簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

井上靖(東海道歩き旅・伊豆の国)

2019-04-10 | Weblog


 箱根エコパーキングのところで左に峠の茶屋を見て、アスファルト舗装さ
れた道を歩き、旧街道入口の道標に指示されて旧道に入り込む。
暫く進むと道の端に石柱が埋まっていて、見ると「是より江戸 二十五里」
「是より京都 百里」と書かれている。
ここが道中で言えば五分の一の地点で、そのきりのいい数字が面白い。



 その先の街道からは少し奥まった木立に覆い隠されるようなところ、辛うじ
て周囲の草木を刈り払ったような平地に小さな休憩施設の東屋が建っていた。
そこには井上靖の箱根八里記念碑が立ち、傍らに木製の看板が有ったが、その
文字は完全に消えていて全く判読は出来ない状態だ。



 碑には本人の揮毫による「北斗欄干」言う文字が刻まれていた。
帰宅後に、その意味を調べてみると、北極星が夜空に燦然と輝いていると言う
意味らしい。



 井上靖は北海道生まれの作家だが、中学生時代には両親の元を離れ祖母と共
に、伊豆の湯ヶ島や浜松、沼津など主に静岡県内で生活し、その体験から「し
ろばんば」「あすなろ物語」「夏草冬涛」などの自叙伝的な作品を残している。



 文化勲章を受章し、一時はノーベル文学賞の候補ともなった、静岡県とも大
変にゆかりの深い文豪の記念碑にしては少し粗略な扱いで寂しい気がする。



 再び旧道に戻る。ここら辺りは特異な景観を見せる道が続いている。
両側には成長した笹と言うのか、細い竹と言うべきものなのか、そんな植物が
群生し、アーチ状にしなって旧道を覆っているので、丁度竹で出来たトンネル
を行くような不思議な感覚だ。
これは「ハコネダケ」と言うらしく、この付近に自生しているものだ。(続)




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コメント
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