雀の手箱

折々の記録と墨彩画

櫻によせて

2015年04月05日 | 雀の足跡
 古人も「絶えて櫻のなかりせば 春の心はのどけからまし」と屈折した桜への思いを述懐していました。花の命は短くて「花に嵐」のたとえ通り、今日は激しい雨模様となり、開花予報以来、何かと気をもませていた満開の花は地にたたかれています。皆既月蝕も見ることはできませんでした。

 二日の木曜日、主人の体調がよく、天気ものどかに晴れていましたので、成田山にお花見に出かけました。
 まさに花盛りのこの日、三里松原から玄界灘を望むお寺も賑わっていました。










 下の三枚は、所用で中間市役所まで出かけたついでに、春雨にけぶる埴生公園でほとんど人気もなく満開の桜を独占してきました。桜の好きなブラジルの友人のための恰好のスナップが撮れました。

 満開の桜がもたらす神秘的なまでの美しさは、一種の不穏な幻想を呼びおこします。謡曲の「西行桜」の老桜の精の翁も出て来そうで、ふと、梶井基次郎のように「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」と思いたくなりそうなひと時でした。