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カルテはドイツ語?

2008年06月13日 | 閑話休題
戦前はドイツ医学を基礎としていたため、医学用語はドイツ語だったそうです。
みなさんもカルテ(診療録)とかクランケ(患者)などは聞いたことがありますよね。
先日紹介したムンテラやザーみたいに和製の言葉もありますが、現在でもドイツ語を使うことによって医師のみでのコミュニケーションを取ることがあります。
例えば食事をとることを「エッセンに行きます」とか、「ネーベン(外勤)に行く」、一年目の医者を「ノイヘレン」と呼ぶ、、、
患者さんの前で「食事に行きます」とか、「アルバイト(外勤)に行きます」とか、「一年目の医者」とかが言いにくいからかもしれません。やっぱり医療の現場は何となく隠蔽体質かな??。

一方で「癌」のことを「クレブス」といって患者さん自身に分からないようにしたり、胃ガンのことは「MK:マーゲンクレブスの略」、肺がんを「LK」と略語にすることで隠語として使用したりします。

告知していない患者さんに知られない工夫の一つだったのだと思いますが、最近はこういった悪性の病気でも患者さん自身に告知されていることが多くなっていて、ちょっとびっくりします。日本も変わりましたね。

さてドイツ語のカルテですが、戦前はドイツ医学が最も優れていたことをご存知ですか?
たとえばあの有名な「解体新書」の原本の「ターヘル・アナトミア」はオランダの書物ですが、実はドイツのクルムスの著書をオランダ語に訳したものなのだそうです。
戦後、アメリカ医学が世界をリードするようになってからカルテにも英語が増えはじめたそうです。
ですので年配のドクターの中には今でもドイツ語をカルテに記載される方がおられます。

さらに最近では「誰が見ても分かるカルテ」が最も良いとされています。
患者さんの状態を把握するために、医師だけでなく、看護師、技師、患者さん自身が読んで分かるようなカルテが一番いいのです。急変があってもだれでもすぐに読めるカルテ。そのためには日本語が一番です。
私自身は普段から英語や略語を極力使わずにカルテを書いています。
「unruptured MCA ANでwide neckのためclipping betterとptにIC」
より
「未破裂中大脳動脈瘤でネックが広いため、クリッピングの方が良いことを本人に説明し同意を得た」
の方がみんなに分かりやすいですね!

それと以前は日本語であっても字が読めないことがありましたが、最近は電子カルテの採用でこれは解決されてきましたね!!
次回そのエピソードを紹介しますね。

コメント (1)
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