TMI(スリーマイル島)原発事故の教訓は生かされていなかった。
世界各国が日本の情報開示に不信を抱くとともに、
対応後手に回り日本政府に不信感 福島原発事故で各国(神戸新聞)
海水注入遅れたと米紙が指摘(msn産経ニュース)
このような事態になったのは何故だろうか考えてみました。
TMI(スリーマイル島)原発事故を知る必要があるため、TMI原発事故(吉田伸夫氏 科学と技術の諸相 )の「安全装置」の項をそっくり転載させていただく。
原子力発電所で起こり得る最も恐ろしい事故は、炉心部にある放射性の核分裂生成物が周辺に飛散することである(燃料棒が核爆発を起こすことはあり得ない)。原子炉容器そのものが破裂するという想定外のケースは別にして、こうした事態が発生する可能性があるのは、炉心部から1次冷却水が失われた場合である。もし冷却水の水位が低下して燃料棒が空気中に現れるようなことになると、自身が発生する熱によって燃料棒のジルコニウム製の被覆が溶けてしまい、最悪の場合は、崩れ落ちた核燃料が容器の底を突き破って環境中に放出されることがある。これが、いわゆるメルトダウンである。このとき、残っていた冷却水と高温の核燃料が接触すると、大量の水が一瞬のうちに蒸発するという水蒸気爆発が起き、原発周辺に多量の放射性物質がばらまかれる可能性が高い。ひとたび、このような事故が発生すると、数千人から数十万人が致死性のガンなどによって死亡すると予想される。
1次冷却水喪失によるメルトダウンを避けるには、とにもかくにも原子炉に確実に水を供給することが必要である。水の循環システムは、パイプのシール部分などから漏水が起きやすいので、万一に備えて、通常のシステムとは別に、炉心部に水を供給するバックアップ装置が必須となる。こうした装置は、ECCS(緊急炉心冷却装置)と呼ばれ、複数の系統が用意されている。TMI原発の場合は、3系統の高圧注入系(ポンプで高圧にした水を一気に炉心部に流し込む装置)が設置されており、1次冷却系の圧力が低下した場合には、コンピュータによって自動的に水が注入される仕様になっていた。
このほか、2次冷却系の冷却水が失われた場合も、1次系の除熱が行えずに危険な状態になるため、複数系統の補助給水系が装備されている。この装置も、2次系の水が失われたときには、コンピュータが自動的に起動してくれる。
このように、原子力発電所では、さまざまな事態に対応できるように多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。1974年に提出されたラスムッセンらによる原子力発電の安全性評価レポート(いわゆるラスムッセン報告)では、フォールトツリー分析の手法によって原発で重大事故が起きる確率を計算し、およそ10億年に1回と結論している。しかし、こうした「机上の計算」をあざ笑うかのように、1979年にアメリカ史上最悪の原発事故が発生する。それは、10億年に1回と計算された最悪事故の一歩手前のものであった。
注目すべきは、
「多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。」とうい点である。
福島原発においても、「多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。」のだろうと思う。
スリーマイル島原発事故から学ぶべきことは、「多重安全設計を行ってもそれが働かない事態が発生する」とういことではなかったのか? スリーマイル島原発事故の発端は、人間の一つのミスであり、今回は「想定外の津波」であったとういだけの違いである。
問題なのは、「津波を想定していなかった」ことにとどまらず、「多重安全設計が機能しなかった場合を全く想定していなかった」という事ではないだろうか。、「多重安全設計神話」とも言えるかもしれない。
スリーマイル島原発周辺のその後について、北海道新聞によると、
米スリーマイル島原発は今 事故から32年 癒えぬ傷 地元 放射能漏れを監視(北海道新聞)
こんな事態にならないこと事を願っています。
東京電力の地震・津波対策(東京電力のホームページ)
吉田伸夫氏
ホームページ「科学と技術の諸相」
世界各国が日本の情報開示に不信を抱くとともに、
対応後手に回り日本政府に不信感 福島原発事故で各国(神戸新聞)
海水注入遅れたと米紙が指摘(msn産経ニュース)
このような事態になったのは何故だろうか考えてみました。
TMI(スリーマイル島)原発事故を知る必要があるため、TMI原発事故(吉田伸夫氏 科学と技術の諸相 )の「安全装置」の項をそっくり転載させていただく。
原子力発電所で起こり得る最も恐ろしい事故は、炉心部にある放射性の核分裂生成物が周辺に飛散することである(燃料棒が核爆発を起こすことはあり得ない)。原子炉容器そのものが破裂するという想定外のケースは別にして、こうした事態が発生する可能性があるのは、炉心部から1次冷却水が失われた場合である。もし冷却水の水位が低下して燃料棒が空気中に現れるようなことになると、自身が発生する熱によって燃料棒のジルコニウム製の被覆が溶けてしまい、最悪の場合は、崩れ落ちた核燃料が容器の底を突き破って環境中に放出されることがある。これが、いわゆるメルトダウンである。このとき、残っていた冷却水と高温の核燃料が接触すると、大量の水が一瞬のうちに蒸発するという水蒸気爆発が起き、原発周辺に多量の放射性物質がばらまかれる可能性が高い。ひとたび、このような事故が発生すると、数千人から数十万人が致死性のガンなどによって死亡すると予想される。
1次冷却水喪失によるメルトダウンを避けるには、とにもかくにも原子炉に確実に水を供給することが必要である。水の循環システムは、パイプのシール部分などから漏水が起きやすいので、万一に備えて、通常のシステムとは別に、炉心部に水を供給するバックアップ装置が必須となる。こうした装置は、ECCS(緊急炉心冷却装置)と呼ばれ、複数の系統が用意されている。TMI原発の場合は、3系統の高圧注入系(ポンプで高圧にした水を一気に炉心部に流し込む装置)が設置されており、1次冷却系の圧力が低下した場合には、コンピュータによって自動的に水が注入される仕様になっていた。
このほか、2次冷却系の冷却水が失われた場合も、1次系の除熱が行えずに危険な状態になるため、複数系統の補助給水系が装備されている。この装置も、2次系の水が失われたときには、コンピュータが自動的に起動してくれる。
このように、原子力発電所では、さまざまな事態に対応できるように多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。1974年に提出されたラスムッセンらによる原子力発電の安全性評価レポート(いわゆるラスムッセン報告)では、フォールトツリー分析の手法によって原発で重大事故が起きる確率を計算し、およそ10億年に1回と結論している。しかし、こうした「机上の計算」をあざ笑うかのように、1979年にアメリカ史上最悪の原発事故が発生する。それは、10億年に1回と計算された最悪事故の一歩手前のものであった。
注目すべきは、
「多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。」とうい点である。
福島原発においても、「多重安全設計を行っているので、きわめて安全性が高いと信じられていた。」のだろうと思う。
スリーマイル島原発事故から学ぶべきことは、「多重安全設計を行ってもそれが働かない事態が発生する」とういことではなかったのか? スリーマイル島原発事故の発端は、人間の一つのミスであり、今回は「想定外の津波」であったとういだけの違いである。
問題なのは、「津波を想定していなかった」ことにとどまらず、「多重安全設計が機能しなかった場合を全く想定していなかった」という事ではないだろうか。、「多重安全設計神話」とも言えるかもしれない。
スリーマイル島原発周辺のその後について、北海道新聞によると、
米スリーマイル島原発は今 事故から32年 癒えぬ傷 地元 放射能漏れを監視(北海道新聞)
こんな事態にならないこと事を願っています。
東京電力の地震・津波対策(東京電力のホームページ)
吉田伸夫氏
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