ジャンルと共に選べないのが作者です。元々私はベストセラー小説とかベストセラー作家とか呼ばれる方の
作品は敬遠してしまうほうなのですが、新聞ではそんな流行作家も否応なし続々登場、これがそろって皆さん
筆達者(あなたに指摘されるまでもなく)で、私の読まず嫌いだったことがほとんどですね。
たとえば進行中の朝刊の小説は林真理子さん。林さんといえば私としては作家である前に「タレント」の
イメージが強くて、もちろん書かれた本を読んだこともありませんでした。いやでも、今連載中の小説
面白いですわ。すでに引き込まれて楽しみに読んでます。夕刊は道尾秀介さん。たしか芥川賞だったか
何か賞をとったまだお若い方だとは存じ上げてましたが、もちろんこちらも初めての読書で、
すでに世界観に引き込まれつつあり、続きが気になって仕方ありません。
お若いといえば、少し前に連載されていた『ガソリン生活』の伊坂幸太郎さんもさすが売れっ子作家の
面目躍如。一つ前の片岡義男さんの短編『豆大福と珈琲』にはいい意味裏切られました。一度も読んだことない
私の勝手なイメージとしては、片岡さんはハードボイルド作家だと思っていたのに、終始ほのぼのとした
展開なのでまず驚きました。しかもこれが意表をつく短さ、新聞小説といえば中~長編ってのが主流ですよね。
それで今回の旅行中にはや最終回を迎え、たまたまそれは読むことが出来ました。しかしその前の数回分は
読み飛ばしています。こんなケースは最終回に限らず、長期旅行中にはしばしばあることです。
基本、その数回分の展開は想像を掻き立てて理解するしかありません。一週間程度までの短い旅でしたら、
帰宅後新聞のストックを引っ張り出して、後追いで筋立て、展開を確認することもあります。今回は
たまたま一度帰宅したので、『豆大福~』の終盤をすべて読むことが出来ました。一番肝心なところでしたからね。
その他にも宮部みゆき、筒井康隆、森見登美彦氏などなど、まったくタッチの違う作品が次々登場し、
それぞれが力作を発表するんですから、飽きることなく読み続けられます。吉田修一さんの『悪人』も
すごい小説でしたよね。個人的は佐賀県の呼子でイカを食べるシーンが強く印象に残っています。
実際大昔呼子で、生簀に飼っている新鮮なイカの刺身を食べさせる店を目の当たりにしたことがあるんです。
ただしその頃も無職で、食べるような余裕はなくて、お昼は菓子パンか何かかじって済ませた記憶があります。
食べたことよりも食べられなかった記憶の方がより鮮明に残る、やはり食い物の恨みは恐ろしい。
今度行った時には食べられるのかしら?
あと現在朝日新聞では、連載から100周年を記念して、夏目漱石氏の作品を復刻掲載中です。まずは
『こころ』、それから『三四郎』と続きました。こころは学生時代に教科書でごく一部を読んだにすぎず、
全文を通して読むのを楽しみにしていたのですが、最後の「先生の遺書」のクライマックス部分が
やはり旅行と重なりかなり欠落したのが残念でした。一方三四郎も出だしからしばらくして早々旅立ってしまい、
途中かなりの部分を読み損ねています。こちらはずいぶん以前に文庫本を買ってまだ所有しているので、
いずれ通して読み返すかもしれません。
というわけで、これまでのところ出先で新聞をわざわざ買ってまで読むという習慣はまずなかったのですが、
それも含めて、できるだけ継続して読む方法を検討しなくては。たとえば、美瑛町の図書館では朝日が読めるので
これは私にとっては○。しかし弟子屈町ではなぜか朝日だけおいてなくてこれは×。研究を続けましょう。
(つづく)