![]() | 美しい国へ (文春新書) |
安倍 晋三 | |
文藝春秋 |
この本は2006年に安倍晋三首相が総理大臣になる前に出版された。
本人が書いたのかは別にして・・・
安倍首相の政治観が良く表されていると思う。
安倍首相は岸信介元首相のお孫さんにあたり、
父親は安倍晋太郎元代議士であり、大叔父に佐藤栄作元首相がいる。
幼少の頃から身近に政治家がいた事もあって、
エリート教育を受けて育ち、
首相になるべくしてなった人である事がハッキリと解る。
私は中立の立場でこの本を読んだのだが、
安倍首相の主張や考え方に共感できる所もあるが、
やはりそうでもないところもあった。

「君が代」に対する解釈の所であった。
軍国主義とは全く逆の歌詞であると安倍首相は言っているが、
私はそうは思わない。
この現代には、そぐわない歌詞であると思う。
それは君が代が永遠に続くと言うくだりである。

天皇は国の象徴であって日本が天皇の国であるかのような歌詞は、
もうかなり前から違っているように思う。
君が代を絶賛するあたりが右翼的だと言われるのだろう。
私は

国歌を聞いたり歌ったりすると心が穏やかになる。
ただ・・・歌詞は変えた方がいいのかな・・と。
また、やはり何の不自由のない

エリートである事から庶民的な感覚とはかけ離れているように思う。

新潟県唯一の首相であった田中角栄氏と比べてしまう。
田中元首相は高等小学校卒の庶民派だった。
雪深い新潟県では

新潟県から出稼ぎをなくそうと言う、心を打つ政治家だった。
田中元首相は私の従兄が某企業に就職する時、
ごく一般人の従兄の後見人になってくれたりもした。
首相でなくても自分にメリットのない人に対して、
そんな事はしないであろう。

一番、共感したのはゴミに関する所だ。


ゴミを平然と道端で捨てる人は、その土地に対して愛着のない人だ。
このくだりはインドに住んでいる私は強く共感してやまない。
これをインド人に言ったら、屁理屈をこねやがったが。


ただ単にその国の言葉が喋れるだけでは、
相手は打ち解けてくれない。自らのアイデンティティを確認し、
質問に対し的確に答えられてこそ会話が弾むのだとも言ってる。
付け足せば相手の国の歴史や思想、宗教や文化等に対して、
予め理解しておく事も必要だろう。
この本を読んで安倍首相の政治観が良く解った。
