雀の手箱

折々の記録と墨彩画

祈りの日

2014年08月15日 | 塵界茫々

 終戦の日の今日、69年前の炎熱の「あの日」とは様変わりの大雨の一日でした。

 いくさを身をもって体験した90歳の夫と、学徒動員の女学生だった私、二人で、静かに正午には黙祷を捧げ、戦禍に倒れた亡き人々を偲び合掌しました。

 戦で死線を越えて生き残った一兵士と、学生時代という青春を工場で過ごした[欲しがりません勝つまでは]の飢餓の世代のふたりです。復員の日に見た八幡の焼け野が原は今も忘れられないと語っていました。


   逸りきてけやき大樹にこもるかぜ非命の魂の万の鈴音   山田あき


 欅の大樹に吹き寄せた風が立てる葉ずれのざわめきに、戦火に空しく散った非命の魂の鳴らす鈴音を聞いている。老いてなお、矍鑠とした激しい歌が多い歌人でした、今年はこの「山河無限」の一首が身に沁みました。

 不戦の誓いが、空念仏にならないよう見守ってゆくのは,生き残った者の使命でしょう。

 雨が多く日照不足で、今年のホオズキは鬼灯の役を果たしてくれませんでしたので、せめて絵だけでも赤々となき人々の道灯りにと。