スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

女流名人位戦&第二部定理二五証明

2008-12-03 19:38:31 | 将棋
 女流名人位戦A級最終局。最注目の一番は,やはり清水市代女流王将と里見香奈倉敷藤花の対局でしょう。
 リーグ戦はあらかじめ先後が決まっていて,ここは里見倉敷藤花の先手。先手の中飛車に後手の居飛車と予想通りの戦型になりました。
           
 第1図は後手が△5五歩と戦線の拡大を企てたところ。先手は強く▲8七金と出て,△6六飛▲同歩△7七桂成▲同金△6八角▲6七金△5九角成▲同金と飛車と桂馬が総交換に。駒の損得はありませんが,僻地に行った金も戻ってきていますし,先手としても満足できそうな展開であるようには思えます。
 おそらく将棋のポイントとなったのは第2図からの進展ではないでしょうか。
           
 ここで先手は▲2五桂と跳ね,△4一香と受けさせて▲5七金。△4五歩に▲5九歩と打ち,△9七龍にはおそらく△5五金を受けて▲6七桂。当然の△4六歩に▲同金△6七龍。先手の指し方はかなり変調で,なかんずく打ったばかりの桂馬を早々に取られてはよいわけもなく,はっきり後手が優勢に。これ以下はほとんど一方的に後手が攻めきって勝ちました。
 これでこのふたりが7勝2敗に。千葉涼子女流三段も千日手指し直しの末に勝ち,7勝2敗。矢内理絵子女流名人への挑戦権は,プレーオフで決まることになりました。たぶん順位により,まず里見倉敷藤花と千葉三段が対局し,この勝者が挑戦権を賭けて清水女流王将と対戦するということだろうと思います。

 明日から竜王戦七番勝負第五局。羽生善治名人の竜王復位なるか,渡辺明竜王がもうひとつ凌げるか。

 第二部定理二五というのは,僕が考えるに,ふたつの方法で証明することができます。
 ひとつは純粋に,人間の身体がある外部の物体に刺激されるとき,人間の精神のうちに生じるその外部の物体の観念が,十全な観念であるのか混乱した観念であるのかを示す方法です。後述する理由により,『エチカ』においてはこれは本当は変化球の証明ではあるのですが,おそらくここまでの考察の過程からすれば,この方法で証明する方が容易に理解できるものと思われますので,まずこの方法で証明しておくことにします。
 ある外部の物体Aがあり,この外部の物体AがAの本性を含むような仕方で,ある人間Xの身体を刺激すると,Xの精神のうちにはAが現実的に存在するという観念が生じます。いい換えればXはAを知覚します。これは第二部定理一七でいわれていることですからここでは否定できません。ところで,第二部定理二五で各々の身体の刺激状態の観念,すなわち僕が各々の身体の変状というのは,まさにこのようにして人間の精神のうちに生じる観念の総体のことであると考えることができるでしょう。
 ところが,この身体の刺激状態の観念というのは,単にAの本性を含むだけではなくて,Xの身体の本性も含んでいるということがすでに明らかになっています。よってこのときにXの精神のうちに生じるAの観念は,単にAの本性だけではなくて,Xの身体の本性をも含んでいるわけです。よってこのAの観念はAそのものとは一致せず,Xの身体の状態も含んでいることになります。つまり第一部公理六により真の観念ではありません。したがって第二部定義四により,十全な観念でもなく,混乱した観念であるということになります。つまり,人間の身体の刺激状態の観念は,外部の物体の十全な認識を含んでいないということになります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする