ハードバピッシュ&アレグロな日々

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エルガー/交響曲第1番&第2番

2019-10-03 22:20:22 | クラシック(交響曲)
本日はエドワード・エルガーの交響曲2曲をご紹介したいと思います。エルガーについては本ブログでもたびたび取り上げていますが、彼の場合「威風堂々」と言う超有名曲の存在が実像を掴みにくくしているような気がします。「威風堂々」は言うまでもない名曲で旋律もシンプルで分かりやすいのですが、エルガーにはどちらかと言うとチェロ協奏曲ヴァイオリン協奏曲のように最初は取っつきにくいが噛めば噛むほど味が出るタイプの楽曲が多いと思います。今日取り上げる2曲の交響曲も決して広範な人気を有しているとは言えませんが、地味ながら充実した傑作だと思います。

作曲時期は第1番が1908年、第2番は1911年で、どちらもエルガーが50代の円熟期に書かれた作品です。第1番は第1楽章冒頭から「威風堂々」第1番の中間部を思い起こさせる壮麗な旋律で幕を開けます。この旋律はその後もたびたび現れ、本曲のメイン主題とも呼べる重要な旋律です。第2楽章は勇ましい行進曲風で中間部は楽しげな舞曲風。第3楽章は哀愁を帯びた緩徐楽章で美しい弦楽合奏が印象的です。第4楽章は前半は不安げな旋律ですが、後半になると再びメイン主題が現れそのまま輝かしいフィナーレを迎えます。

第2番は第1楽章がvivace e nobilementeと記されており、文字通り活発でいて気高い旋律が魅力的です。第2楽章はラルゲット。全体的に哀調を帯びていますが中間部と後半に静かな盛り上がりを見せます。第3楽章はエネルギッシュなロンド。第4楽章は後半に向けて盛り上がり、そのまま華々しく終わるかと思いきや、最終盤で再び第1楽章冒頭の気高い旋律が現れ、消え入るように静かに幕を閉じます。余韻を残す美しい終わり方ですね。

 

CDはサー・ゲオルク・ショルティ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団のものです。第1番には序曲「南国にて」、第2番には序曲「コケイン」がそれぞれ収録されています。うち「コケイン」に関しては以前に当ブログでも紹介したので割愛します。「南国にて」は別名を「アラッシオ」とも言い、エルガーが旅行で訪れたイタリアの町の名前です。当時のイギリスのセレブ達は冬になると暗く寒い本国を抜け出し、イタリアやフランスの地中海で長期滞在するのが恒例でした。この曲もイタリアの陽気な雰囲気を表した色彩豊かな名曲です。
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