ハードバピッシュ&アレグロな日々

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グリエール/青銅の騎士&ホルン協奏曲

2019-08-13 13:09:42 | クラシック(管弦楽作品)
本日は少しマイナーなところでレインゴリト・グリエールの作品を取り上げたいと思います。と言われてもピンと来ない人が多いかもしれませんが、現在のウクライナのキエフで生まれ、20世紀前半に活躍したロシア~ソ連の作曲家です。名前がロシアっぽくないですが、民族的にはドイツ系でドイツ語読みだとラインホルト・グリアーになります。1875年生まれですので世代的にはラフマニノフと同世代ですが、代表作はむしろソ連時代の1930~40年代に集中しているようです。本日紹介するバレエ音楽「青銅の騎士」は1949年、ホルン協奏曲は1950年の作品です。この頃のソ連の音楽はショスタコーヴィチをはじめとしたいかにも20世紀風の取っつきにくい曲が多いですが、グリエールの音楽は後期ロマン派の王道を行くもので、旋律もわかりやすいものが多いですね。CDはエドワード・ダウンズ指揮BBCフィルハーモニックによる演奏。ホルン協奏曲ではリチャード・ワトキンスがソリストを務めています。



まずはバレエ音楽「青銅の騎士」から。このバレエはロシアの文豪プーシキンの同名の詩に題材をとったもので、話の内容は洪水で恋人を失った主人公がサンクトペテルブルクの広場に立つ青銅のピョートル大帝の騎馬像を罵ったところ、突然その銅像が動き出して最後は主人公を殺してしまうという筋だけ読むと救いのないわけのわからん話です。音楽的にはチャイコフスキーの流れを組む正統派ロシア音楽で、ロマンチックな旋律の第6曲「抒情的な情景」、華やかな舞曲の第7曲「ダンスの情景」、優雅なワルツの第11曲「ワルツ」、悲劇的な結末を暗示させる第12曲「嵐の始まり」等が特にお薦めです。フィナーレの「偉大なる都市への讃歌」はサンクトペテルブルク(当時はレニングラード)の市歌としても親しまれたとか。

続くホルン協奏曲は日本ではあまり知られていませんが、海外ではモーツァルトリヒャルト・シュトラウスの作品に次ぐ知名度を誇っており、演奏会でもホルン奏者の重要レパートリーとなっています。内容的には後期ロマン派の香りが濃厚で、これぞロシア音楽と言った雄大な旋律の第1楽章、美しい緩徐楽章の第2楽章アンダンテ、華やかなフィナーレの第3楽章とどれも申し分ない内容。旋律も十分に親しみやすいですし、高らかに鳴り響くホルンの響きも魅力的です。youtubeだと現代最高のホルン奏者ラデク・バボラークがオンドレイ・レナールト指揮プラハ放送交響楽団と演奏したものが視聴できますので是非ご視聴ください。
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