本日の日曜インタビューは、「大勝組」会長、大澤一勝さんです。
一勝さんへのインタビューは、浅沼社長からもリクエストが出てました。
先日お伝えした「アイランドクリスマス」や「ドバンケ餅つき大会」などを
中之郷で主催されている他、観光客が台風などで島に足止めされた際に、
「欠航流人」の宴を催して島のご馳走を自腹で振舞うなど、
一勝さんの豪快さは島では知らない人がいないほどの有名人。
人にご馳走するのが趣味と仰います。はい、わたしも何度もご馳走になってます。
一勝さんは気前がいいだけじゃない、お話しすると表裏のまったくない、
飾り気のない率直で温かい人柄に魅了されます。そんな一勝さんの魅力を
インタビューで少しでもお伝えすることができるといいのですが。
大澤一勝さん 昭和6(1931)年6月22日生まれ(78歳)
●一勝さんは78歳になられたんですね!
おやじに、お前は一番長い日(夏至)に生まれたから呑気だといわれたよ。
80はもう年寄りだと思う人が多いだろうけど、ぜんぜんだね。
自分が70を過ぎてみて、80なんかぜんぜん年寄りじゃないよ。
●一勝さんは現役はいつ引退されたんですか?
いまは「大勝組」は息子さんがやってらっしゃるでしょう?
3~4年前かな?70歳で譲ろうと思ってたんだよ、ほんとはね。
だけど70のときには借金がうんとあったから、借金が終わるまでは俺がやった。
そのとき運良く飛行場が買収になって借金を全部返して、ツイてるんだよね、俺は。
いままですべてそうなんだから。困るとどこからか来るんだよ、仕事が。
不思議なんだよね。
●それが実力なんじゃないんですか?
いや~それもあるだろうけど、度胸も必要だよね、人間はね。
俺は若いときには借金がいっぱいあってさ、それでも人のものをぽんぽん買ったんだ。
何人から借りたろうな?何十人だね。みんなが貸してくれたんだよね。
●貸してもらえるのが信用だし実力でしょう?
一勝さんの土木の会社は、ご自分で起業されたんですか?
そうだよ。親父は漁師だったけど、俺を自由にさせたから漁師やれともいわない。
でも俺は8人兄弟で男が1人だったから、本当は船をやってもらいたかったろうね。
だけど絶対やれとは言わなかった。自由にさせた。
●やろうとも思わなかったんですか?
いや、でも10年近くは船に乗ったんだよ。
そのときは終戦直後で島の園芸がすごく盛んだったから、えらく稼ぎになったんだよね。
だから我々の年代は園芸家が多い。儲かったから。それで自分も園芸をやっていた。
●最初は園芸をされてたんですね!?
それで、園芸と関連して造園や伐採なども手がけるようになったんですね?
そうだよ。その頃は、切り葉なんかもやってたんだよ。
俺は本当に人生に恵まれてると思うな。
なんだか知らないけど、とにかく儲かったな~
●いつ頃が一番儲かりました?
ロべは上がり下がりがあるんだよ。上がると下がる、必ずまた上がる、下がる。
そうなってきたんだよ、何回か。それが一番タダみたいに売れないときに、
知り合いのロベがいっぱいあって、ずいぶんバカにされて叩かれてるのを聞いたから、
俺が行って思い切ってみんな買っちゃったんだよ。あのとき100万で買ったんだよな。
100万にしたいとその人が言ったから。それが翌年からバカ当たり。
●それは上がるのを見越して買ったんでしょう?
ちがうちがう。ちがうよ~俺は昔から人をいじめるのを見るのが嫌いで、
いじめる人を見ると対抗しちゃうんだよ。昔からそういう性格。
大嫌いだ、いじめる人は。(叩いてる人を)このやろうと思ってさ、
買ったらたまたま当たったんだ。100万で買って2万本ぐらいあったんだね。
1本50円じゃない?とにかく俺はツイてるんだけど、
東京で20代に知り合った人が偶然向こうで市場を作ったんだよ。
それで訪ねて行ったら大歓迎で、そこにロベの鉢を送ることになった。
●1本50円がいくらになったんですか?
安いのが5千円、高いのは1万2千円ぐらい。
●すごい~~~(笑)
元手は売値を考えたらタダみたいなもんですね。
そうだよ。それから4~5年儲けたんだな。
●それも一勝さんに行動力があるからでしょうね。
うん。でもロベを買うときには、儲けるつもりで行ったんじゃないんだよ。
だってぜんぜん売れなくて叩かれてたんだからさ。
だからとにかく不思議なんだよ。みんなは同じ園芸をやっても大変らしい。
どうやって?といわれる。俺はお陰様で今は借金もないし楽をしてる。
なんでなんだ?という。お前らはね悪いことするから駄目なんだよ、
神様、お天道様が見てるんだよ、悪いことをしないでいると天から
テレパシーが来るんだよ、というと、「え~~!」とみんないうけどさ。
ほんとだよ。
一勝さんの中之郷の宴会場にて
●いまはお仕事は息子さんに譲られて、
地域の活性活動をなさっている、ということでいいですか?
いまはというか、俺はもう30年も前からこういうことをやってるんだよ。
人から借りた金で。(笑)
昔はね、アブキ(トコブシ)なんかがいっぱい獲れたから、
ここの前の広場にアブキ100キロ置いて無料接待したよ。
●観光客に?
いや、島の人も観光客も。だれでも。
●それは昭和40年代くらいですか?
30数年前ぐらいかな~トコブシが獲れなくなってやめたんだから。
●では一勝さんは若い頃からそうやって振る舞いを続けていらっしゃるんですね?
20代からだよ。
昔ね、青年団の頃には天草やトコブシがいっぱいあって稼ぎになったから、
大人の費用が500円くらいの頃に天草は1日1貫とって2千円になった。
それからメットウ(八丈島特産の貝)はボタンにするのに殻が売れたんだよね。
当時はメットウは中身付きで1貫200円で売れた。あれはかさばるから目方になる。
メットウは無限にあったし、稼いだお金で青年団にりんごやみかんを食べさせたよ。
●メットウの殻はどこに売ってたんですか?
ボタン工場が島に何軒かあったじゃ。
●えぇ!?島にボタン工場があったんですか!?知らないです。
そうだよ。終戦間もなく。だから殻が高いんだよ、身はタダみたいなもので。
●昔はお土産用にメットウの缶詰もありましたよね?
うん、缶詰にもしたけど、それはあまり殻が売れなくなってからじゃないかな?
●一勝さんは若い頃にはそうやって青年団にご馳走したり、
観光客が来れば観光客にご馳走して、ず~とそういうことをされてきて、
いろんな方から感謝されてるでしょうね。
それはわかんないけどな。
とにかくね、人を見るとご馳走したくてしょうがないの。へへへ。
もう病気だねこれは。人を見たら奢(おご)りたくて夢中になるんだから。(笑)
あんまり大勢だと大変だけど、ここでできるのが10~15人だからそのくらいがいいね。
それより多いと裏のカラオケルームを使って、もっと多いときには
その裏にある広い部屋を使わないと入らないから。
一勝さんの中之郷の宴会場の裏にある専用カラオケルーム
●一番多いときには何人ぐらい?
120~130人ぐらい。いつか、やったじゃ、欠航のときに。
●あの「欠航流人」のときには、中之郷の方々が協力してご馳走作るでしょう?
そうそう。手伝ってね。めゆ工房とか。
あれはどういうきっかけで始めたっけかな?
とにかくいまは連絡がくるよ。ビューホテルとかそういうところから。
ただし、2日欠航になった場合だよ。1日でやったら大変だよ。
●そうですよね。2日以上欠航して、かなり気の毒な場合ですね?
そうそう。それで飲み放題食べ放題の無料接待をするけど、
これはタダじゃないよというとみんなぎょっとする。
代金をとらない代わりに、八丈島を必ず宣伝してくださいと俺はいうんだ。
そして、家族や友達を連れてまた来てくださいという。
すると、みんなわかりましたといってくれる。
そして実際にけっこう来てるんだよね。
●南海タイムスに、ありがたいというお礼の手紙も載ってましたが、
欠航で足止めされて困っていた観光客の方々は感激されるでしょう?
そう。びっくりして、涙を流して帰る人もいるよ。
無料接待なんて、日本中、世界中にもどこにもないと。
●そして一勝さんのところには島のものがいつもたくさんあるから、
みんなで協力して作った島料理が出てきたら、それも嬉しいでしょうね。
そうだよ。みんな、はじめて食べたというよ。
だから、島のホテルも民宿ももっと島のものを使いなさいと俺はいうよ。
民宿はその土地のものを食べさせるのが当たり前なのに、
そうでない民宿もあるから俺は怒る。だから客が増えないんだと。
客が来ない来ないというが、お前らのせいで来ないじゃないかと。
もっとお客に愛情を持てば絶対にお客は増えるよ。
ここで飲ませた人たちは、みんな「必ずまた来ます」と帰る。
お客を喜ばせたいという気持ち、優しさがないとお客は増えないよ。
旅行へ行って、景色は忘れることがあっても、おいしい食事は忘れないんだから。
うちは特に高いものを使ってるわけじゃないんだよ。
まぁ、うちはたまたまトビウオ船を持ってるからだけど。
●それは大きいでしょう。トビがある、白子がある、運がよければ卵がある。
トビの開きはいつでもある。アイランドクリスマスでいただいたトビの開きの
プレゼントが島らしくてとてもよかったです。
うまいでしょう?買うとけっこう高いからね。
俺は、民宿では「これはなんですか?」と聞かれるものを出せという。
民宿の朝食が鮭に納豆に卵なんてだめだよ。そんなものは日本中どこでもある。
他で食べられないものを出しなさいというんだけどね。手間を惜しんじゃだめ。
手をかければおいしく食べられるものが島にはいっぱいあるんだから。
鮭を出すよりトビウオの塩干し。お客においしいものを食べさせるんだという愛情。
●八丈島映画「今日という日が最後なら」の撮影隊スタッフもこちらで何度も
島料理をご馳走になって、後々までおいしかった、忘れらないといってます。
ヤギがおいしかったとか、強く印象に残っているようです。
そうでしょう?ヤギはうまくて、みんなびっくりするよね。
臭いという印象があるんだろうけど、実際はうまいもの、ヤギは。
●そういうものをもっともっと島の宿泊施設で出せるようになるといいですね。
そうそう。ヤギはけっこう高いけどね、鮫とか三の字とか、タダみたいに
もらえるものでもおいしいよ~!角鮫はおいしいよ、ヒレも皮もみんなおいしい。
ムロだってうまいじゃ。唐揚げも刺身もうまいし。
一勝さんの中之郷の宴会場にて
●一勝さんがいまの八丈島についてお考えになっていることがあれば
お聞かせいただけますか?
そうだね、俺は「スポーツアイランド」ということをもう20年ぐらい前から
いってるんだけど、それしかないと思ってる。島に客を呼ぶには。
●あ~そんな前からそういうことを考えておられたんですね。
いま、島は少しずつそういう方向になりつつありますね。
俺はずいぶん前から芝生のグランドを作ろうといってたんだけどね。
●南原スポーツ公園ができて、では念願がかなった感じですか?
そう。だけど、遅すぎるんだよ~もっと昔に作らないと。
当時はなかったけど、いまはどこでもそんなものはあるんだからさ。
●これからの八丈島は、スポーツ人口を誘致するという方向がいい?
そうだよ~スポーツアイランドで売り出そうと俺は昔からいってたんだよ。
それで昔の町長と喧嘩になったことがあるよ、何度か。(笑)
東京都内には何千という学校があるんだから、そこからを島によこしてくれればいい。
必ず遠征にはどこかへ行くんだから。それを八丈にしたらいい。
客が来なきゃだめなんだよ、島は。まぁ、それはどこでも同じだけど。
でも今は難しいんだよね~世界中、日本中、お客の引っ張りっこだからさ。
それはわかるけどね。でもここへ来る人は、こんな近くにこんないいところが
あるとは知らなかったという。来てみたらとてもいい島だというよ。
観光バスでぐるっと見て回っただけではだめだ。脇道へ入って島の人と話をしないと。
1泊の人が多いから、そういう時間がないんだよね。ゆっくり来てほしいね。
●いろいろ聞かせていただいてありがとうございました。
最後に、一勝さん主催の「ドバンケ餅つき大会」が30日にありますが、
あれはだれでも参加していいんですか?
そうだよ。来てくださいとタイムスに書いてあるでしょう?
来る人が少ないとがっかりするよ。どんどん来て餅を腹いっぱい食べればいいよ。
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◎「欠航流人」に関する映像を「八丈島観光レクリエーション研究会」が公開してます。
いまさっき、一勝さんから「うまい寒ブリが入ったから今日も宴会をする」
とのありがたいお誘いがありました。UPしたら行ってきま~す!
まだやってるかな?急いで行かなきゃ~