雀の手箱

折々の記録と墨彩画

牡丹を遊ぶ

2013年05月26日 | すずめの百踊り

牡丹を遊ぶ

 

 与謝蕪村には牡丹の句がかなりあります。その中から好きなものをいくつかあげます。絵を描くときのイメージの素にしています。

  閻王の口や牡丹を吐かんとす

  ちりて後おもかげにたつぼたんかな

  牡丹切って気のおとろひし夕べかな

  寂として客の絶間の牡丹かな

  牡丹散りて打ちかさなりぬ二三片

  地車のとどろとひびく牡丹かな

 こうした風情を絵で表現するのは、私のレベルでは難しいものです。以前、加山又造をまねて墨だけで描いてみたこともありましたが、まったく様になりませんでした。花の王者らしく豊かに咲き満ちた華麗な牡丹のイメージは、どうしても唐獅子牡丹風の中国趣味に偏りがちになります。何枚かそうした絵が出来上がるうち、存在しない色で遊ぶところまで行ってしまいました。明らかにやりすぎです。

 高浜虚子も牡丹が好きだったようです。

  ほむらとも我心とも牡丹の芽

  白牡丹といふといへども紅ほのか

  牡丹花の面影のこし崩れけり

 

当分は通院以外には外出がないので、慰みに絵で遊んでいますが、やはり、落ち着きがありません。