葉が茂った夏には鬱そうとしていた雑木林も、天気の良い冬の日には明るくて気持ちが良い。
萩の里自然公園を歩いていたら、雪の上に黒い粒が落ちていた。
手に取ってみると、キハダの実であることがわかった。
一粒ずつ落ちているのは初めて見た。良く見かけるのは下のように↓房のまま落ちている。
先日一時雨が降ったので雪の表面が凍り少し硬くなっている。一粒、一粒が見えるのは、雪の中に潜らずに雪面に留まるからかもしれない。
かじってみると、ミカンの皮かウドのような揮発性の香りがして、悪くは無い苦みがあった。
キハダ(黄肌)(別名シコロ)はミカン科の落葉広葉樹で、北海道、本州、四国、九州に自生しているという。樹皮がコルク質なので指で押すとコルクのようにへこむ。黄色い内皮をもつためキハダ(黄肌)と呼ばれる。この内皮を乾燥させたものは黄柏(おうばく)と呼ばれ、胃腸薬・整腸薬(正露丸など)の成分表に「オウバク末」とあるのはこれだそうである。
化粧品、染料、自然の虫除け にもなるらしい。←ここでのキハダの内皮の採取方法は、アイヌ民族の採取方法にも似ています。
樹皮を剥ぎ残すという言説をめぐって(札幌大学副学長 本田優子)
木材としての用途:家具や床柱などの内装材、お椀やお盆などの材料にも
傷ついた幹(時間が経っているのか、樹皮・コルク・層内皮がはっきりしない)黄色い内皮
キハダはアイヌ語でシケルペニ sikerpe-ni と呼ばれ、実は喘息薬・胃病・回虫駆除、しもやけに。
内皮は打身や腫物へ温湿布、喉の病気に乾燥粉末を塗布するなど薬用として用いた。
食用としては、果実をジャム、各種の煮物、甘い果実のものは生で食べるそうだ。
木部はイナウ[木幣]として使用したという。
キハダは雌雄が別の木(雌雄異株)
雌株のつぼみ(開花前) ウヨロ川河畔
実(8月) 飛生地区にて 一度食べてみたい。
実(12月)
冬芽と葉痕 有名なムンクの画、「叫び」に似ていると思いませんか。
冬芽(ふゆめ とうが)
冬の木々は寒さに耐えるために様々の工夫をしているようです。落葉樹は葉を落とし、エネルギーを花や葉となる冬芽とよばれる小さな芽に蓄えて、じっと春を待ちます。冬芽は早いものは夏頃から準備されていますが、11月末ごろから目立ち始めます。
葉痕(ようこん)
葉の落ちた痕。水分や無機養分を根から吸い上げる導管と、葉で光合成された有機養分を根などの貯蔵器官に運ぶ篩管の痕が枝に残ったものです。その斑点の数や並び方が木によって異なります。
木の種類によって花や葉が違うように、冬芽や葉痕もまた木の種類によって個性があり、それらを観察するのも冬の里山を歩く楽しみの一つです。