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Basic Medical Conferenceー原 英彰先生

2009年06月15日 | 人物紹介
先週、Basic Medical Conferenceを開きました。
この会は、我々が若手の先生方に基礎研究についての最新情報を提供することを目的に新たに立ち上げた会です。今回は岐阜薬科大学の原 英彰教授と岐阜大学の國貞隆弘教授にご講演をお願いしました。
まず原 英彰教授を紹介します。

原先生は自分が留学したマサチューセッツ総合病院ニューロサイエンスセンターのモスコビッツ教授の研究室に在籍されていた方です。
実は私がこのハーバードの研究室に留学しようと思ったのは、原先生のProceeding of National Academy of Science (PNAS)の論文がきっかけです。当時大学院生だった私は、原先生の脳虚血に関する極めて先進的な研究に圧倒され、感動してしまいました。
それから数年が経って私がやっとその研究室に留学した時には原先生はすでに帰国されていました。しかし、原先生の業績は研究室の中で伝説のようになっていました。
その後、私は2年ほどの留学を終えて帰国し主に病棟で仕事をするようになっていましたが、ある時、原先生から直接電話を頂きました。まさか直接電話を頂くなど想像すらしておらず、「すいません、どちらの原さんですか?」と聞き返したのを今でも覚えています。私は原先生が岐阜薬科大学のご出身ということさえ知らなかったのです。
当時、原先生は岐阜薬科大学の教授に就任されたばかりでした。2004年のことです。その際、留学先のボスであるモスコビッツ教授が「お前達二人で共同研究をしなさい」とメールしてくれたのです。

そこで早速、原研究室に伺いましたが、まだ立ち上がったばかりの小さな研究室で、器材すらそろっていない状況でした。しかし原先生の熱弁を聞き「この人と共同研究したい。大学院生の先生にもきっといいはず。」と直感しました。
この直感は見事に当たり、これまで3名の大学院の先生たちが原研究室でお世話になりました(小谷、山下、野中)が、その業績のすごいこと!本当に驚くばかりです。もちろんこの3名の先生達の個人的パワーもすごいんですけどね。

原先生はもともと岐阜薬科大学卒業後、企業に就職されたのですが、その後、東北大学神経内科の脳卒中研究室で研鑽を積まれました。留学後は再び一般企業に入られましたが、母校にもどられ教鞭をとられたのです。
その業績は凄いの一言ですが、原先生は決して満足されてはいません。共同研究はますます盛んとのことです。
今や私たちの研究は原先生抜きでは語れないほどです。現在も石黒先生がお世話になり、日々実験に明け暮れています。
私には引き続き共同研究させて頂くくらいしかお礼ができず心苦しいばかりです。
しかしそういう損得のない結びつきを与えてくれるところがサイエンスの良いところなのかもしれないと、勝手に解釈しています。

原先生と私を引き合わせてくれたモスコビッツ教授には今も感謝しています。
先生の研究室が今後ますます発展することを期待しています。


コメント
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