スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

香港国際競走&自分

2008-12-16 19:20:16 | 海外競馬
 14日に香港で開催された国際競走。日本馬が出走した3レースを,日本の馬を中心に簡単に回顧します。
 レース順にまずは香港ヴァーズ。このレースは発走直後からこれがレースかと思うような超スローペース。ジャガーメイルは後方3番手の位置。直線は外から2頭目まで出して,すぐ内のDoctor Dinoと並ぶように追い込んできて,先に抜け出していたパープルムーンと3頭の接戦まで持ち込みましたが3着。重賞も勝っていない馬が海外GⅠで差のない3着ですから誉めてあげてもいいと思います。ただしパープルムーンはジャパンカップでは9着。相手に恵まれた面もあり,帰国すれば重賞くらいはすぐ勝てるかといえば微妙なところ。このカテゴリーは世界でも日本馬の層の厚さが抜群です。
 続いて香港スプリント。ローレルゲレイロは先行集団,トウショウカレッジは後方2番手と対照的な位置取り。ローレルゲレイロは外に出て,直線の入口では先頭に並び掛けましたがそこから伸びを欠き8着。トウショウカレッジも伸びたとはいえ9着で,ローレルゲレイロも捕えられませんでした。
 この路線は日本馬のレベルが低いということもありますが,ほかにも僕には分からない何らかの原因があって,日本馬が好走するのは難しいのではないかと思います。
 最後に香港マイル。スーパーホーネットは後ろから5頭目あたりを追走。道中はほとんど差を詰めることができず,直線は一番外から追い込んできましたが5着が精一杯。
 陣営はもっと前の位置からの競馬を目論んでいたようですが,馬が対応できませんでした。ただし,うまく流れに乗れていたとはしても,勝ったグッドババはえらく強い内容でしたので,勝つのは難しかったのではないかと思います。

 明日は川崎で全日本2歳優駿。メトロノース◎とスーニ○が有力。次いでナイキハイグレード▲とスズカワグナー△。もう1頭,ワンダフルクエスト△も。

 佐世保記念は決勝。並びは岡村ー海老根ー鈴木ー佐藤の南関東,吉田ー内藤の西日本に平沼,浜田ー小倉の四国。これは海老根選手がかなり有利に思えます。

 そして明日から竜王戦七番勝負第七局。渡辺明竜王と羽生善治名人,勝った方が竜王獲得です。

 人間の精神による外部の物体の想起に関連して,自分の身体ならびに精神が表象される場合には,この表象を知覚か想起か決定することは難しいと結論しましたが,想像の場合にも同様のことが生じますので,まずこのことを説明しておくことにします。もちろん本来の論理的手続きからすれば,先にいかにして人間が諸々の事物を想像するのかということを導き出して,その後でこれを説明するべきではありますが,このこと自体は論理的に訴えなくても,単に経験論的な説明だけでも十分であろうと思います。
 僕たちが事物を想像するという場合には,すでに説明しましたようにやや広い意味があるわけです。そこで同じように,ある人間が馬に乗るということを想像するという場合を考えてみましょう。もちろんこの人間が,馬に乗った経験がないというのは,その表象が想像といわれる場合の絶対条件です。
 このときに,もしもこの人間が,このように想像する自分自身の身体もしくは精神を表象するならば,これは知覚であるということになります。そしてこのようなことが生じ得るということは,経験的に明らかであるといえるでしょう。
 しかし一方で,もしもこの場合に,この人間が馬に乗っている自分自身の身体や精神を表象するなら,これは想像しているということになります。こういう一種の疑似体験も可能であるということは,やはり経験的に明らかであるといえるのではないでしょうか。もしも無意識というのを排除して,単に意識という面からいえば,こちらのケースの方が多いと僕たちは感じているのではないかと思います。
 よって,想像の場合にも,自分の身体および精神の場合には,それが知覚なのか想像なのかははっきりと結論付けられません。ただ,やはり自分の身体と精神を表象するということは間違いなく,またそれが混乱した観念であるということも,第二部定理二九系から明らかであるといわなければならないことになります。
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女流名人位戦&想像

2008-12-15 19:15:36 | 将棋
 女流名人位戦挑戦者決定戦。これは振駒で先手は清水市代女流王将。里見香奈倉敷藤花はごきげん中飛車。③AⅡで△6二玉。先後がこうなれば十分に予想された展開。先手が2筋,後手が5筋の歩を交換して持久戦になりました。
           
 第1図から先手は手待ちに出ることになりましたので,後手の作戦勝ちなのだろうと思います。後手が1筋を受けていれば先手はさらに困っていたかもしれません。
 ここから後手は飛車を9筋に転換。銀冠の銀を棒銀のように繰り出していきました。模様がよかったと思われるだけに,守備の銀を攻めに使うのは意表の展開。先手は玉を戦線から待避させて第2図。
           
 これを△9五同飛と取ると,▲8五歩~▲8六金のように受けるのでしょうか。展開によっては▲4一角のような手も生じるかもしれません。後手はこれを避けて△9八角と打ちました。ここからの展開は僕には驚きですが,結果,端を突破できずに銀冠の銀を捨ててしまったことになり,後手が著しい非勢になりました。こう進めざるを得ないのでは,そもそも仕掛け方が問題だったでしょう。
          
 ここはもう先手の勝勢に近いと思います。▲9四銀△8四玉▲9三銀打△同飛▲同銀不成△同玉▲7三金くらいでよいように思いますが,▲8六歩△同成香。それで前述の手順ならさらに得のように思えます。実戦の▲8二銀と捨ててから▲6八銀とまた受けに回るのは変調のようにも思えますが,差が開きすぎていました。この後,後手がそこらへんにあるものを何でもかんでも投げつけてくるようなすさまじい粘りに出たので手数はかかりましたが,先手が押し切っています。
 矢内理絵子女流名人への挑戦権は清水市代女流王将が獲得。3年前に3連敗で失冠したときのリベンジ戦になります。

 想起と想像との相違は,最も根本的な部分では確かにこの通りです。ただし,人間の精神mens humanaが事物を想像するということを説明する場合に,単にその人間の精神がまだ知覚したことがない事物を,現実的に存在すると観想するcontemplariことであるとだけいうならば,実際には想像というのはもっと広い意味を持つとも考えられますので,不十分かもしれません。
 たとえば,ある馬を知覚したことがある人間が,後に馬が現前しない状況でその馬が現実的に存在すると観想するならば,これは文句なしに想起memoriaであるといえます。しかし人間の精神が事物を表象するimaginari場合には,第二部定理一八で示されているように,多くの事物を同時に表象するというケースの方が圧倒的に多いです。そこで今,これと同じ人間の精神が,この馬に乗っている自分というのを表象したとします。そしてこの人間は,かつて馬には乗ったことがないと仮定します。経験論的に考えれば,これが無理のある仮定であるとはいえないと思います。
 このとき,もしも馬とか乗っている自分自身といったように,それらの表象像imaginesを単独で考えるなら,それは確かに想起であるといえるでしょう。しかしこの人間は馬に乗ったことがないと仮定されているわけですから,馬に乗っている自分自身の表象imaginatioというように,この表象像をその全体で考えるなら,これは想起というより明らかに想像です。実際に僕たちはこれを想像というでしょう。よって想像には,こうした表象をも含む必要があります。
 したがって,ここでは想像というのをできる限り広い意味で考えたいと思いますので,ある表象像が人間の精神のうちに生じるとき,表象されている各々の事物がそれ単独でみられるならば想起であったとしても,もしもその表象像の全体が,かつてその人間が体験ないしは経験したことがないような事象である限り,この表象に関しては僕はそれをすべて想像の範疇に含めるということにします。
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阪神ジュベナイルフィリーズ&想起と想像

2008-12-14 19:47:09 | 中央競馬
 阪神コースが改装されてから,ややそれまでとは違った傾向が出つつあるように僕には感じられるのが今日の阪神ジュベナイルフィリーズです。
 2歳戦にしては逃げていた馬が少なく,展開の予想は困難でしたが,シゲルキリガミネの先導になりました。ただ,ショウナンカッサイ,ルシュクル,コウエイハートなど,先団は一団。前半の800メートルは47秒3のミドルペース。
 1番人気のブエナビスタは後方からのレースとなりましたが,3コーナー過ぎから外を回って追い上げると,直線の入口ではほぼ前を射程圏内に。その後もあまり強くは追われなかったのですが,残り200メートル辺りでは早くも先頭に立つと,あとは突き放すだけ。ゴール前は抑えるほどの余裕で楽勝しました。勝ち馬より前でレースをして,一旦は先頭に立つシーンのあったダノンベルベールが2着,勝ち馬のさらに後ろから大外を追い込んだミクロコスモスが3着。
 優勝したブエナビスタは新馬3着の後,未勝利を楽勝して今日が3戦目。賞金的に出走は確実ではなかったのですが,今日のレース振りを見ると最大の勝因は抽選で出走権を得たことだとさえいえそうです。タイムはここ2年よりかなり遅くなりましたが,逆にいえばそれだけ楽に勝てたということで,疲労などの面ではかえってよかったかもしれません。無事にいけば今後も多くの大レースを勝てそうです。父はスペシャルウィーク。馬名はスペイン語で素晴らしい眺め。
 鞍上の安藤勝己騎手で昨年のマイルチャンピオンシップ以来,管理する松田博資調教師は昨年のジャパンカップ以来の大レース優勝。このレースは共に初制覇です。

 明日は女流名人位戦挑戦者決定戦。対戦成績は清水市代女流王将が5勝,里見香奈倉敷藤花が2勝です。

 それでは人間の精神による諸々の事物の想像についていよいよ本格的に考えていきますが,まずは表象の種類としての想像ということを,僕がどのように分類しているのかということを,その他の表象との関係から明らかにしておくことにします。
 知覚と想起とを僕が分類するとき,両者の最大の相違点は何であったかといえば,同じようにある人間の精神がAを現実的に観想するのでも,Aがこの人間に対して実際に現前しているのかどうかという点であるといえます。いうまでもなく,現前している場合が知覚で,現前していない場合が想起です。そしてこの分類でいうなら,想像は知覚よりも想起に類似しているということになります。すなわち想像も,想像をするある人間に対して,Aが現前していない場合に,この人間がAを現実的に存在すると観想するような表象であるということになるでしょう。
 では想起と想像とではどう違うのか。それは一言で示すなら,想起というのがかつてその本性を含むような仕方で刺激されたAに関する表象,いい換えれば,かつて知覚したことがあるAについての表象であるとしたら,想像というのは,まだその本性を含む仕方で刺激されたことがないAに関する表象,つまりまだ知覚したことがないAを表象することであるといえるでしょう。一般的に何を想起といい,また何を想像するというかという観点からしても,このように想起と想像とを分節することは,少なくともそれに原則的には適合しているといえるのではないかと思います。
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クイーン賞&想起の場合

2008-12-13 19:18:31 | 地方競馬
 いまや競馬界のアイドルともいえる白毛のユキチャンが出走してくるという点でも注目を集めていた10日のクイーン賞
 逃げたいと思われた馬は2頭ですが,このうちシスターエレキングが行く気を見せなかったのでザッハーマインの逃げ。ユキチャン,ヤマトマリオンと,人気の2頭がこれを追いました。最初の800メートルは48秒1。ミドルペースです。
 ザッハーマインは直線の入口までは頑張りましたが,そこでユキチャンが交わして先頭に立つと,マークしていたヤマトマリオンと一騎打ちに。ゴールまで2頭の競り合いが続きましたが,頭だけ出たヤマトマリオンの優勝。ユキチャンが2着で,好位から差してきたアイスドールが3着と,順当な結果に終っています。
 優勝したヤマトマリオンは5月の東海ステークス以来の勝利で,芝も含めて重賞3勝目。ここのところは牡馬相手に好走を続けていましたから,能力だけでいえば当然の勝利。ここは距離短縮とトップハンデが課題でしたが,クリアしました。ユキチャンをマークできる位置からレースを進められたのもよかったのだろうと思います。おそらく距離はもっと長い方がよいと思いますので,エンプレス杯はさらにいいのではないでしょうか。
 鞍上は幸英明騎手,管理するのは安達昭夫調教師。共にクイーン賞初制覇です。

 明日は阪神ジュベナイルフィリーズ。素質が高そうな馬が多いです。とくにブエナビスタ◎,ジェルミナル○,ミクロコスモス▲の3頭に期待。ダノンベルベール△,アディアフォーン△,デグラーティア△と,あげていけばきりがありません。

 香港では国際レース。今のところ16日に日本馬が出走するレースを回顧するつもりでいます。

 競輪は明日から佐世保記念が開催されます。来年のSSに入るかどうかぎりぎりの荒井選手に注目します。

 僕が示した分類に厳密に考えれば,これまでに示されたことは,表象の種類のうちでは人間の精神による諸々の事物の知覚が混乱した観念であるということであって,事物の想起に関してはそうではないということもできるかもしれません。なので,人間の精神による事物の想起もまた混乱した観念であるということもここで示しておくことにします。
 ただしスピノザはこのことをそれ自体では示していません。もっとも,表象をこのように分類するのは僕がしていることであり,スピノザがやっているわけではありませんから,スピノザにとってはそのことは不要なことであったわけで,これはむしろ当然のことといえるでしょう。
 そもそも,僕が知覚と想起とを分けたときの方法が,想起は混乱した観念であるということを示しているということができます。なぜなら,想起というのは,現実的には現前していないある物体ないしは自分の精神について,それが現前していると観想するような観念なのですから,これが十全な観念ではないということは,それ自体で明らかであるといえるからです。
 しかし『エチカ』に訴えるということであれば,これは第二部定理二九系でいいのだろうと思います。というのは,たとえば第二部定理一七系で人間が外部の物体を想起するとき,人間の身体の内部の運動の様式は第二部定理一七の様式と同一です。そして第二部定理二五で,この様式の外部の物体の表象像が混乱した観念であると証明されます。同様の手続きが自分の身体および自分の精神に関しても成立し,第二部定理二九系は,それらの帰結です。したがって第二部定理二九系の中には,単に人間の精神による事物の知覚が混乱した観念であるということだけでなく,一般に人間の精神による事物の表象は混乱した観念であるということが含まれていると考えてよいと思われるからです。
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香港国際レース展望&第二部定理二九系

2008-12-12 19:08:13 | 海外競馬
 この時期恒例の香港での国際レース。今年も日本から3レースに4頭が出走の予定です。
 最も勝機があるかと思えるのは香港マイルに出走するスーパーホーネット。大レースは勝っていませんが,マイルチャンピオンシップでは昨年,今年と2着。今年はその前の毎日王冠で,後の天皇賞を勝つウオッカを差しきって優勝していますので,力は国際級のものがあると思いますし,調子もよさそうです。ここはおそらく地元の2頭,今年の安田記念で2着したアルマダとグッドババが強敵になるでしょう。この馬については所属する矢作厩舎のブログで,かなり詳しく伝えられています。
 香港スプリントにはローレルゲレイロとトウショウカレッジの2頭が挑みます。ただ,スプリント路線は日本はレベルがやや低く,その中でもこの2頭はトップクラスとまではいえません。さらに過去にこのレースに出走した日本の馬は,ことごとく惨敗していて,どうも日本の馬とは相性が悪そうなレース。どうも苦戦は免れないような気がします。
 香港ヴァーズにはジャガーメイル。この馬は大レースはおろか重賞も勝っていない完全な格下。強調すべき点があるとすれば,前々走の準オープンでスクリーンヒーローを降し,前走のアルゼンチン共和国杯でもそのスクリーンヒーローの2着になっている点。スクリーンヒーローはその後,ジャパンカップを勝ちましたので,この馬も大物相手に善戦するということは考えられるでしょう。
 4頭はもちろんすでに現地入りし,調整が続けられています。またこのレースはNIKKEIで実況中継されますが,舩山アナウンサーがすでに香港入り。舩山アナが現地から実況すると,日本馬は好成績を収める傾向があります。

 ここまで考察してきた事柄をすべてまとめているのが,第二部定理二九系であるといえるでしょう。
 「この帰結として,人間精神は物を自然の共通の秩序に従って知覚する場合は,常に自分自身についても自分の身体についても外部の物体についても妥当な認識を有せず単に混乱し・毀損した認識のみを有する,ということになる」。
 自然の共通の秩序に従って知覚するというのは,表象するということ,すなわち,人間の身体が外部の物体の本性を含む仕方で刺激されることによって,事物を認識するということを意味することはいうまでもありません。これは,たとえば第二部定理四〇のような,人間の精神が知性の秩序に従って事物を認識するあり方との対比でいわれています。
 それから,スピノザが自分の精神に関してこれを自分自身といっているのは,第二部定理二三とここでも同じです。そして妥当な認識を有せずというのは,それらの事物を十全には認識しない,すなわち十全な観念を有することができないということですし,混乱し・毀損した認識というのは混乱した観念のことだと理解できます。
 実際のところ,この系は,この帰結として,と,第二部定理二九に付せられていますが,実際には単に第二部定理二九の帰結ではなく,第二部定理二五や第二部定理二七からの帰結でもあるので,これらの帰結,という方がもっと正しいようには思いますし,実際にスピノザもそのような仕方でこの系を証明しています。そういう意味では系ではなく,ひとつの独立した定理であってもよかったかもしれません。
 なお,この定理の証明は,まさにこの系を帰結させる諸々の定理の証明を繰り返すだけになりますので,ここでは省略することにします。
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竜王戦&第二部定理二九

2008-12-11 20:51:36 | 将棋
 竜王戦七番勝負第六局。
 羽生善治名人の封じ手は▲3六歩でしたが,どうもこの局面ではすでに後手の渡辺明竜王の方が指しやすくなっていたようです。この後,△7七飛成をどのように取るかの選択はあっても,△2七銀までは一直線。そこで▲2二歩と打ちました。封じ手が▲3六歩であった以上,攻め合いにいくのは当然です。後手はこの時点では後の▲2五飛を見落としていたようですが,時間があったことも幸い,うまく凌ぐ順を発見し,優位に立ちました。たぶんこの将棋における後手の最大の危機はこの部分で,あとは何ということもなく一方的に後手が押し切っています。ちょっと拍子抜けするような将棋でした。
 というわけで個人的な希望通りに第七局まで見られることになりました。実は将棋の七番勝負では,3連敗後の4連勝は過去に例がなく,3連敗後の3連勝もこれが2度目。それを2度とも羽生名人がやられているというのも面白いところ。注目の第七局は17日と18日です。

 人間の精神による自分の身体の知覚というのが混乱した観念であるということは理解できましたので,最後に人間の精神による自分の精神の知覚,すなわち第二部定理二三による知覚が混乱した観念であるということを示すことにします。これは第二部定理二九です。なお,先にいっておきますが,ここで変状といわれているのは刺激状態のことです。
 「人間身体のおのおのの変状の観念の観念は人間精神の妥当な認識を含んでいない」。
 この定理はすでに第二部定理二七が証明されていますので,証明する分には簡単です。すなわち,第二部定理二七により,人間の身体の刺激状態の観念が,自分の身体の十全な観念ではないということが明らかです。よってこの観念は自分の身体の本性とは完全には一致しません。ところが,第二部定理一三により,ある人間の身体とある人間の精神は同一個体ですから,この観念自分の精神の本性とも一致しないでしょう。第二部定理七からして,同一個体の本性は,属性の相違以外においては一致していなければならないからです。よって第一部公理六により,この人間身体の刺激状態の観念の観念は自分の精神の本性に完全には一致しない,つまり十全には認識されていないということが帰結します。
 第二部定理二三は,人間は自分の身体の刺激状態の観念の観念を有する限りにおいてのみ,自分自身の精神を認識するということを含んでいました。この第二部定理二九は,そうして認識する自分の精神の観念が十全な観念ではなく混乱した観念であることを示しています。よって,一般に,人間は自分の精神を十全に認識することはできないということが,この定理のうちに含まれていると考えていいと思います。
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女流名人位戦&第二部定理二七証明

2008-12-10 20:40:50 | 将棋
 女流名人位戦A級プレーオフ1回戦。プレーオフなので振駒。先手は千葉涼子女流三段となり,里見香奈倉敷藤花ごきげん中飛車。③AⅡ△6二玉でした。第1図に。
           
 ここで先手が▲3三同角成と交換し,馬を作りました。先手の馬と後手の持ち角の対抗。第2図へ。
           
 ここで▲4五桂と跳ねていき本格的な中盤戦に。ただ持ち歩の数の差があり,先手はこの時点ですでにやや失敗だったかもしれません。3八に金が上がっているのもあまりよくなく,実戦はこの金が遊び駒で終ってしまいました。この戦いは第3図に。
           
 ここから△6五銀打▲6九飛△6六銀▲同飛△6五金▲同飛△同銀。しかしこれでは先手がいかにも苦しそう。さらに▲6四桂に△5五角と打ったのが攻防の決め手でした。
           
 第4図以下は先手に粘る余裕を与えず,後手が勝っています。
 というわけでプレーオフ決勝,挑戦者決定戦には里見倉敷藤花が進出。清水市代女流王将との一戦は15日に指されます。
 
 竜王戦は羽生善治名人の先手で渡辺明竜王急戦矢倉に。封じ手局面は難しいですが,消費時間に差がありすぎるような気はします。

 第二部定理二七もまた,証明しようとするならばふたつの仕方で証明することができます。そしてこのことをそれ自体で,すなわち,人間の身体がある外部の物体の本性を含む仕方で刺激されるときの刺激状態の観念が,自分の身体の観念に関して十全な観念であるか混乱した観念であるかという点から考えれば,これが混乱した観念であるということは,第二部定理二五を証明したのとまったく同じ方法で示すことができるといえるでしょう。すなわち,この観念は自分の身体の本性と同時に,自分の身体を刺激する外部の物体の本性をも含む観念ですから,まさにその物体から刺激を受けるという限りにおいてのみ,自分の身体に関して十全であるとしかいいようがなく,それ以外の意味では自分の身体の十全な観念とはいえないからです。
 しかし本筋の証明はやはり神のうちにある観念と関連させる方法です。すなわち,ある人間Xの身体が外部の物体Aによって刺激を受けるとき,確かに神のうちにはXの観念があるとはいえるでしょう。しかしこの観念は,XがAに刺激される限りでのみ神のうちにあるということができます。そこでもしも現実的に存在する人間の身体が,現実的に存在する限り常にAによって刺激され,かつA以外の一切のものには刺激されないとしたら,神のうちにある現実的に存在するXの観念は,常にこの様式であるでしょうから,これはXの十全な観念です。しかし第二部自然学②要請六からして,これを主張することは不条理ですし,これは単に経験的に考えてもそうでしょう。したがって神のうちにあるこのXの観念は,XがAに刺激される限りでのみ神のうちにあり,Xが別の物体たとえばBに刺激される限りでは神のうちにはありません。いい換えればXの観念は,これ以外の仕方でも神のうちにあることになります。よってこの観念は,単にXに関係付けられる限りでは,十全な観念であるということはできないということになります。
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全日本選抜&第二部定理二七

2008-12-09 20:18:30 | 競輪
 年内最後のGⅠとなる全日本選抜競輪。今年は西武園競輪場を舞台に,今日,雨の中で決勝が争われました。
 前受けは石丸選手,3番手に海老根選手,5番手に荒井選手,7番手から山崎選手という周回。
 残り2周のホームで荒井選手から上昇開始,この動きに山崎選手も乗っていきました。バックで荒井選手が石丸選手を叩くと,打鐘から山崎選手が外をかましていきましたが,兵藤選手が離れて3番手に荒井選手。後方になった海老根選手はホームから巻き返していき,バックにかけて山崎選手と先行争いの形に。このつばぜり合いを外から石丸選手が豪快に捲り,続いた三宅選手と直線勝負。差しきった三宅選手が優勝。石丸選手が2着で岡山ワンツー。3着は海老根選手。
 優勝した岡山の三宅伸選手は39歳のベテラン選手。小橋選手が岡山にいた頃から長くトップクラスで活躍しています。主武器は捲り。ただ中国は選手層がやや薄いため,これまでビッグには恵まれなかったのですが,ここにきて初制覇となりました。今日のように番手を回って直線に入れば,まだ自力も打てる選手ですのでチャンスは大きく,今日はそれをものにしました。
 レース全般的には,山崎選手のかかりが少し悪かった印象。その上に兵藤選手も離れてしまったので,海老根選手と激しい争いになり,岡山勢には展開も味方したという印象です。

 明日は女流名人位戦A級プレーオフの1回戦です。対戦成績は里見香奈倉敷藤花が1勝,千葉涼子女流三段が2勝です。

 また,明日から竜王戦七番勝負第六局。羽生善治名人3連勝の後,渡辺明竜王が連勝。どうせなら第七局までいってほしいと個人的には思いますが,ここは本当の勝負将棋という感じです。

 船橋ではクイーン賞があります。ヤマトマリオン◎,ユキチャン○,アイスドール▲が上位で,ラピッドオレンジ△,パフィオペディラム△が続くといったところでしょうか。

 人間の精神が外部の物体を知覚するとき,この表象像が混乱した観念であるということは,第二部定理二五により確認することができました。そこで今度は第二部定理一九で示されている知覚,すなわち人間の精神による自分の身体の知覚の表象像が混乱した観念であるということをみてみることにします。これは第二部定理二七に示されています。
 「人間身体のおのおのの変状〔刺激状態〕の観念は人間身体そのものの妥当な認識を含んでいない」。
 この定理は一般的に言及されているので分かりにくいかもしれませんが,要するにこれは,ある人間Aの身体が外部の物体XにXの本性を含む仕方で刺激されるとき,この刺激状態の観念はAの身体の妥当な認識を含んでいない,つまり十全な観念ではなく混乱した観念であるという意味です。ところで第二部定理一九は,人間の精神はこの刺激状態の観念のみによって自分の身体を認識するということも含んでいましたから,要するにこの定理は,人間の精神は自分の身体の十全な観念を有するということがない,あるいは人間の精神のうちにある自分の身体の観念は,すべて混乱した観念であるという意味ももたらすことになります。
 個人的にいいますと,僕は『エチカ』を読んで,いくつかの定理には大きな衝撃や驚きを感じることがありました。これまでに考察した定理ですと第一部定理三二とか第三部定理二などはそうしたもののひとつですが,この第二部定理二七は,もしかしたら僕が最も驚いた定理であったといえるかもしれません。スピノザは人間は身体については何も知らないということをよくいいますが,この定理などはそのことのひとつの好例であるといえると思いますし,それがまた僕の驚きの理由でもありました。。
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王将戦&第二部定理二六の意味

2008-12-08 20:42:20 | 将棋
 王将戦挑戦者決定リーグ最終局一斉対局。勝った方が最低でもプレーオフに進出できる深浦康市王位と丸山忠久九段の一戦。これまでは深浦王位が11勝,丸山九段が7勝でした。
 リーグ戦で先後は決まっていて,深浦王位の先手。丸山九段の一手損角換りを予想していましたが,4手目△7四歩からの袖飛車という意表の戦型に。第1図からいきなり△9五歩と仕掛けました。
           
 先手は角を投入して受け,角を手放した代わりに二歩得という分かれに。そこから第二次の駒組に突入しましたが,それなら歩得の方が大きく思えますので,先手がうまく受け止めたといえるのではないかと思います。
 第二弾の戦いも後手から。いよいよ角を投入して,一時的に角銀交換の駒得に。第2図で▲3四飛と▲2一飛成を同時に受けるために△1二角。
           
 長引かせて粘るというのは駒得のときのひとつの指し方ですが,この場合はさすがに辛そう。ここはもう観戦していましたが,持ち時間も先手の方が1時間ほど多く残していて,実戦的にも後手は相当に勝ちにくそうです。
 ここからは後手の攻撃をうまくかわしつつ先手も反撃。最後は一気に決めにいって第3図で後手の投了となりました。
           
 ここは△3一金では▲2三飛成がひどく,合駒しかないですが,▲4二香と打たれ,逃げると詰みなので取って,結局は▲2三飛成が実現しますので,投了も仕方がないでしょう。
 佐藤康光棋王が郷田真隆九段に敗れましたので,深浦康市王位が羽生善治王将に挑戦することになりました。王位戦同様,競り合った展開になることを期待します。第一局は来年1月17日と18日です。

 明日は全日本選抜競輪の決勝です。並びは山崎ー佐藤の北日本に兵藤,海老根ー渡辺の南関東,石丸ー三宅の岡山で,荒井に加藤。一応は北日本かと思いますが。

 それではこれまでのことを前提に,第二部定理二六の意味というのを,ここではどのように考えればよいのかということを決定します。
 まず第一に,この定理は,人間の精神のうちにある個物の十全な観念は生じないというように理解するわけにはいきません。したがって,人間の精神がある外部の物体を認識するあり方が,自分の身体の刺激状態の観念に依拠するあり方だけである,というように考えるわけにはいかないということになります。よって,このあり方によって人間が認識するのは,あくまでも個物が現実的にあるということ,つまり自分自身の現前にある物体が現実的に存在すると観想するというときの,この観想状態であると理解することにします。
 次に,このように個物が現実的に存在するということ自体は,その現実的に存在する個物の本性を,仮に含んでいるとしても,本性そのものと考えるわけにはいきません。しかし一方で,僕は個物Aがある持続のうちに存在するということは,個物Aの本性そのものでなければならないと考えていますので,現実的に存在している個物が現実的に存在しているということと,それが一定の持続のうちに存在することとは,別のことであると考える必要があるでしょう。
 最後に,僕はそのような個物の本性は,この個物がある知性のうちに客観的に把握される限りにおいてのみあるのではなく,まさに現実的に存在している個物が形相的に存在する中にもあるのだというように考えるということになります。
 なお第二部定理二六は,この問題以外では現状の考察に関連しませんので,証明についてはこれを割愛し,考察を先に進めるということにします。
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ジャパンカップダート&本性と観念

2008-12-07 19:04:44 | 中央競馬
 今年から阪神競馬場の1800メートルに条件変更となった第9回ジャパンカップダート。マストトラックが出走取消。
 発走後の直線で先団がごった返し,なかなか隊列が決まりませんでしたが,最終的にはサクセスブロッケンの逃げになりました。ティンカップチャリス,フリオーソ,メイショウバトラー,アドマイヤフジ,カネヒキリ,カジノドライヴまでが先行集団を形成。最初の800メートルは48秒4。コーナーの関係もあってやや変則的になりましたがミドルペース。
 ヴァーミリアンは普段より後ろ目から。向正面からは徐々に進出,外を回りながら直線入口では前を射程圏内に。これをマークするように上がってきたのがメイショウトウコンで,叩き合いではヴァーミリアンを交わしたのですが,先にインから抜け出していたカネヒキリがこの2頭を抑えて優勝。メイショウトウコンが2着でヴァーミリアンが3着。4着以下は少し離れました。
 優勝したカネヒキリは2006年のフェブラリーステークス以来の勝利で大レース5勝目。このレースも2005年に制していて2勝目。2006年の帝王賞で2着になった後,脚に故障を発症。今年の11月に2年以上の休養を経てようやく出走にこぎつけ,そこは敗れたものの1度使われて見事に復活を果しました。馬も関係者も称えられるべき勝利と思います。父はフジキセキ。名前はハワイのことばで雷の精。
 鞍上はフランスのクリストフ・ルメール騎手で,エリザベス女王杯に続き今秋2度目の大レース制覇。ジャパンカップダートは初優勝。管理するのは角居勝彦調教師で,こちらも天皇賞に続く大レース優勝。このレースはこの馬で2勝目となっています。

 明日は王将戦挑戦者決定リーグ最終局。挑戦の可能性があるのは3人。そのうち深浦康市王位と丸山忠久九段が直接対決しますので,ここではその将棋を取り上げます。

 第二部定理二六が生じさせるように思われる齟齬と関係するもうひとつの問題は,僕個人としてはさらに重大と思える問題で,これは『エチカ』でいえば第五部定理二二とか次の二三などに関係してきます。
 問題そのものの中心がどのような点にあると僕が考えているのかといえば,事物の本性というものと,事物の観念,なかんずく事物の十全な観念というものは,異なったものであると考えるべきなのか,それとも同一のものであると考えるべきなのかということです。あるいは別のいい方としては,事物の本性というものは,観念として客観的にあるとしか考えられないようなものであるのか,それとも観念を離れた形相的なものとしてあると考えることもできるのかということです。
 僕は,事物の本性というものは,形相的にもあることができるものではないかと考えています。しかし,『エチカ』第五部というのを全体的に考えれば,この理解というのはやや妥当性を欠くかもしれません。実際,僕は,第五部定理二三などについては,スピノザが出している結論とは別の結論も出すことができるのではないかと思っています。これについてもここではこれ以上は言及しませんが,僕がそう考える根拠だけ同様に示しておくとすれば,これは第二部定理八,そしてその系になります。
 いずれにしても,このふたつの問題に関しては,スピノザの哲学を専門的に研究している人たちの間でも,判断が分かれるところではないだろうかと思います。そこで,僕の結論は僕の結論として,第二部定理二六に関しては,それをどのように考えれば僕のこのような理解と矛盾を起こさずに考えることができるのかということを示すことにします。
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プロポンチス&第二部定理二六

2008-12-06 20:16:00 | 血統
 埼玉栄冠賞を勝ったクレイアートビュンの父がトーホウエンペラーなのですが,この馬の母系は,フロリースカップアストニシメント,フラストレートなどの一族と同じように,明治時代に日本に輸入され,長く日本で育まれてきたものです。
           
 1897年,イギリス産まれのプロポンチスが日本での母系祖先。この時代から残る多くの母系と同じように,小岩井農場の輸入。ファミリーナンバー4-dで,スカーレットインクタイキシャトルと同じです。
 プロポンチスの直仔からみますと主に3系統が残っていて,その中で最大のものはおそらく第二プロポンチスパシフィックという馬を経由するもので,このうちハマイサミの分枝からは,少し古くなるのかもしれませんが1993年のジャパンカップを勝ったレガシーワールド,もう少し最近では重賞で2勝,2002年のクラシックで5着,4着,3着と好走したメガスターダムなどが出ています。
 トーホウエンペラーは第二プロポンチスの子孫ですが,パシフィックは経由していません。分枝の基点となっているのはスズブエないしはその仔のイーデンブルースで,レインボー○○という馬を中心に繁栄しました。トーホーエンペラーの母もレインボーブルーですし,このレインボーブルーの兄には1989年の弥生賞を勝ち,菊花賞でも2着になったレインボーアンバーがいます。

 明日はジャパンカップダートです。サクセスブロッケン◎,ヴァーミリアン○,カジノドライヴ▲。ほかにも勝つチャンスがあると思える馬もいますが,この3頭で。

 『エチカ』の第二部定理二六というのは次のようになっています。
 「人間精神は自己の身体の変状〔刺激状態〕の観念によってのみ外部の物体を現実に存在するものとして知覚する」。
 これでみますと,僕が注意点として指摘していることと,齟齬を来しているかのようにも考えられると思いますので,この点について弁明しておくことにします。
 僕が考えるに,この齟齬について十分に考えるためには,ふたつの問題,それもテーマとして設定して考えるべきであるようなふたつの大きな問題を解決する必要があります。しかしこれは現在の考察とは直接的に関係するというわけではありませんから,僕が考えるふたつの問題と,それを現在の時点ではどのように理解しておくべきなのか,あるいは僕自身がどのように考えているのかということだけ,明らかにしておくことにします。
 最初のものは,個物の本性に,個物が持続するものであるということ自体が含まれるのかどうか,あるいはもっと正確にいいますと,ある個物Aが現実的に存在するというとき,このAの本性のうちには,それがいつからいつまでということは別ですが,Aがある一定の持続のうちに存在するものであるということが含まれるのかどうかということです。
 僕はこれについては,そうした事柄がAの本性のうちには含まれるのではないかと考えていますし,スピノザもそのように考えているのではないかと思っています。僕がそのように考える根拠は,第二部定理四四系二のスピノザの証明の仕方にあるのですが,このことには反論の余地もありそうだとは思っています。ただ,僕はそのように考えていますので,第二部定理二六を考える際にも,そうした観点に立つことになります。
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竜王戦&注意点

2008-12-05 19:29:10 | 将棋
 竜王戦七番勝負第五局。第1図が封じ手の局面。
                  
 候補として▲1五歩,▲6四歩,▲7四歩が上げられていました。このうち,▲6四歩が封じ手としては最も無難な感じがしますが,渡辺明竜王はきっと別の手を封じるのではないかと思っていたら果たして▲1五歩。6八の角の睨みも生かして一気に端から襲い掛かり第2図に。
            
 純粋な駒割りだけでいえば先手の駒損ですが,2枚のと金が大きく先手がかなりやれそうな局面。ここで▲8六角として,今度は角をこちらから使いにいったのが好着想だったのではないかと思います。以下,先手も決めにいって第3図に。
           
 羽生善治名人が△2四角と打ったところ。ここは観戦していましたが,思いのほか難しくて驚きました。▲4六銀は△4一飛と引かれ,▲1三銀が打てません。▲3五銀だと△同金▲同歩△同角▲6八銀のとき,先手玉が相当危ない。しかし▲3五歩が好手で,先手の勝ちが決定的になりました。実戦の△同角に▲4六銀と打てば,△4一飛なら▲3五銀と取れますし,△同角▲同歩△4一飛でも▲1一角と打てます。というわけで▲4六銀には△4七馬でしたがこれは形作り。即詰みに討ち取って先手が勝っています。
 羽生名人3連勝の後,渡辺竜王が連勝。この将棋はいい内容で,もっと早く出ていればというのはありますが,もうそんなことをいっても仕方がない。シリーズも形になり,第六局は10日と11日に指されます。

 明日から西武園競輪場で全日本選抜競輪が開催されます。ここで今年のグランプリ出場選手がすべて決定することになります。

 この本筋の証明には,ひとつ注意しておかなければならないことがあります。それは,ここでスピノザがいっていることは,ある人間の身体の刺激状態の観念,すなわちこのブログでいうところのある人間の身体の変状を有する限りで神のうちには何らかの物体の観念はないということなのであって,これは,ある人間の身体の観念を有する限りで,いい換えればある人間の精神の本性を構成する限りで,神のうちにはある物体の観念はないということではないということです。
 第二部定理一一系からして,もしも人間の身体の観念を有する限りで神のうちにはある物体の観念がないというならば,これは人間の精神のうちには物体の観念はないという意味になります。しかし,僕はスピノザは,人間の精神がある物体ないしは個物の十全な観念を有することは可能であると考えていると思います。ただこのことは,主に『エチカ』の第五部に関連していて,僕は第五部の主要定理のひとつといえる第五部定理一五に若干の疑問をもっていますので,詳しくはいいません。それでも,第二部定理二五が,一般に人間精神のうちには物体の十全な観念はないということを示しているわけではないということは,間違いないところだろうと思います。
 厳密にいいますと,第二部定理二五というのは,現実的に存在するといわれるような,具体的な物体について言及されています。それは僕もよく承知していますが,ここでは説明の便宜性ないしは分かりやすさの方を重視し,あえて一般的な仕方でこれを説明してみました。僕がいっているのは,たとえば物体Aがあるとき,Aの十全な観念が人間の精神のうちにあることができないということを,この定理は意味していないであろうということです。
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師弟タッグ&本筋の証明

2008-12-04 21:59:17 | NOAH
 NOAHは28日にシリーズ中盤の新潟大会があり,先ツアーの最終戦でGHCタッグの初防衛戦を行ったばかりのスミス・斎藤組に,森嶋・田上組が挑戦するタイトル戦が行われました。新潟といえば5月に現王者組が新王者となった思い出の地です。
 森嶋選手のパートナーは長くヨネ選手が務めていて,この挑戦者チームは少し唐突にも感じますが,もともとは森嶋選手は田上選手の付け人で,いわば師弟タッグ。森嶋選手の指名でタッグ結成となったようですが,田上選手はNOAHではこれといったパートナーがいない状態であったため,全日本プロレス時代には世界タッグ王者になっているものの,GHCタッグの戴冠はなく,大きなチャンス,あるいは年齢的には最後のチャンスだったかもしれません。
 森嶋選手は相手ふたりをなぎ倒すだけの力があり,試合序盤は挑戦者組のペースでした。ただ,挑戦者組には目立つような連係がないのに対し,王者組はうまく相手を分断して戦い,このあたりがやはり結果に大きく響きました。最後はスミス選手が豪快なライガーボムを決めて森嶋選手をフォール。スミス選手も胸を押さえるようなシーンもあまりなく,傷もだいぶ癒えてきているようです。
 2度目の防衛に成功した斎藤選手は7日の日本武道館大会でいよいよ佐々木健介選手に挑戦。一方,ここは敗れた森嶋選手は同日,その次の挑戦権を賭けて秋山選手と対戦することになっています。

 竜王戦渡辺明竜王の先手で相矢倉。羽生善治名人が最新の対策。先手が左側から攻めるという展開になっています。

 第二部定理七系から分かるように,神のうちにある観念というのはすべて十全な観念です。よってたとえばある観念Aがあるという場合に,それが十全な観念であるのか混乱した観念であるのかを探求する場合には,その観念を神の観念と関連させて考える,いい換えれば,観念Aはいかなる仕方で,あるいはいかなる秩序と連結のもとに神のうちにあるのかを考えるというのが『エチカ』における本筋の考え方であるということになります。よって第二部定理二五の本筋の証明というものがあるとしたら,それはそうした方法であって,スピノザもこちらの証明方法の方を用いています。そこでこの本筋の証明も外すわけにはいきませんので,ここでしておくことにします。
 まずここでは,人間の身体を刺激するある外部の物体Aの観念が問題となっています。そこでAはどのような原因と結果の連結と秩序のもとに神のうちにあるのかということになりますが,第二部定義一が示すように,物体というのは神の延長の属性の個物ですから,神のうちにある個物の観念が発生するような連結と秩序,すなわち,第二部定理九に示されているような連結と秩序のもとに神のうちにあるということになります。
 したがって,この場合はAの観念はAとは別の個物B,さらに第二部定理六にも注意するならば,Aという物体とは別の物体であるBの観念を原因として神のうちにあるということになります。つまり神はBの観念を有する限りでAの観念を有するでしょう。つまり,Aという物体がある人間Xを刺激する,この刺激状態の観念を有する限りでは,Aの観念が神のうちにあるということはできません。よって人間Xが物体Aによって刺激されるとき,この刺激状態の観念のうちには,Aの十全な観念はなく,このAの観念は混乱した観念であるということいなります。
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女流名人位戦&第二部定理二五証明

2008-12-03 19:38:31 | 将棋
 女流名人位戦A級最終局。最注目の一番は,やはり清水市代女流王将と里見香奈倉敷藤花の対局でしょう。
 リーグ戦はあらかじめ先後が決まっていて,ここは里見倉敷藤花の先手。先手の中飛車に後手の居飛車と予想通りの戦型になりました。
           
 第1図は後手が△5五歩と戦線の拡大を企てたところ。先手は強く▲8七金と出て,△6六飛▲同歩△7七桂成▲同金△6八角▲6七金△5九角成▲同金と飛車と桂馬が総交換に。駒の損得はありませんが,僻地に行った金も戻ってきていますし,先手としても満足できそうな展開であるようには思えます。
 おそらく将棋のポイントとなったのは第2図からの進展ではないでしょうか。
           
 ここで先手は▲2五桂と跳ね,△4一香と受けさせて▲5七金。△4五歩に▲5九歩と打ち,△9七龍にはおそらく△5五金を受けて▲6七桂。当然の△4六歩に▲同金△6七龍。先手の指し方はかなり変調で,なかんずく打ったばかりの桂馬を早々に取られてはよいわけもなく,はっきり後手が優勢に。これ以下はほとんど一方的に後手が攻めきって勝ちました。
 これでこのふたりが7勝2敗に。千葉涼子女流三段も千日手指し直しの末に勝ち,7勝2敗。矢内理絵子女流名人への挑戦権は,プレーオフで決まることになりました。たぶん順位により,まず里見倉敷藤花と千葉三段が対局し,この勝者が挑戦権を賭けて清水女流王将と対戦するということだろうと思います。

 明日から竜王戦七番勝負第五局。羽生善治名人の竜王復位なるか,渡辺明竜王がもうひとつ凌げるか。

 第二部定理二五というのは,僕が考えるに,ふたつの方法で証明することができます。
 ひとつは純粋に,人間の身体がある外部の物体に刺激されるとき,人間の精神のうちに生じるその外部の物体の観念が,十全な観念であるのか混乱した観念であるのかを示す方法です。後述する理由により,『エチカ』においてはこれは本当は変化球の証明ではあるのですが,おそらくここまでの考察の過程からすれば,この方法で証明する方が容易に理解できるものと思われますので,まずこの方法で証明しておくことにします。
 ある外部の物体Aがあり,この外部の物体AがAの本性を含むような仕方で,ある人間Xの身体を刺激すると,Xの精神のうちにはAが現実的に存在するという観念が生じます。いい換えればXはAを知覚します。これは第二部定理一七でいわれていることですからここでは否定できません。ところで,第二部定理二五で各々の身体の刺激状態の観念,すなわち僕が各々の身体の変状というのは,まさにこのようにして人間の精神のうちに生じる観念の総体のことであると考えることができるでしょう。
 ところが,この身体の刺激状態の観念というのは,単にAの本性を含むだけではなくて,Xの身体の本性も含んでいるということがすでに明らかになっています。よってこのときにXの精神のうちに生じるAの観念は,単にAの本性だけではなくて,Xの身体の本性をも含んでいるわけです。よってこのAの観念はAそのものとは一致せず,Xの身体の状態も含んでいることになります。つまり第一部公理六により真の観念ではありません。したがって第二部定義四により,十全な観念でもなく,混乱した観念であるということになります。つまり,人間の身体の刺激状態の観念は,外部の物体の十全な認識を含んでいないということになります。
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日本シリーズ&第二部定理二五

2008-12-02 18:52:41 | 将棋
 今年の日本シリーズは,11月22日に東京都体育館で決勝が指されました。僕も生観戦してきましたので,感想戦の模様など,少し詳しく紹介してみます。
           
 決勝に進出したのは深浦康市王位と森下卓九段。共に九州出身の同門。深浦王位は修行時代に森下九段に随分と指してもらったとのことですから,こういう大舞台での対戦は,両者にとって感慨深いものがあったものと思います。この日まで,深浦王位が2勝,森下九段が4勝という対戦成績でした。
 振駒で深浦王位の先手になりましたので,相矢倉になるものと思いましたが,深浦王位は角換りを目指しました。森下九段は角交換せず,2筋を切らせて5筋の位を取り,相居飛車の力戦型に。
           
 日本シリーズはNHK杯や銀河戦よりもさらに持ち時間が短い早指し戦ですが,第1図の△5五歩は,その中では長考でした。たぶんこの日一番だったのではないかと思います。以下,歩の交換などはあったものの,駒組がほぼ飽和状態に達したのが第2図。森下九段は作戦勝ちになったのではないかと思っていたとのこと。
           
 ここでは▲4五桂と跳ねておく手もあったようですが,深浦王位は▲3五歩と仕掛けました。以下,同歩,同歩の森下流も出て第3図に。
           
 ここで先手は歩切れを解消するために▲6五歩と手を戻したので,後手にもようやく手番が回り,ここから攻め合いになりました。第4図に。
           
 感想戦の中心になったのはここで,次の△2八とは森下九段は勝負手のつもりだったとのこと。深浦王位はここでも歩切れで,少し苦しいと思われていたようです。以下,▲4九飛△3八角成▲1六香△同馬。
           
 森下九段は香車を入手し,△8七香や△8五香が楽しみに。ただし手番は先手で,どうやってくるか分からなかったそうです。深浦王位は▲8三歩成から飛車を取りにいきました。森下九段はびっくりしたそうですが,この順はまずく。後手がはっきりと優勢になったようです。▲4八飛とでもしておく方が優ったとのこと。
           
 第6図。ここは森下九段は▲4九同角を予想していて,9三の飛車を取られて頭が真白になったと述べていました。ここで△6九龍とすれば,▲1二角成なら△7八角以下の詰みがあり,明解だったようですが,△6九角。このために少し紛れましたが,森下九段はまだ時間を残していたので勝ちの順を発見しました。
           
 第7図。ここで▲1二角だと△8八銀不成~△9七銀成で先手玉が詰みます。よって▲1四角とこちらに打ちましたが,これには△8八銀不成~△8九龍で必死。後手玉を詰ますには先手は金駒が1枚足りず,最後の王手を逃げ切った森下九段の勝ちとなりました。
 森下九段は昨年も優勝していて,日本シリーズ連覇。来年の出場権を獲得しました。日本シリーズは局後に棋士が観戦したファンを見送るというサービスがあり,僕も森下九段と握手をして帰りました。都合がつけばまた行ってみたいと思うイベントでした。
 最後に,実は森下九段はこの前日が順位戦の対局でした。今回はそれに勝ち,その勢いでここも優勝しましたが,この日程は常識的にはきつそうです。順位戦は一斉対局が原則ではありますが,こういう場合には周囲が何らかの配慮をしてもいいのではないかと思います。

 明日は女流名人位戦A級リーグ最終局で,挑戦者争いに関係する2局が中継されます。せっかくですので,ここでは清水市代女流王将と里見香奈倉敷藤花の将棋を紹介します。対戦成績は清水女流王将が4勝,里見倉敷藤花が2勝。里見倉敷藤花が勝てば挑戦者。清水女流王将が勝つと,千葉涼子女流三段が勝てば3人による,負ければ2人によるプレーオフです。

 スピノザが人間の精神による何らかの事物の表象について,それがいかなる仕方で生じるのかということを説明している『エチカ』における定理というのは以上ですべてです。したがってスピノザは,表象の種類のうちでは,知覚と想起だけを説明していて,想像についてはそれがいかに生じるのかということを説明していないということになります。今回のテーマにおける不備というのはまさにこの点にあるので,これからはスピノザが表象について述べている事柄に依拠して,それではなぜ人間の精神は事物を想像し得るのかということを明らかにしていくことになるわけですが,スピノザの表象についての考え方に関しては,もうひとつ,人間の精神が事物を表象するときの観念,すなわち表象像というのは,十全な観念ではなくて混乱した観念であるという点も重要ですので,先に,これまで示してきた表象像,すなわち人間の精神が外部の物体ならびに自分の身体と精神を知覚ないしは想起する場合の表象像というのが,混乱した観念であるということを明らかにしておくことにします。
 最初に,第二部定理二五をみておくことにしましょう。
 「人間身体のおのおのの変状〔刺激状態〕の観念は外部の物体の妥当な認識を含んでいない」。
 事物を妥当に認識するということが,その事物の十全な観念を有するということの意味ですから,この定理が,人間の精神のうちにある混乱した観念について言及しているということは間違いありません。そしてこの定理についてはそれはとくに,第二部定理一七の表象,すなわち,人間の精神による外部の物体の知覚についていわれているということも,とくに説明するまでもなく明らかであると思います。
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