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未破裂脳動脈瘤の治療法選択-手術(応用編)「クリッピング困難例、その1」

2008年03月12日 | 動脈瘤
 一方、通常の手術、つまりクリッピング術が困難な症例もあります。そのうちの一つが、巨大動脈瘤等の大型動脈瘤です。
 巨大動脈瘤はクリッピングも難しいのですが、コイリング(コイル塞栓術)でも完全には治せないというやっかいなしろものです。
 例えば上の動脈瘤は以前にクモ膜下出血を起こしコイルで塞栓されています。その後元気で退院されたのですが、だんだん目が見にくくなり、検査すると動脈瘤が大きくなって巨大化していました。
 こういう症例でもクリップが出来る!というドクターはいます。しかし動脈瘤の周辺の血管や目に関係する神経が損傷される可能性がきわめて高いため、一般的には別の治療の方がいいとされています。
 その方法は、根もとの血管ごと止めてしまう...という方法です。医学的には「親動脈閉塞(おやどうみゃくへいそく)術」と言います。
 「え?脳にいく血管を止めてしまっても大丈夫なの?」という声が聞こえてきそうです。そのとおり、だめな人もいます。でも止めてもまったく大丈夫な人もいます。どんな人は大丈夫なのでしょうか?
 それを判定するのが、バルーン閉塞テストという検査です。風船で目的の血管を止めてみて症状が出るかどうか調べる方法です。風船をふくらませて血流を止めるのですが、すぐに症状が出るようなら太いバイパスがいります。症状は出ないけど、検査の数値が下がっている人は細いバイパスで大丈夫です。全く異常が出ない人はそのまま止めてしまってもいいのです。
 もちろん、治療合併症が出ないと言っているのではありません。でも巨大動脈瘤は破裂率が極めて高い(年間10%以上)ので命に関わる状態なのです。それに対して、このバイパス+親動脈閉塞術は比較的安全で有効な方法と言えます。
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1 コメント

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さっそく来ました (fukuta)
2008-03-13 20:28:35
なるほどね~
スゲー仕事をしてるんだな~
改めて感心させられました。
世のため、人のためになる仕事!
一昔前なら無くなっていた命、
いっぱい救って上げて下さい。
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