ほぼ1ヶ月ぶりの更新ですが、本日は久々にヴォーカル作品を取り上げたいと思います。さて、唐突ですがジャズヴォーカルにおける名盤の条件は何でしょうか?個人的には3つあると思います。まず第1の条件は当たり前ですが歌が上手いこと。ただ、これはほとんどのジャズシンガーがクリアしていると言っていいでしょう。2つ目は伴奏の出来。この辺りは好みによりますが、個人的にはストリングスをバックにした演奏より、管楽器つまりビッグバンドやスモールコンボによる伴奏の方が好きですね。3つ目が選曲の良さ。有名スタンダード曲の歌手による解釈の違いを聴き比べるのもジャズヴォーカルの楽しみの一つですが、やはり定番曲ばかりでは新鮮味がありません。今日ご紹介する「ウィスパー・ノット」はその3つを高い水準でクリアする名盤と言ってよいでしょう。1966年にロサンゼルスで録音された本作は50年代のエラの数々の名盤に比べるとマイナーで、これまで再発売される機会はありませんでしたが、このたび「Verve 60th レア盤コレクション」でめでたく初CD化されました。
先ほどの名盤の条件に戻りますと、まず第1の条件は“ジャズ界のファーストレディ”相手に議論するまでもありませんね。録音当時49歳、ジャケットに見るように体型も貫録が出てきた頃ですが、表現力豊かなヴォーカルには余裕すら感じます。第2の条件ですが、本作はニューヨークではなく西海岸で録音されたこともあり、ウェストコートを代表する名アレンジャーであるマーティ・ペイチ率いるビッグバンドが演奏を担当しています。メンバーもハリー・エディソン(トランペット)、ビル・パーキンス(テナー)、ジミー・ロウルズ(ピアノ)、シェリー・マン(ドラム)ら西海岸のトップミュージシャンばかり。ソロは“Time After Time”でビル・パーキンスがテナーソロを取るぐらいですが、一糸乱れぬゴージャスなアンサンブルは素晴らしいの一言です。ペイチはピアニストとしても活躍しアート・ペッパーと共演したりしましたが、アレンジャーの仕事により能力を発揮し、他にもメル・トーメやジョニー・ソマーズ等多くのヴォーカル名盤を手掛けています。第3の条件の選曲ですが、本作も“Sweet Georgia Brown”“Whisper Not”“Lover Man”等スタンダードの定番曲も含まれていますが、一方で他ではあまり聴く機会のない曲が多い。ジュール・スタイン作曲の知られざる名曲“I Said No”、30年代のミュージカル曲“Thanks For The Memory”等あまり聴いたことないですがエラの抜群の歌の上手さも手伝ってか、なかなかの名曲です。また、1960年代に作曲された比較的新しい曲も多く、サイ・コールマン作曲の“I've Got Your Number”、バート・バカラック作曲の“Wives And Lovers”、当時の大ヒットミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」から“Matchmaker, Matchmaker”等録音当時はまだホットだった曲をエラ一流のヴォーカルで歌い切っています。そんな中でも一番のサプライズは“Old MacDonald Had A Firm”。日本語名は「ゆかいな牧場」、♪いちろうさんの牧場でイーアイイーアイオー、のメロディで知られるアメリカ民謡を見事にジャズに料理しています。最初は原曲どおり動物の鳴き声をまじえてコミカルに歌いながら、最後はゴージャスなビッグバンドをバックにパンチの利いたヴォーカルで締めくくるあたりはさすがの一言です。
先ほどの名盤の条件に戻りますと、まず第1の条件は“ジャズ界のファーストレディ”相手に議論するまでもありませんね。録音当時49歳、ジャケットに見るように体型も貫録が出てきた頃ですが、表現力豊かなヴォーカルには余裕すら感じます。第2の条件ですが、本作はニューヨークではなく西海岸で録音されたこともあり、ウェストコートを代表する名アレンジャーであるマーティ・ペイチ率いるビッグバンドが演奏を担当しています。メンバーもハリー・エディソン(トランペット)、ビル・パーキンス(テナー)、ジミー・ロウルズ(ピアノ)、シェリー・マン(ドラム)ら西海岸のトップミュージシャンばかり。ソロは“Time After Time”でビル・パーキンスがテナーソロを取るぐらいですが、一糸乱れぬゴージャスなアンサンブルは素晴らしいの一言です。ペイチはピアニストとしても活躍しアート・ペッパーと共演したりしましたが、アレンジャーの仕事により能力を発揮し、他にもメル・トーメやジョニー・ソマーズ等多くのヴォーカル名盤を手掛けています。第3の条件の選曲ですが、本作も“Sweet Georgia Brown”“Whisper Not”“Lover Man”等スタンダードの定番曲も含まれていますが、一方で他ではあまり聴く機会のない曲が多い。ジュール・スタイン作曲の知られざる名曲“I Said No”、30年代のミュージカル曲“Thanks For The Memory”等あまり聴いたことないですがエラの抜群の歌の上手さも手伝ってか、なかなかの名曲です。また、1960年代に作曲された比較的新しい曲も多く、サイ・コールマン作曲の“I've Got Your Number”、バート・バカラック作曲の“Wives And Lovers”、当時の大ヒットミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」から“Matchmaker, Matchmaker”等録音当時はまだホットだった曲をエラ一流のヴォーカルで歌い切っています。そんな中でも一番のサプライズは“Old MacDonald Had A Firm”。日本語名は「ゆかいな牧場」、♪いちろうさんの牧場でイーアイイーアイオー、のメロディで知られるアメリカ民謡を見事にジャズに料理しています。最初は原曲どおり動物の鳴き声をまじえてコミカルに歌いながら、最後はゴージャスなビッグバンドをバックにパンチの利いたヴォーカルで締めくくるあたりはさすがの一言です。