牡丹を遊ぶ
与謝蕪村には牡丹の句がかなりあります。その中から好きなものをいくつかあげます。絵を描くときのイメージの素にしています。
閻王の口や牡丹を吐かんとす
ちりて後おもかげにたつぼたんかな
牡丹切って気のおとろひし夕べかな
寂として客の絶間の牡丹かな
牡丹散りて打ちかさなりぬ二三片
地車のとどろとひびく牡丹かな
こうした風情を絵で表現するのは、私のレベルでは難しいものです。以前、加山又造をまねて墨だけで描いてみたこともありましたが、まったく様になりませんでした。花の王者らしく豊かに咲き満ちた華麗な牡丹のイメージは、どうしても唐獅子牡丹風の中国趣味に偏りがちになります。何枚かそうした絵が出来上がるうち、存在しない色で遊ぶところまで行ってしまいました。明らかにやりすぎです。
高浜虚子も牡丹が好きだったようです。
ほむらとも我心とも牡丹の芽
白牡丹といふといへども紅ほのか
牡丹花の面影のこし崩れけり
当分は通院以外には外出がないので、慰みに絵で遊んでいますが、やはり、落ち着きがありません。