安上がりなところも「極上」と自負しています。植物を
愛で、自給自足のフラワーアレンジ、そして何かを作る、描くなどです。
極上のひとり遊び
市川猿之助さんの「黒塚」
9月の中頃、とても元気がなくなって
なんとかしなければと思っていたところ、
ふと、市川猿之助さんの「黒塚」が観たくなり、
DVDを買いました。
「黒塚」は、奥州安ケ原(福島県二本松市)に棲む
人食い鬼婆の伝説を歌舞伎化したものです。
鬼婆は老女岩手の姿で高僧と出会い、
仏の教えによって悟りの道に入るならば
成仏できると説かれ、僧侶を信頼し、一旦は心の妄執が晴れ、
仏の道にすがろうとします。
けれども、僧侶の家来に裏切られ、鬼の姿に変わります。
何といっても、第二幕月光に照らされた芒の原、
成仏できる喜びを童女のように舞うところが、
幻想的でとても素晴らしいのです。
お婆さんが踊っているのが、何でこんなにも素敵なのか
よく解らないのですが、とにかくいつまでも見ていたい....
と思ってしまうのです。
そして気がついてみたら、昨年亡くなった
父の命日が近づいていました。
父は、猿之助さんの大ファンで、
私もその影響を受けていたのです。
もちろん「黒塚」も大好きで、私が子どもの頃、
老婆が裏切られて怒ったときの
台詞を家でまねして、大声を張り上げていました。
「黒塚」を見て、元気を出せ....という、父からの
メッセージのように感じました。
「黒塚」を観た後は、憂鬱な気持ちがスッーと消えました。
その2週間後くらい父の命日が過ぎたあと、
猿之助さんが猿翁に、亀二郎さんが猿之助に、
香川照之さんが中車、息子さんが団子という襲名との
ニュースが出て、とても驚きました。
猿之助さんと香川さんの和解、香川さんが
45才で歌舞伎の世界へ飛び込むなど、
とてもドラマティックで感動しました。
来年の襲名披露の公演は何としても観たいです。
父が生きていたら、どんな感想を口にしただろう.............。
父の命日の前後に起こった、この一連のことは、
不思議な偶然で、私にたくさんの元気をくれました。
やはり、人は死して死なない、あの世に行っても、
ちゃんと、見守ってくれているのだと思いました。
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