京電力や政府は、「重大事故の発生」「初期対応」の段階ですでに、信頼の多くを失っていたとも考えられるからだ。

原子力災害時におけるメンタルヘルス対策のあり方について (原子力安全委員会)

測定データ
福島第1発電所及び第2発電所周辺
都道府県別環境放射能水準調査結果
上水(蛇口水)、定時降下物のモニタリング
福島県原子力センター機器が機能停止状態なのか、書換えできないのかは不明。

原子力発電所周辺の環境放射線常時監視結果のホームページ上でのリアルタイム表示について(リアルタイムに表示されるシステムであることが分かった)

全国各地に設置されているモニタリングポスト じばらく検索したが、公的機関のHPからは見つからなかった。

北海道の状況  この体制で大丈夫なのだろうか?

放射線モニタリングの体制や、そこでの測定データなどが、適切な解説と共にもっと早く
発信されていれば、混乱は幾らか少なくて済んだのではないだろうか。
報道で知る範囲では、IAEAから派遣された専門家も今のところ、特別な調査を行っている様子はない。
日本の原子力災害に対する一応の備えと、行っている・行おうとしている対応を、きちっと発信していれば、天野事務局長まで来日することも無かったのではないだろうか。


「安全神話」誕生の背景には、なるべく「リスク」を小さく言わないと、立地を受け入れる自治体がないという事が背景にあったことも想像される。
福島原発の近くに住む住民の、裏切られた」「嘘をいっている」などの言葉がそれを示していると思います。

電源三法交付金 地元への懐柔策 (よくわかる原子力 原子力教育を考える会)
豊かではない自治体を、「札束でビンタを張る」ことで、建設を進めてきたともいえるだろう。「本当に安全なら、首都圏で使うなら首都圏につくればよいのではないか」と、よく言われたものだ。
水やガソリン…首都圏で買いだめ 被災地に届かぬ恐れ(朝日新聞)
首都圏で品切れ相次ぐ=買い占め殺到、供給も遅れ―食料品 時事通信 3月14日(月)18時10分配信

東京消防庁ハイパーレスキュー隊の皆さんには、勿論感謝しています。
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