ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ビル・エヴァンス/ライヴ・イン・トーキョー

2017-01-13 23:38:36 | ジャズ(ピアノ)

遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。今年もマイペースでちびちびと更新していきたいと思います。さて、新年第1弾は昨年末に引き続きビル・エヴァンスです。ジャズを聴き始めて20年。今さらながらビル・エヴァンスの魅力を再確認する今日この頃です。前回は1967年のニューヨーク、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ盤でしたが、今日取り上げるのはその6年後、1973年1月に東京の郵便貯金ホールでのコンサートの様子を録音したものです。この時はちょうどビル・エヴァンスが待望の初来日を果たした時で、日本のジャズファンの間では静かなフィーバーが巻き起こっていたとか。私はちょうどその年の夏に生まれたので、当時の様子は知るべくもありませんが、バリバリの大物ジャズメンが来日するのはまだ珍しかった頃ですから、2週間のツアー公演は連日の大盛況だったようですよ。メンバーはビル・エヴァンス(ピアノ)に加え、エディ・ゴメス(ベース)とマーティ・モレル(ドラム)からなる当時のレギュラー・トリオ。以前ご紹介した「ザ・ビル・エヴァンス・アルバム」と全く同じ布陣ですね。



収録は全9曲。そのうち“My Romance”“Gloria's Step”、アンコールに応えて演奏されるラストの“On Green Dolphin Street”等リヴァーサイド時代の名曲も再演されますが、それ以外はむしろ新しいレパートリーが中心です。日本のファン向けにお馴染みの定番曲だけで済ませることも可能だったはずですが、あえてそうしなかった所にエヴァンス・トリオの姿勢がうかがえますね。個人的に素晴らしいと思うのは最初の2曲。まず、“Mornin' Glory”はボビー・ジェントリーというカントリー歌手の曲だそうですが、正直オリジナルは大して有名とは言えません。続く“Up With The Lark”も名作曲家ジェローム・カーンが1946年の映画のために書いた曲ですが、これもカーンの数多いスタンダード曲の中では取り上げられることも少ない地味な曲です。それらマイナーな曲が、エヴァンス・トリオの瑞々しい演奏によって、美しいピアノトリオの名曲に生まれ変わるのですから、まさにマジックですね。この2曲はその後エヴァンスのレパートリーに加わり、さまざまな所で再演されます。この2曲以外にも、もとはメキシコの歌謡曲だったと言う美しいバラード“Yesterday I Heard The Rain”、クレア・フィッシャーのカバー“When Autumn Comes”等が捨て難い魅力を放っています。もちろん前述の“My Romance”等のお馴染みのナンバーの時は観客達の「待ってました!」的な盛り上がりがこちらに伝わってきます。以上、エヴァンスの数あるライブ盤の中でも決して過去の名盤達に引けを取らない出来ではないでしょうか?最後に司会者の方が「どうぞ拍手をお願いします」と日本語で締めくくるのが微笑ましいです。

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