2017年第2弾は先日のビル・エヴァンスから一転して、濃厚なオルガン・ジャズをご紹介しましょう。オルガン・ジャズと言えば、何と言っても以前に紹介したジミー・スミスが第一人者ですが、それ以外にもブルーノートにはベビーフェイス・ウィレット、ジョン・パットン、ラリー・ヤング、ロニー・スミス、ルーベン・ウィルソンそしてこのフレディ・ローチ等が在籍しており、60年代ブルーノートが強力にプッシュしていた路線です。ただ、日本のジャズファンのテイストにはこう言ったコッテリしたジャズはあまり合わないのか、あまり取り上げられることはないですね。かく言う私も特にオルガン・ジャズの愛好者というわけではありません。一連のオルガン・ジャズの作品群にはジャズと言うより、むしろR&B寄りのものも多く、ノリは良いけど深みはイマイチ、と言った作品も正直多いんですよね。そんな中で今日取り上げる「ダウン・トゥ・アース」はタイトル通りアーシーな要素をたっぷり含みながら、楽曲の質も高く、繰り返し聴いても飽きない内容となっています。
録音は1962年8月。ローチは前年にテナー奏者アイク・ケベックの「ヘヴィ・ソウル」にサイドマンとして参加し、本作が初のリーダー作となります。メンバーはローチに加え、パーシー・フランス(テナー)、ケニー・バレル(ギター)、クラレンス・ジョンストン(ドラム)から成るカルテットです。パーシー・フランスと言うテナー奏者に関してはあまり聞いたことがありませんが、おそらくR&B畑の人でしょう。注目すべきは個人的にナンバーワン・ジャズギタリストと崇めているバレルの参加ですね。実際にアルバム全編に渡って素晴らしいプレイを披露しており、リーダーのローチと同等かそれ以上の目立ち具合です。1曲目“De Bug”で、テーマの後に続くバレルのソウルフルなギターソロがたまりませんね。リーダーのローチはと言うと、もちろんファンキーなオルガンを聴かせてはくれますが、どちらかと言えば作曲者として大きく貢献していると思います。ヘンリー・マンシーニが作曲したミュージカルナンバー“Lujon”(これもまたなかなかの佳曲です)を除いて他の5曲は全てローチの描き下ろしですが、単にノリが良いだけでなくメロディもツボを抑えており、思わず口ずさみたくなるキャッチーなナンバーばかりです。特に“Althea Soon”と“More Mileage”の2曲が強くお薦めです!